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スクーターに「SUVブーム」が到来!? ホンダとアプリリアが2022年モデルでオフ系スクーターを発表

EICMAで発表された2022年モデルに、オフロード系スクーターが2機種登場

クルマの世界で今最も人気のあるジャンルといえば「SUV」ではないでしょうか。

ご存知の方も多いかと思いますが、SUVとは「Sport Utility Vehicle」の略。大ざっぱに訳すなら「スポーティでありながら多目的に使えるクルマ」といったところで、高めの車高や4WD機構などでいわゆる乗用車より高い走破性を有しつつ、日常での快適性や実用性も備えているのが特徴です。
まさにそういったSUV的要素を取り入れたスクーターが、今後ひとつのトレンドとなっていくかもしれません。

というのも、イタリア・ミラノで開催中のEICMA(「ミラノショー」とも呼ばれる世界最大級の2輪車のモーターショー)で、ホンダとアプリリアがオフロードのテイストを盛り込んだスクーターを発表したのです。

ホンダADV350「走破性を高めた車体にフォルツァベースのエンジンを搭載」

ヨーロッパ市場に2022年モデルとして投入される新型車・ホンダ ADV350(スパングルシルバーメタリック)。
エンジンは330cc水冷単気筒となるホンダ ADV350(スパングルシルバーメタリック)。

ホンダが欧州向け2022年モデルとして発表したのは「ADV350」。X-ADV(750cc)、ADV150(150cc)と既に展開している「ADVシリーズ」の中間排気量版です。

NC750Xと同じプラットフォームのX-ADVは、スクーターというより「DCTを採用したスクーター的フォルムのオートマチックモーターサイクル」といった構成ですが、ADV150は3代目PCX 150をベースに走破性を高めたスクーター。

その2車同様、ADV350もベース車と思しき存在があります。エンジンは330ccの水冷単気筒「eSP+エンジン」で、海外向けに販売されているフォルツァ350(日本で販売されている250ccモデル「フォルツァ」の排気量拡大版)とスペックはほぼ共通。

ホンダ X-ADV(750cc)。DCTを組み合わせたオートマチックモーターサイクルで、NC750Xとプラットフォームを共有。フラットダート程度を想定した走破性が与えられています。

ホンダ ADV150(150cc)。3代目のPCX150をベースとしたスクーターで、荒れた路面を想定して、PCXよりも長めのサスペンションストロークが与えられています。

さて肝心のADV350の特徴ですが、鋭いヘッドライト、折りたたみ可変式のスクリーン、バータイプのハンドル、ブロックパターンのタイヤ、アップタイプのマフラーなど、デザインや装備は「ADVシリーズ」共通のイメージ。
フロントサスペンションに倒立フォークを採用するほか(フォルツァ350は正立)、リヤサスペンションはリザーバータンク付きのツインショックで、最低地上高はフォルツァ350:135mmに対し、ADV350:145mmと高い数値が確保されています。

330ccのOHC4バルブ水冷単気筒エンジンはヨーロッパの最新環境規制「ユーロ5」に適合したうえで最高出力29.2馬力/7500rpm、最大トルク3.2kgm/5250rpmの性能となっており、フォルツァ350(および日本のフォルツァ)同様に「ホンダ・セレクタブル・トルク・コントロール」が採用されています。

ただ、最高出力発生回転数、最大トルク発生回転数もフォルツァ350と同じなのですが、ADV350では最高出力で0.2馬力、最大トルクで0.04kgmと極僅かではあるものの低い数値となっています。

実用性も十分で、シート下トランクはヘルメットを2個収納できる容量が確保されているほか、ハンドル下の小物入れにはUSB電源を配備。また、スマートキーシステムも導入されています。

ADV150に似たイメージにまとめられたADV350のヘッドライトデザイン。
倒立のフロントフォークはインナーチューブ径37mmでストローク量は125mm。ブロックパターンタイヤが装着されるのも、他の「ADVシリーズ」同様です。
リヤサスペンションはショーワ製のリザーバータンク付きツインショックで、ストローク量は130mm。
ADV350の水冷単気筒「eSP+エンジン」。排気量330cc、ボア・ストローク77.0mm×70.7mm、圧縮比10.5という数値はフォルツァ350と同値。最高出力は29.2馬力/7500rpm、最大トルクは3.2kgm/5250rpmという性能。
折りたたみ可変式のスクリーンを上げた状態。

折りたたみ可変式のスクリーンを下げた状態。

シート高は795mm。後席は表皮のパターンを変え、「X」状のグラフィックがあしらわれます。

シート下トランクにはヘルメット2個を収納可能。

ハンドルは他の「ADVシリーズ」同様にバータイプでワイドな形状。ナックルガードも標準装備されます。

ホンダ ADV350主要諸元(ヨーロッパ仕様)

【エンジン・性能】
種類:水冷4ストローク単気筒OHC4バルブ ボア×ストローク:77.0mm×70.8mm 総排気量:330cc 最高出力:21.5kW(29.2ps)/7500rpm 最大トルク:31.5Nm(3.2kgm)/5250rpm 燃料タンク容量:11.7L 変速機:無段変速式
【寸法・重量】
全長:2200 全幅:895 全高:1430 ホイールベース:1520 シート高:795(各mm) 車両重量:186kg タイヤサイズ:F120/70-15 R140/70-14

