ヒストリー

どうしてこうなった……!? 奇抜なアイデアに「へぇ」と驚く 昭和のバイク用オモシロアイテム

「人間が想像できることは人間が必ず実現できる」
とはジュール・ヴェルヌの言葉だが、そうは言っても思いついたアイデアをそのまま実現しようと動くことは、なかなかできないのが人間というものだ。

しかし振り返ってみれば、世の中には奇抜なアイデアを形にして世間を驚かせた例はゴマンとある。
もちろんバイク用品も同様。いや、むしろ「定番」ができていなかった時代は、バイク用品業界もそれこそ何でもありのバーリトゥードかもしくはバトルロワイヤルばりの様相を呈していた。

今回はそのなかから、大人気を博したものからイロモノで終わってしまったものまで、昭和のユニークな用品を取り上げてみよう。
単なる思い付きでもカタチにしてしまえば勝ち、なのだ。

 

昭和の時代に生まれたユニークなバイク用品たち

令和になっても購入できる昭和のアイデア・ターボバイザー

現在でも購入可能というターボバイザー。当時の雑誌にも製品紹介が掲載されていた。

雨が降ると前が見えにくいのはバイクの宿命。
そこで考えられたのが走行風でシールドが回転し、水滴を遠心力で吹き飛ばすというもの。

現在でもネット通販などで買うことができるようだ。これは一体どんな使い心地なのか、試してみたい気持ちに駆られる一品。

どうやらイギリス発祥……らしい。気分は仮面ライダーの変身ベルト。カッコイイかも。

 

ヘルメットを被ったまま「もしもし?」・テレフォンヘルメット

耳の部分にメッシュで覆った穴が設定されており、受話器を押し付ければ自然に会話が可能だった。

1970年代初頭、ヘルメットを被ったまま電話ができる製品をコミネが発売していた。

当時はもちろん携帯電話やスマホはなく、一般的な受話器対応だが、走行中は風切り音がうるさかったらしい。
ちなみにホンダも耳の部分に穴を空けて、音が聞き取りやすいヘルメットを発売していた。

 

原材料は鉛とスズの特殊合金金属……とか・モーターロイ

「内燃機関のホルモン!!」というキャッチが目を引く広告ページ。類似品もあるが、アメリカ製が本物だ。

鈍く輝く銀色の塊を燃料タンクに放り込むと、ガソリンにゆっくりと溶け出し燃焼室へ送られ、バルブやシリンダーを修復することで燃費も向上する、といううたい文句がバイク雑誌の広告にもよく出ていたモーターロイ。

ネット上ではまだ取り引きされているようだ。

 

エルヴィス・プレスリー気分を味わえる!? レザーフリンジ・グリップカバー

ああ、ヒョウ柄シートカバーと相まって、グリップエンドから垂れ下がるフリンジがオシャレでキマっている。風を可視化する逸品。

昭和の中期からあって低コストで目立つものと言えば、ハンドルグリップエンドにセットするレザーフリンジ・グリップカバー。

房飾りが長ければ長いほど風になびく姿が様になる。
現在もデグナーなどから同様の製品が出ている。

 

愛車をセクシーに演……出!? ヒョウ柄シートカバー

哺乳綱食肉目ネコ科ヒョウ属に分類される食肉類、ヒョウ。そんな強い動物を組み敷く感覚を味わうことで優越感にひたれるようだ

近年はあまり見かけないけれども、ヒョウ柄のシートカバーは60年代、70年代だと取り付けるのがポピュラーだった。

見た感じは表面が毛皮のようで冷たくないイメージに。雨にぬれるとどうなるのかは不明。
すでに絶滅したかと思われたが……。

2010年型カワサキZ1000は、なんと純正(!)でヒョウ柄ならぬヘビ柄シートを採用してきたのだった!!
さすがにこれには驚いた……!

カワサキ・Z1000。まさかのヘビ柄シート採用で話題を集めた。バイクの雰囲気とえらいマッチしている。これが調和というものか……。

 

耐水性に優れていた全天候型人工皮革 コミネ・アルファレイン

写真はジャケットの広告。アルファレインの耐水性の高さを視覚的に訴えている。

1970年代までのモトクロスパンツといえば皮革製が一般的。耐熱と引っ張り強度は優れていたが、残念ながら雨に弱いのがウィークポイントだった。

そこでコミネはアルファレインという防水レザーを使ったモトクロスパンツを作り、一部のファンに支持された。

 

サイドビューの印象を一変させた大ヒット作・BEET アルフィンカバー

高い人気を誇ったアルフィンカバー。特に当時物は現在でも人気が高く、車種によっては高値で取引されることもある。ジャパニーズカフェレーサーには外せないアイテム。細いスリットの奥に補機類がチラリと見えるのもカッコ良かった。

400FXやCBX400F、XJ400など80年代の中型バイクに取り付ける人が次から次に現れ、今なお根強い人気とファンを持つ、1980年代のヒットアイテム。

樹脂製の純正サイドカバーとは異なり、アルミ製のフィンタイプ(スリット)を略してアルフィンカバーと呼称していた。
現在でも一部車種用は購入可能だ。

 

トライアル対応のスタイリッシュな長靴 NARVA・デイトリッパーブーツ

当然ながら完全防水。令和時代でもウケそう。写真のNARVAとはコミネオートセンター(現 コミネ)が取り扱っていたブランド。

1970年代の第1期トライアルブームの頃に流行した英国ダンロップ製トライアルブーツに、日本のコミネなども追随。

通常のゴム長靴は雨に強いが衝撃に弱い。
しかしトライアル向けは足先やカカト、ソールに金属が組み込まれており、トライアルに適した機能を発揮した。

 

単気筒でも4本出し!? ○本出しマフラー

1960年代の高度経済成長時期には多彩なバイクが発売され、それぞれカスタムされていくが、単気筒なのにマフラー2本出し、4本出しは当たり前だったのである。

現代の車両で発売されているのはあまり見かけないが、当時はこれでもかというぐらいに盛り上がった。
それにしても、4into1マフラーは集合管と言うが、その逆は何と呼べばいいのだろう……離散管?

 


 

こうして見ると当時は奇抜であった用品でも、現在につながるアイデアが盛り込まれたものも存在する。
その反面、どうしてもイロモノにしか思えないものもあるが、様々なバイク用品が存在したこと自体が、当時のバイク熱を如実に表しているといえるだろう。

昭和という時代は、バイクだけでなく用品も熱かった時代だったのである。

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