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性格の違う3台に入れてみる! まずはカブで高回転
ワークスレベルのレースシーンから、サンデーライダーのツーリング、歳を経た旧車まで、あらゆるバイクのエンジンを労り、その性能を最大限に引き出す──それが、A.S.H.(アッシュ)のエンジンオイルだ。
最大の特徴は、レースユースに適した最高峰グレードからベーシックレードまで、全グレードで「粘度低下率ゼロ」を達成していること。これは、エンジンに入れて使い続けてもオイルの粘度が落ちず、交換するその瞬間まで本来の潤滑性能を維持し続けるということだ。その秘訣は「ノンポリマー」。
一般的なエンジンオイルでは、粘度調整のためにポリマーが添加されるが、ポリマーは熱と圧力を受けると劣化し、スラッジとなってしまう。こうなると、オイルは設計通りの粘度を維持できなくなり、潤滑性能が著しく低下してしまうのだ。
アッシュオイルでは、この害を受けないよう「ポリマーを使わない」配合にこだわった。ポリマーに頼ることなく、高品質なベースオイルを用いることで粘度調整を行っているという。
だから、アッシュオイルは使い続けても粘度が落ちない。長く使っているユーザーからは「アッシュオイルからアッシュオイルへオイル交換しても、交換前の古いオイルと交換後の新しいオイルでのエンジンフィーリングの差がほとんどない」と言わしめるほどだというが……果たして、その潤滑性能のほどは!?
今回からは、ツーリングからサンデーレースまで、「走る」ことをとことん愛する一般ベテランライダーの視点で、アッシュオイルの性能について忌憚のないレポートをお届けしたい。
協力してくれるのは、関西在住のサンデーレーサー・望月和彦氏。
1990年代~2000年代には地方選手権への参戦経験があり、現在もミニバイクレースに参戦。一方で「景色やグルメではなく走ること自体が目的」と本人が語る、公道ツーリングも嗜むベテランライダーだ。
現在の所有車両は、GSF1200、SV650ABS、スーパーカブ90、それにサーキットでクラッシュしたが現在復活に向けて作業中のGSX-R125。
実働状態にある3台は、まったく性格が異なる編成だ。
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この3台に、アッシュオイル・モトスペックの中でも、公道ライダーに愛される「FS」「VSE」「PSE」の3グレードを入れ、順にテストを行う予定である。
サンデーレーサーが下駄代わりに使うカブ90……「街乗りでもエンジンは全開にせざるを得ないくらい非力!」
今回テストしたのは、スーパーカブ90とアッシュオイルPSEの組み合わせ。
ホンダが誇るビジネスバイクと、アッシュオイルの中でも最もリーズナブルなベーシックグレードの組み合わせだ。
望月氏の所有する車体は、2009年式。スーパーカブ110がリリースされる直前のキャブ最終型だ。もともと家族が使っていた車体を譲り受けたもので、基本「チョイ乗り用」。2023年6月時点で走行距離は21000kmということで、望月氏曰く「年式のわりに走ってない」とのこと。ビジネスバイクという性格上、一回の走行距離はそこまで長くならず、「ちょいちょい乗る時期もあるし、長く乗らない時期もある」という使い方だそうだ。
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エンジンの堅牢さがウリのスーパーカブだけに、これまで入れてきたオイルはコストパフォーマンス重視でさほどこだわっておらず、純正指定銘柄を使うことも多かったそう。
そのため、今回アッシュオイルを試すにあたっての指定は、ベーシックグレードの部分合成オイル「PSE」。
「アッシュオイルの性能的に、カブにはPSEでも上等すぎるくらいだと思う」
と望月氏。レース用の車体は時間管理でシビアにオイル交換しているが、カブに関しては比較的ルーズで「前回のオイル交換は2年前で、そこから3000kmほど走ったかな」とのこと。
「エンジンが小さいし、本当に非力で遅いから、街乗りでもクルマの流れに乗ろうと思うと必然的にスロットルは全開にせざるを得ない。カブだけに、オイル管理にそこまでシビアになる必要はない車体だと思っているけれども、やっぱりオイルの劣化につれて、スピードの伸びが悪くなったなぁとは感じてた」
劣化したオイルでは、スロットルを全開で保持しても、なかなか速度が上がってこない体感があったのだという。
ツボを押さえた正しい手順で「PSE」を注入する
今回アッシュオイル「PSE」をテストするにあたり、望月氏は「極力イコールコンディションで比較したいから」と、事前に純正同等のオイルにいったん交換。そこから300kmを走って、アッシュオイルPSEへ交換する作業を行った。
作業は、望月氏が所有するガレージで実施。
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エンジン始動後、暖機作業を行い、エンジン内のオイルに熱を入れて抜き取りやすくする。
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カブなのに、オイルフィラーキャップがワイヤリングされている!
