知名度、フィーリング、コストパフォーマンスなど「いいオイルの条件」は人それぞれだろうが、「潤滑性がしっかりしていることは第一条件。その上で粘度が低下しないことがいいオイルの条件だと思います」と話すのはJCDプロダクツの代表の岸野修さん。以前はクルマ用チューニングパーツメーカーに勤務ていたが、その後独立し2003年からは自身が開発したA.S.H.(アッシュ)オイルの製造販売を行っている。

JCDプロダクツ代表兼アッシュオイル開発者の岸野修さん。以前勤めていた会社ではエンジンオイルを科学的な研究を行いつつ、グループCカーのレース活動のサポートも行っていた。コーヒーやワインも好きなこだわり派。
「ポリマーを使っておらず、粘度の低下がほぼ0」というのがアッシュオイルオイルの特徴。ここでいうポリマーとはエンジンオイルを作る際に配合する「増粘剤」(読んで字のごとく、”粘”度を”増”やす薬”剤”)のこと。料理の際にとろみをつけるための水溶き片栗粉、といえばイメージしやすいかもしれない(実際はそんな単純なものではないが)。
一般的なエンジンオイルは、さらさらのベースオイルにポリマーやその他添加剤を配合して作られる。このほうがコスト的にもリーズナブルで、0w-30、10w-40など様々なグレード(粘度)のオイルが作りやすいのだ。
しかし、ポリマーにも弱点があって、熱に弱く高温にさらされると分子構造が壊れてしまう。ひとかたまりのときにには増粘剤として機能していても、バラけてしまうとその効果を発揮できず、粘度が落ちてしまうのだ。また、バラけたポリマーはスラッジ(汚れ)の原因にもなる。

とある旧車のオイルパンより。あちこちにこびり付いている黒いヘドロのようなものがポリマーのなれの果てのスラッジで、細かな銀粉は摩耗したエンジン部品。これはかなりひどい例だが、オイル交換がおろそかだと、現行車でもこうなるかも?
対してアッシュオイルの場合は、ベースオイルにポリマーではなく、様々な粘度、堅さのオイルを混ぜてエンジンオイルを作っている。手間暇コストが掛かる反面、汚れの原因となり、粘度低下を引き起こすポリマーを使っていないためエンジン内部をきれいに保つことができ、またオイルも劣化しにくい。
「オイルの交換時期は3000kmが目安」とよく言われるが、アッシュオイルの場合3000kmどころか、その倍の6000km使ってもさほど劣化しないという。車種や乗り方にもよるし、岸野さんも3000kmごとの交換を推奨しているのだが。

アッシュからラインナップされるエンジンオイルたち。右のふたつは部分合成油で、残りの3つは化学合成油(いずれも1L缶)。
またアッシュでは、化学合成や部分合成油など複数のエンジンオイルのほか、もフォークオイルやブレーキフルード、2ストオイルなど、バイクに必要な油脂類を多数ラインナップしている。
そうした各オイルの特徴などはまた次の機会に紹介したい。
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