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大ヒットの某250cc単気筒クルーザーと比較されることが多い?
カワサキの新型エリミネーターが2023年の3月に発表されてから「250cc単気筒で高速は辛いからコレはいいね!普通二輪免許で乗れるし」という反応をweb上で結構見かけます。
250cc単気筒と比較となると、同じくクルーザーモデルのホンダ レブル250を念頭に置いている人が多いのではないかと推測しますが……。
エリミネーターは400cc並列2気筒で、最高出力48ps。
レブル250は250cc単気筒で、最高出力26ps。
単純に高速性能を考えれば、レブル250より排気量もパワーも1.5倍以上あるエリミネーターがそりゃ有利ですよね。
ちなみに価格はレブル250の約1.2倍(スタンダード)、約1.4倍(上級仕様のSE)──。
車重はエリミネーターの方が重いですが、意外にその差は僅差。エリミネーターは上級仕様のSEで178kg(軽い!)、レブル250は171kgなのです。
パワーウエイトレシオで見ても、エリミネーターが3.7、レブル250が6.5で、エリミネーター圧倒的有利。
「高速走行、どっちが楽か」という観点だけで勝負をするなら、これは結果が見えて……ということで、当記事ではエリミネーターの高速性能をじっくり試してみることにしました。
80〜100km/hは余裕の走り、力強い加速で追い越し加速もラク!
では、実際にエリミネーターで高速道路へ。
ギヤをかき上げながら本線への合流。力強い加速でスムーズです。「頑張って助走をつけて……」みたいなことは一切不要!
そして、流すような感じでまずは80km/h。この時の回転数は、5速で5000rpm、6速で4500rpmとなりました。
*回転計が500rpm刻みなので、メーター上では500rpm単位でしかわからない点をご了承ください。
追い越し車線へ出るために加速をかけるときも、6速でスロットルを大きく開ければそのままスッと十分に加速していきます。
ただ、追い越し車線の流れが早くて一気に加速して入りたいようなときもあるかと思います。そういう場合は5速へシフトダウンした方が加速力が増してスムーズですね。
120km/h走行も試してみた
そして100km/h走行時の回転数は、5速で6500rpm、6速で5500rpm。
エリミネーターの最大トルク発生回転数は8000rpm、最高出力発生回転数は1万回転なので、まだまだ余力はあるはず!?
実際、低いギヤで走ったときも1万回転以上まで力が途切れることなく俊敏かつスムーズに回っていましたし、今日では高速道路に制限速度120km/h区間もあります。というわけで、そこでの走りも試してみることに。
(余談ですが、高回転域では一昔前の400cc4気筒車みたいに「フォーン」という音になっていき、なかなか気持ちいいです)
先に書いたように、6速スロットルワイドオープンで120km/hに乗せることは余裕で、そのときの回転数は7000rpm。
エンジンも全然苦しくないですし、車体もしっかり安定しています。
100km/h走行時も安定感が高いなぁと思いましたが、いわゆる「矢のようにビシッと突き進む」みたいな感じとはちょっと違って、着座位置含めバイク全体が低いからか「地を這う」ようなイメージでしょうか。
継ぎ目を乗り越えるような強い入力があっても、ゴンッとも、ドスーンともならず、フワッといなす。……というとちょっと誤解を招きそうですが、サスペンションが柔らかいとか、そういうわけではないのです。
おそらくシートが肉厚で、スポンジが柔らかいのが効いているのかも。お尻だけ誰かに支えてもらっているみたいな感じなのです。
ヘッドライトカウルはちゃんと防風性が考えられていた!?
今回テストをしたのはヘッドライトカウルやドライブレコーダーなどを装備する上級仕様の「SE」。このヘッドライトカウル、ドレスアップ的要素が強いのかと思っていたのですが、ちゃんと風を防いでくれている様子。80〜100km/h走行時では、胸まわりに風圧をあまり感じません。
風の流れがどの辺で変わるのか。左手をいろんな位置に動かしつつ手の平で風の当たり具合を確かめてみると、胸から顎くらいの高さまでは風が穏やかになっている=整流されているのがわかりました(ライダーの身長は170cm)。上体を軽く伏せると、ヘルメット頭頂部を風が流れていくような感じになります。
また、高速走行で多用する5000〜7000rpmでも、それ以上の高回転でも、ハンドルやステップに痺れるような振動は出てきません。これなら高速走行が長時間にわたっても、身体的な負担は少ないのではないでしょうか。
400ccという排気量からイメージする以上に、エリミネーターの高速巡航性能、快適性能、かなり高いと思います!
エリミネーターの足着き&ライディングポジション
足着きは身長170cmで両足の足の裏全面が接地。車重も軽いので、多少車体が傾いても不安はありません。
ステップは足を前へ投げ出すタイプではなく、足を自然に降ろしたところにあり、ハンドルも遠くありません。タンクは横幅がそこそこあるので、ニーグリップがしっかり決まります。クルーザーというよりはシートが低くなったネイキッドのようなライディングポジションに感じました。
写真の車両はスタンダードですが、シート形状・シート高数値はSEと同じです。
カワサキ エリミネーター主要諸元
*[ ]内はエリミネーターSEの数値
【エンジン・性能】
種類:水冷4サイクル並列2気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:70.0mm×51.8mm 総排気量:398cc 最高出力:35kW<48ps>/1万rpm 最大トルク:37Nm<3.8kgm・f>/8000rpm 変速機:6段リターン
【寸法・重量】
全長:2250 全幅:785 全高:1100[1140] ホイールベース:1520 シート高735(各mm) タイヤサイズ:F130/70-18 R150/80-16 車両重量:176kg[178kg] 燃料タンク容量:12L
【車体色】
スタンダード:メタリックフラットスパークブラック、パールロボティックホワイト
SE:メタリックマットカーボングレー×フラットエボニー
【価格】
スタンダード:75万9000円
SE:85万8000円
まとめ●上野茂岐 写真●岡 拓/カワサキ