長くレース活動をしているせいか、望月氏の所有する車体は公道用バイクもすべてワイヤリングが施してあるのだ。ワイヤリングは締めたことを確認する意味で実施しているそうだが、望月氏曰く「雰囲気カスタムの一種で、まあ、男の嗜みみたいなものですかね(笑)」。
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エンジン下部にあるドレンボルトを外し、古いオイルを抜き取る。
オイル交換は、メンテナンスビギナーにも挑戦しやすい作業だが、オイルに熱を入れてから抜く工程を踏む場合は、やけどに注意して作業したい。
「前回入れたオイルは、300kmしか使ってないからスラッジも出てないし、ほぼ新品だなぁ……」
望月氏の言葉通り、流れ出るオイルにはまだ透明感があり、劣化は感じられない。
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古いオイルが完全に抜けたら、ドレンボルトに新しいワッシャーをつけて指定トルクで締め付けてから、アッシュオイルPSEを注入する。
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ちなみに、オイルドレンボルトのワッシャーについては「再使用できるか否か」がセルフメンテ派の中でちょいちょい話題になるが、望月氏によれば「そんなに高いものじゃないのだから、毎回新品に交換したほうが安心でしょう」とのこと。
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アッシュオイルのテクスチャーが気になるという望月氏。
注入前に、アッシュオイルPSEを少量バットに出して、質感をチェックしてみた。
「粘度はメーカー指定通りで、今まで入れていたオイルとも同じ(10w-40)なんだけれど、こうやって見ると、今までのオイルよりしっかり粘度がある印象ですね」
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オイルの注入には画像のような漏斗、またはオイルジョッキを使用するとスムーズだ。
スーパーカブ90のオイル量は0.8L。スポーツモデルによくあるオイル窓はなく、オイルフィラーキャップについているレベルゲージでオイル量を確認する。
このとき、車体は直立状態で確認するのがお約束。スーパーカブ90はセンタースタンドで直立させて確認している。
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エンジンオイル1L缶で足りること、PSEはアッシュオイルの中でも一番コストパフォーマンスが高いことから、望月氏は
「PSEは純正オイルとの価格差があまりなくて、製造元の企業努力を感じた。今まで純正オイルを使っていた人が高性能オイルを試してみたいと思ったときに使いやすいし、自分もフィーリングがよければ継続したいと思う」と話してくれた。
交換後のフィーリングに有意差はないが試走で気づいた「最高速が伸びる!」の大変化
アッシュオイル「PSE」オイル交換後、早速試走へ向う望月氏。
この日の試走に加え、1回100km単位の試走を繰り返したうえで、PSEのフィーリングについて意見を述べてくれた。
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「今回は、300kmしか使っていないオイルからの交換だし、もともとカブのエンジンは極端にタフで『オイルが入ってれば走る』っていうぐらいだから、シフトフィールやメカノイズに関しては、正直大きな変化はなかった。これはカブならではの特徴だと思う」
望月氏が変化を感じたのは、気温30度Cを越える状況でのロングライドだ。
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「炎天下、かつ全開状態が長い乗り方で100kmほど走り回ったけど、熱ダレする気配は一切なかったし、感覚的なものだけれど、しっかりとエンジンが潤滑されている感触がある。驚いたのは、スロットル全開にしたときのスピードの伸びが有意に変わった。幹線道路で比較的速い四輪の流れにも、楽に乗れるようになったのが助かる」
可能であれば、今後アッシュオイルPSEが入った状態のスーパーカブ90をサーキットに持ち込んで、最高速チャレンジの機会を作りたいと、目を輝かせていた。
また、これまでレース活動を通して様々なケミカルに触れる機会が多かった望月氏だからこそ、今後気になるのは、PSEの耐久性だという。
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「アッシュオイルは、『使い続けてもフィーリングが変わらない』ことを謳っているので、それが本当に体感できるかが楽しみ。これまで使ってきたエンジンオイルでは、使っているとある時点でオイルの劣化が顕著になって、いきなりフィーリングが悪くなることが多かった。アッシュオイルならばそういったことがなく、半年、一年とこのフィーリングを維持してくれるとしたら……この先にかなり期待できると思う。何より、年数が経ったエンジンを確実に潤滑してもらえるのがありがたいね!」
次回は、GSF1200にアッシュオイルFSを入れてテストを予定。
スズキが誇る油冷エンジンにとって、エンジンオイルは潤滑のみならず「冷媒」としても重要な役割を担う。望月氏が所有するGSF1200は1996年式。新車から30年近く経過したエンジンを労る意味でも、アッシュオイルの潤滑力がどんな変化をもたしてくれるか、期待が高まるところだ。
「アッシュオイル」の潤滑力を、サーキット専用車でも試したい! 実現なるか? GSX-R125復活計画
望月氏がアッシュオイルをテストする予定の車両は、GSF1200、SV650ABS、スーパーカブ90の3台だ。だが、スーパーカブ90のテストを行った時点で、望月氏から新たな提案があった。
修復中のGSX-R125で、アッシュオイル最高峰グレードの「FSE」をテストしてみたいのだという。
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岡山国際サーキットでのハードクラッシュで、フレームが歪むほどの大ダメージを受けたGSX-R125。
現在は予備フレームにエンジンを載せ替え、補機類をすべて移設する作業を進めているところだ。
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「R125はナンバーを切ってサーキット専用で使っている車両だから、エンジンオイルもエンジン保護の観点からシビアに選んでいるし、オイルチョイスがタイムにもきっちり影響してくる。100%エステル化学合成油で、ワークスレベルの性能を持つという『FSE』を、ぜひこの車体に入れてテストしてみたい」
とのこと。果たしてGSX-R125の復活計画が実現するか、ご期待いただきたい。
レポート&撮影●増田恵子
問い合わせ●ジェイシーディジャパン TEL075-644-4176
A.S.H.クオリティの真髄
○ジェイシーディプロダクツ
http://www.jcd-products.com/
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