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【詳細解説】ハーレーダビッドソン「水冷DOHCの新スポーツスター」 価格は185万8000円〜で9月以降納車予定

ハーレーダビッドソン スポーツスターS

テーマは「究極のスポーツスター」

日本時間の7月13日深夜、ハーレーダビッドソンが発表したのは「スポーツスターS」であった。

ハーレーダビッドソン初のアドベンチャーモデル・パンアメリカ1250にも搭載している挟角60度水冷DOHC4バルブエンジンをベースに、スポーツスターS用に圧縮比や出力特性を変更した「レボリューションマックス1250T」エンジンを搭載。
出力特性が異なる「スポーツ」「ロード」「レイン」の3つのライディングモードが選択可能で、可変バルブタイミング機構も採用されている。

ハーレーダビッドソン スポーツスターS。写真は日本仕様のプロトタイプ。
エンジンは「レボリューションマックス1250T」と呼ばれる水冷1252ccのV型2気筒で、DOHC4バルブ。

フレームはパンアメリカ1250と同様、エンジンをフレームメンバーとして使用し、そこから分岐するようにステアリングヘッドを持つフロントフレームと、エンジン後端に結合しリアサスペンションの車体側の受けとなるミドルフレーム、そしてリアフレームを直接ボルトで締結。それによって高い剛性と軽量化を実現している。
前後サスペンションは、電子制御ではない、メカニカルなサスペンションが装備されている。

この前後タイヤともに小径&極太の「ボバー」と呼ぶカスタムスタイルが、新生スポーツスターのファーストモデルとして登場するのは意外であった。

2018年7月に2018−2022年の中長期経営戦略「More Roads」のなかでは、電動モデル・ライブワイヤーやアドベンチャー・パンアメリカ1250、ストリートファイター(ブロンクス)とともに発表されたコンセプトモデルのなかに、同エンジン&同スタイルで登場したモデルは「ハイパフォーマンス・カスタムモデル」と呼ばれ、それはミルウォーキーエイト・エンジンを搭載した現行モデル「ファットボブ」の後釜だと思われていたからだ。

ハーレーダビッドソン スポーツスターS
ハーレーダビッドソン スポーツスターS

ただ発表されたのは新生スポーツスターの「S」モデルであり、またオンラインローンチのなかではバリエーションモデルの登場も示唆された。
現行「アイアン」シリーズのようなフロント19インチ、リヤ16インチのホイールとした、往年のスポーツスタールックのマシンの登場もあるかもしれない──。

なお、スポーツスターSの日本上陸は2021年9月以降だという。

スポーツスターSのデザイン「XR750とフォーティエイトのデザインを融合?」

前後ともに小径のワイドタイヤと、足を投げ出したような位置にあるフォワードステップなど、スポーツスター・ファミリーで人気を博した「フォーティ・エイト」のディテールを踏襲。

一方、シングルシート&シートカウルを採用したリヤまわりは、ハーレーダビッドソンのフラットトラックマシン・XR750からインスピレーションを得たものだという。
また、スイングアームマウントのテールライト&ナンバープレートホルダーとすることでショート&スリムにまとめられている。

フロントタイヤのサイズは160/70TR17。

リヤタイヤのサイズは180/70R16。

バンク角は左右とも34度。写真の車体色「ビビッドブラック」が185万8000円、「ストーンウォッシュドホワイト」と「ミッドナイトクリムゾン」は188万7700円。
アップタイプの2本出しサイレンサーも、シートカウル同様、XR750からインスピレーションを得たものと想像する。エキゾーストパイプおよびサイレンサーも太くマッチョなスタイル。
XR750 ハーレー
今や伝説的存在と言えるハーレーダビッドソンのダートトラックレーサーXR750(写真は1970年に登場したファーストモデル)。

スポーツスターSの水冷エンジン「可変バルブタイミング採用のDOHC4バルブでアメリカ仕様は122馬力!」

搭載されるのは「レボリューションマックス1250T」と呼ばれるエンジンで、基本構成はパンアメリカ1250用レボリューションマックス1250と同様。
1250Tの「T」はトルクの意で、パンアメリカ1250に比べてトルクとピックアップを重視した特性となっているという。

