空冷旧車に合うエンジンオイルとは
旧車にいいオイル。どれを使えば間違いないか、いつも迷います……。はじめまして。ドゥカティのカスタムにいそしむ八重洲出版某4輪編集部のSです。
このドゥカティは、1980年型の900MHR(マイク・ヘイルウッド・レプリカ)。ワンピースのカウルが特徴で、整備性の悪さもポイントです。なにしろ、エンジンまわりのメンテには、カウルを外す必要あり、カウルを外すにはフロントホイールを外さないといけない、こんな調子なので、オイル交換もひと苦労。


使うオイルにしても、悩みます。最新スペックの化学合成オイルは、クリアランスがキッチリ詰められた設計の新しいエンジン向けなので、旧車にそれを使用すると本来の性能を発揮できないばかりか、故障や漏れの原因に……。
ならばスタンダードな鉱物油を選んでおけば間違いないかと言われれば、劣化のスピードや、温暖化の一途を辿る日本において高負荷時の油膜切れによる故障の原因も……。
特にドゥカティのベベルなんていう趣味性の高い旧型輸入車は、先達やバイクショップのおすすめを使う人が多いのかもしれません。
しかし、オイルは消耗品。
3000km弱で交換するものに極端なコストをかけられないし、頻繁に高回転まで回すような乗り方でもないので、ホームセンターの鉱物油をこまめに交換することで、全然大丈夫だと思っていたのですが、どうでしょうか。

クリアランス大きめな、旧車向けのいいオイルがあった!

そんな筆者の気苦労(?)を気にかけてくれたのか、今回モーサイ編集部がA.S.H.オイルを取り扱うジェイシーディプロダクツ代表で、製品開発にも携わっている岸野 修さんに「MHRのような大排気量の空冷ツイン旧車に相性のいいオイルは?」と聞いてみてくれたようで。
すると「900ccの2気筒なので結構大きいピストンであること、そこそこピストン速度が速いこと、そして、何より熱価が高いことを考えると、粘度がしっかりしているMOTO-SPEC PSE 15W-50がいいと思います」というアドバイスだったそうです。
A.S.H.オイルのユーザーには古いバイクのユーザーも多く、特にエステル+鉱物油の部分化学合成油「MOTO-SPEC PSE」シリーズはそうしたユーザーから支持が厚いのだとか。
テスト車はドゥカティ 900MHR(1980年型)
というわけで、早速オイルを交換してみます。
今回はカウルを外さず、ポンプを使用して上抜きで交換。下から抜くためのドレンボルトにアクセスするためには、リヤバンクのエキパイも外さないといけませんので(汗)。
4L抜けきったところで、オイルフィルター交換とともアッシュオイルの「MOTO-SPEC PSE 15W-50」を注入!





そして、エンジン始動。
ギヤを入れた途端に、シフトショックの少なさに驚くとともに、走り出しも超スムーズ。
100%鉱物油の製品以外は粘度調整剤としてポリマー(増粘剤)を使わず、ベースオイルの配合によってしっかりとした粘度・油膜の強度を生み出しているのがA.S.H.オイルの特徴だといいます。
それって逆に、ベースとなるオイルの性能が高くないとできないこと。このシフトフィールのしっとり感は特筆すべき点です。
編集部補足:ポリマーは多くのエンジンオイルで粘度調整剤として使われる成分だが、高温にさらされると劣化しやすく粘度が変化してしまうほか、劣化したポリマーはスラッジ=オイルの汚れの一因となってしまう。
ポイントは「いいオイルをいい状態で使い続ける」こと?
ベースオイルにいいものを使用しているということは、劣化もしにくいということ。すなわち、ロングライフも期待できます。
「いいものを、いい状態で使い続ける」。これも、旧車を好調に保つコツなんでしょうね。

レポート&写真●八重洲出版・4輪編集部S まとめ●モーサイ編集部・上野
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