ホンダ ADV350(マットカーネリアンレッドタリック)
ホンダ ADV350(マットカーボニウムグレーメタリック)

アプリリア SR GT200/SR GT125「エンデューロにインスパイアされた、路面を問わない万能マシン」

一方、アプリリアから発表されたのは、125ccと174cc、ふたつの排気量が用意されるコンパクトなスクーター「SR GT」シリーズです。
エンデューロの要素をスクーターに取り込んだというSR GTが掲げるコンセプトは「アーバンアドベンチャー」というもの。

サスペンションは長いストロークが与えられ、最低地上高は175mmと高めの数値を確保。都市部では高いアイポイントで安心して機敏な走りが味わえるだけでなく、「オールテレインタイヤ」により石畳路面や未舗装路など道を選ばない走破性も有しているとのことです。

アプリリアが2022年モデルとして発表した新型スクーター「SR GT」シリーズ。写真は174ccエンジンを搭載するSR GT200(レッドレースウェイ)。
真横から見ると、長いサスペンションを採用し、十分な最低地上高を確保している「SR GT」シリーズの特徴がよくわかります。写真はSR GT200(レッドレースウェイ)。

スポーティなデザインも特徴で、ヘッドライトユニットはスーパースポーツのRSV4やRS660と共通イメージの3灯式。一方、フットボードのサイドはオフロードバイクのプロテクターをイメージしたデザインとのことで、オンロード/オフロード、それぞれのスポーティな要素が融合されているとも言えます。

エンジンは水冷125ccOHC4バルブ単気筒と、水冷174ccOHC4バルブ単気筒の2種類を用意。どちらもアプリリアを含むピアッジオグループで採用されている環境性能と走行性能を両立した「i-getエンジン」シリーズの最新版で、125ccは最高出力15馬力の性能。
174ccは今後ピアッジオグループの200ccクラスで主力エンジンとなるべく新開発されたもので、優れた熱効率、ピックアップの良さ、スムーズな回転感を追求。最高出力は17.7馬力となっています。

2エンジンともRISS=レギュレター・インバーター・スタート&ストップ・システムと呼ばれるアイドリングストップ機能も搭載されており、燃費はWMTCモードでSR GT125が40km/L、SR GT200が38.5km/Lとなっています。

アプリリア製スーパースポーツのRSV4シリーズやRS660と共通イメージのヘッドライト周り。
液晶のメーターも中央に速度計と回転計をレイアウトしたスポーツバイクのようなデザイン。
シート下収納はヘルメット1個プラスアルファといったスペース。
フロントフォークはショーワ製の正立フォークでインナーチューブ径は33mm、ストローク量は122mm。
リヤサスペンションはツインショックで、フロント同様にショーワ製。ストローク量は102mmで、プリロードを5段階に調整可能。

アプリリア SR GT200主要諸元(ヨーロッパ仕様)

【エンジン・性能】
種類:水冷4ストローク単気筒OHC4バルブ ボア×ストローク:── 総排気量:174cc 最高出力:13kW(17.7ps)/8500rpm 最大トルク:16.5Nm(1.6kgm)/7000rpm 燃料タンク容量:9L 変速機:無段変速式
【寸法・重量】
全長:── 全幅:── 全高:── ホイールベース:── シート高:──(各mm) 車両重量:148kg タイヤサイズ:F110/80-14 R130/70-13

アプリリア SR GT125主要諸元(ヨーロッパ仕様)

【エンジン・性能】
種類:水冷4ストローク単気筒OHC4バルブ ボア×ストローク:── 総排気量:125cc 最高出力:11kW(15ps)/8750rpm 最大トルク:12Nm(1.2kgm)/6500rpm 燃料タンク容量:9L 変速機:無段変速式
【寸法・重量】
全長:── 全幅:── 全高:── ホイールベース:── シート高:──(各mm) 車両重量:144kg タイヤサイズ:F110/80-14 R130/70-13

車体色は写真のストリートゴールド、ストリートグレー、レッドレースウェイのほか、アプリリアブラック、インフィニティブルー、イリジウムグレーをあわせ計6色が用意されるようです。

ホンダはEICMAで公開した一部モデル(CBR1000RR-RファイアブレードSP 30th Anniversaryなど)について日本仕様の発売を予定していると発表していますが、ADV350は含まれていません。
330ccだと「車検あり」となってしまい、日本では販売上なかなか難しい存在となってしまうのもあるでしょうが、ADV150が人気を博していることを考えると……。フォルツァシリーズのように「日本では250cc版を投入」という可能性もゼロではないかもしれません。

アプリリア「SR GT」シリーズに関しても現時点では正式な日本導入の発表はありませんが、コロナ禍における通勤用途やレジャー需要で125ccモデルの販売が好調な点や、ADV150が現状ライバル不在で人気を誇っていることを考えると……。200、125とも一定の支持を集めるのではないでしょうか。

ホンダ ADV350
アプリリア SR GT200

まとめ●上野茂岐 写真●ホンダ/アプリリア

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