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全世界で多くの車種がひしめき合い、それぞれが時代の流れに合わせ進化を続けている2輪車市場。
年々厳しくなる排ガス規制などの制度やコンセプトが市場のニーズと合っていなかったなどの理由で消えゆくモデルがある一方、戦国時代さながらの激戦をくぐり抜け、スタイルや中身を進化させながら存在し続けるモデルもある。
なかにはそれまでのブームや常識をすべてひっくり返すような車両が誕生し、長きにわたりスタンダードモデルとして市場を牽引することも実際に起こっている。
バイクも他の歴史と同様、進化と淘汰を繰り返しながら広がり続けているのである。
当記事では大排気量スポーツ車の概念を根底から変え、スーパースポーツというカテゴリーを生み出す原点となった「ホンダCBR900RR」がどのようなバイクだったのかを見ていきたい。
オーバーナナハンスポーツの常識を覆したホンダCBR900RR
1992年 HONDA CBR900RRファイヤーブレード
1992年にデビューしたCBR900RRは、近年の日本製リッタースーパースポーツの原点と言うべき存在だ。
もちろん、このモデルの排気量は1000㏄に達していないのだが「並列4気筒車でスポーツライディングが満喫できるのは750㏄まで」という従来の常識を覆し(なお、当時のプロダクションレースの排気量上限も750㏄だった)、驚異的な運動性能を実現したCBR900RRは発売と同時に世界中で大ヒットを記録した。
結果的にこのモデルの成功が、後にニンジャZX-9R/10RやYZF-R1、GSX-R1000などが登場するきっかけになったのである。
もっとも、初代CBR900RRはコーナリングにおけるキレ味を重視し過ぎていたため、正直言って誰もが好感を持てる特性ではなく、ある意味ホンダらしからぬ……と思えるキャラクターだった。
いろいろな面で割り切りが感じられる特性で、例えば最高速や最高出力は当初から追求していなかったし、この時代までのリッターバイクで必須事項だったツーリングに対する配慮もほとんど行なわれていなかったのだ。
ただし、以後のホンダはCBR900RRならではのキレ味を維持しながら、徐々に間口を広げる改良を行ない、数年後には初心者でも気軽に乗れるレベルの包容力を獲得した。
排気量が1000㏄に拡大された2004年からは、スーパーバイクレース用ホモロゲーションモデルという使命が課せられるようになったものの、運動性能と扱いやすさを高いレベルで両立するというスタンスは変わっていない。
1998年 HONDA CBR900RR
2000年 HONDA CBR900RR
2002年 HONDA CBR954RR
2004年 HONDA CBR1000RR
2008年 HONDA CBR1000RR
2017年 HONDA CBR1000RR
ライバル車 1998年 YAMAHA YZF-R1
※本記事はモーターサイクリスト2017年3月号に掲載されていたものを編集・再構成しています。
(1)ホンダCBR900RRファイヤーブレード
(2)DUCATI 851・HONDA CBR600F/VF750F
(3)KAWASAKI 900 SUPER FOUR(Z1)& Ninjaシリーズ
(4)HONDA CB1000 SUPER FOUR・CB400 SUPER FOUR
(5)HONDA VT250F
(6)DUCATI MONSTER M900・Harley Davidson SPORTSTER・HONDA EARA
(7)Harley Davidson FXS LOW RIDER・MOTO GUZZI V7
(8)KAWASAKI ESTRELLA・DUCATI SCRAMBLER
(9)トレール・オフロード・アドベンチャー
(10)小排気量・スクーター編