2つのシリンダーに収めた吸排気バルブを独立してコントロールし、エンジンの回転数に合わせてバルブの開閉タイミングを変化させる可変バルブタイミング機構を採用。

日本仕様は最大トルクのみ公表されており12.7kgm/6000rpm。ボア・ストロークは105mm×72.3mmとショートストローク型で、高回転までよどみなく回る特性だという(最大許容回転数は9500rpm)。
アメリカ仕様では最高出力90kW(122ps)/7500rpm、最大トルク127Nm(12.9kgm)/6000rpmという性能が発表されている。

スポーツスターSの車体「倒立フォークやリンク式モノショック、スポーツバイクのような足まわり」

スポーツスターの伝統であったティアドロップ型の燃料タンクは採用されず、グラフィックによってティアドロップ型をデザイン。容量は11.8L。
スチールパイプをひし形に組んだスイングアーム。リヤタイヤの駆動はベルトドライブ。シートカウル下には、リヤサスペンションのプリロード調整ダイヤルが配置される。
フロントフォークは43mmの倒立式で、サスペンショントラベルは92mm。フロントブレーキは320mmシングルディスク+ブレンボ製モノブロック4ピストンキャリパー。
リヤサスペンションはリンク式のモノショック。サスペンショントラベルは51mm。
リヤブレーキは260mmディスク+ブレンボ製シングルピストンキャリパー。

スポーツスターSはライディングモードや電子制御も採用

スポーツスターSは6軸のIMU(慣性計測ユニット)を搭載。
バンク角を制御にフィードバックするコーナリングABSや、コーナリングトラクションコントロール、コーナリングエンハンスドドラッグトルクスリップコントロール(エンジンブレーキ制御)を採用するなど、現代のスポーツバイクに匹敵する電子制御機能が盛り込まれている。

ライディングモードは、スポーツ走行向きの「スポーツ」、バランス重視の「ロード」、悪天候時や路面が悪い場所向きの「レイン」のほか、各種制御レベルを自分好みに調整できる「カスタム」(作り上げた設定を2パターン記憶可能)が選択可能。

ハンドルはフラットな形状で、バーエンドタイプのバックミラーが装備される。
左スイッチボックスにはグリップヒーター、クルーズコントロールなどのスイッチなどが並ぶ。

右スイッチボックにはトラクションコントロールの調整ボタンや、モード切り替えスイッチなどが並ぶ。

メーターは4インチの丸形フルカラー液晶。外周部に回転計(レッドゾーンは8000回転から)、中央に速度計/ギヤポジション/燃料計、下部に各種警告灯というレイアウト。
メーターは表示内容を切り替え可能で、写真はタイヤ空気圧、水温、バッテリー電圧などを表示した状態。文字は日本語対応となっている。

スポーツスターSの足着き&ライディングポジション

シングルシートが標準装備となるが、シートカウルに装着するタンデムシートキットも用意される(3万3380円)。シート高は755mm。

着座位置とハンドル高さのバランスが良く、自由度の高いポジション。
フォワードコントロールのステップも遠さを感じない位置にある(なおオプションでミッドコントロールキットも設定される)。
足着きでは、身長162cmのライダーではかかとが完全に浮くが、車体の軽さにより不安な感じはなかった。
エキゾーストパイプがあるので、右足のほうがかかとの浮きが大きい。

ハーレーダビッドソン スポーツスターS主要諸元(日本仕様)

[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクルV型2気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:105mm×72.3mm 総排気量:1252cc 最高出力:── 最大トルク:125Nm<12.7kgm>/6000rpm 変速機:6段リターン
[寸法・重量]
全長:2270 全幅:── 全高:── ホイールベース:1520 シート高755(各mm) タイヤサイズ:F160/70TR17 R180/70R16 車両重量:228kg 燃料タンク容量:11.8L
[車体色]
ビビッドブラック、ストーンウォッシュドホワイト、ミッドナイトクリムゾン
[価格]
185万8000円(ビビッドブラック)/188万7700円(ストーンウォッシュドホワイト、ミッドナイトクリムゾン)

「スポーツスターS」は7月14日から予約受付中となっている。

レポート●河野正士(解説本文)/上野茂岐(キャプション等) 写真●柴田直行 編集●上野茂岐

CONTACT

https://www.harley-davidson.com/jp/ja/motorcycles/sportster-s.html

ハーレーダビッドソンカスタマーサービス TEL:0800-080-8080

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