■キメラ12cc氏のSUZUKI GSF1200(1995年式)
消耗品であるエンジンオイルは、性能とコストパフォーマンスのバランスも重要
常軌を逸した猛暑が記憶に残る2024年もあとわずか。
11月半ばまで汗ばむ陽気が残っていたものの、一気に冬の気配が訪れつつある。こうなると、気になるのが苛酷な暑さに晒された愛車のコンディションだ。エンジンを労るためにも冬が来る前にオイルを交換しておこうと考える方も多いのではないだろうか。
近年の気候変動により、日本はバイクのエンジンにより厳しい環境になりつつある。
そうすると大切なのは、エンジンオイルのチョイス。
エンジンオイルは、エンジン内部で高速で動く金属部品を潤滑するためのいわば「液体パーツ」であるが、オイルによってはエンジンが過熱状態に晒されると、本来の潤滑性を維持することができないものもある。今、選ぶべきはやはり「熱への強さ」について信頼感をもてるエンジンオイルだといえるだろう。
そこでお薦めしたいのが、J.C.D.プロダクツより発売されている「アッシュオイル」だ。
一般的なエンジンオイルに増粘剤として使われることが多いポリマーの弊害(熱により劣化し、オイル自体の性能を低下させる)に着目し、全グレード、ノンポリマー設計に統一。かつ、より質の高いベースオイルを使うことで、熱に強く、長期間使い続けても粘度が落ちない「粘度低下率ゼロ」を全グレードで達成している。
アッシュオイルでは、ワークス/選手権レベルでの使用も想定されたハイレベルな「FSE」から、コスパに優れたベーシックグレード「PSE」まで、全4グレードをラインナップ。上位グレードのクオリティの高さもさることながら、ベーシックグレードも確実な潤滑性能と耐熱性を備えている。
消耗品としてのランニングコストを考えると、アッシュオイルで一般的なライダーにお薦めしたいリアル感のあるグレードは、ベーシックグレード「PSE」のひとつ上、100%化学合成油でありながらコストパフォーマンスにも優れる「VSE」と編集部は考えた。そして、その性能を実証すべく、当連載で読者モニターを募り、その忌憚のない意見をご紹介することにした。
「アッシュオイル“実走”モニターレポート」第1回掲載である今回は、かなりのハイペースで乗りまくるツーリングライダーによる詳細レポートと、魔改造済のクセ強バイクでドラッグレースまで走るライダーからのインプレッションをお届けする。
アッシュオイルに興味を持っている方は、ぜひ参考にしていただきたい。
MONITOR━━1
2024年夏の酷暑もゴキゲンに乗り切った!
走りまくるツーリングライダー・ラムラム西山氏の場合
○モニタープロフィール
ラムラム西山氏(岐阜県)/KTM DUKE125(2011年式)
愛車のDUKEは既に6万kmを超える走行距離。オイルは化学合成油であることを基準に、かなり数の銘柄を試したことがある。アッシュオイルは知り合いのショップが推していたので興味はありつつもこれまで未使用だったため、ぜひ試してみたいという強い気持ちで今回のモニターレポート企画に参加。バイクの使い方は、普段の足+ツーリング。
以下のレポートはラムラム西山氏による記述を編集部が掲載用に整理したもの。
【2024年7月16日 オイル交換+試走74km】
前々から気になってたけど、使うのは初めてのアッシュオイルに交換。DUKEはドレンボルトにストレーナーが付いてるので、それを清掃。オイルフィルターも交換。
前回の交換から2500kmぐらいの走行なのでちょっと早めの交換になったけど、排出したオイルがかなり真っ黒になってたので交換してよかった。さらにフロントフォークからオイル漏れ。フロントフォークのオーバーホールも済ましてなんとか整備が完了した。
この日、天気予報では大雨だったけど全然降らなかったので、ちょっと近所を試走……と思ったら70kmも走ってた(笑)。オイル交換したら、それまでガツン、ガツンと硬かったシフトフィーリングがスッ、スッとチェンジできるようになった。ただしこれまでも新しいオイルに交換したときはだいたいこんな感触。これがどれだけ持続するかに期待したい。
エンジンの吹け上がり、メカニカルノイズも特に違和感なく変化なし。
【2024年7月19日 日帰りツーリング223km】
今日は日帰りツーリングに出た。気温がかなり高くメーターの水温も高止まりだったけど、エンジンフィーリング、シフトフィーリングとも悪くなることはなかった。もともとこのバイクは5000回転ぐらいでパワー感もトルク感もなくなる印象なのだが、オイル交換後はそこからアクセルを開けたときにスムーズに回転が上がってくる気がする。
他にも今までシフトインジケーターが5速に入れたときに表示されないことがあったが、それが解消されて常に表示されるようになった。オイルを交換したことによって、シフトがしっかり入るようになった影響かも?
【2024年8月7日 日帰りツーリング258km】
この日も酷暑で道路脇の温度計は37度C! かなりの高温だが、信号が少ない田舎道ばかりの走行だったので走行風が当たり続け、冷却水の温度はそんなに上がらず。エンジン音、シフトフィーリングともに変化なく良好。
【2024年8月23日 日帰りツーリング326km】
日帰りツーリングで300km超え。気温は高く、道路脇の温度計は……94度C!?(あまりの暑さで表示がおかしくなっていた模様)。岐阜県から福井県方面へ。気温は高いけど田舎道なのでほとんどノンストップ。なので気温の割にはラジエターに走行風が当たり続け、水温は上がらず。熱ダレもなし。帰路では若干の渋滞はあったけど特に高温にはならず、エンジン音、シフトフィーリングも変化なし。
【2024年9月3日 日帰りツーリング403km】
日帰りツーリングで400km越え! 台風10号が通り過ぎて秋の気配。気温は25度C前後と、前回走ったときより10度Cほど下がって快適。オイル交換から1000kmを越えて、若干シフトフィーリングが固くなった?
【2024年9月6日 街乗り84km】
9月なのに残暑厳しく、気温は35度C超え。しかも乗ったのは、午後からの、いちばん気温の高い時間帯。市街地なのでスピードがそんなに出ないし、信号で停まることも多く、水温はこの夏一番に。しかし、エンジンフィーリング、シフトフィーリングは特に変化なし。
帰ってからオイルレベルを確認するとLOWギリギリに減っている。
6万km越えのエンジンなのでオイル上がり、オイル下がりがあるのかも? ヘッドからのオイルにじみもあるし……。前回、若干シフトフィーリングが固くなった気がしたのは、オイルが減った影響かもと思い、オイルを継ぎ足してレベルを上限にしておいた。
【2024年9月9日 日帰りツーリング311km】
酷(!)道157号を通って福井県勝山市まで。今日も暑かったけど、オイルを継ぎ足したらシフトフィーリングが改善した。
【2024年9月20日 フラットトラックトレーニング44km】
ご近所にフラットトラックコースがプレオープンしたので走りにいった。
ほぼ1速や2速で全開走行してたので、エンジンはオーバーヒート気味に。水温計はレッドゾーンに入りかけていた。それでもエンジンフィーリング、シフトフィーリングは変化なし!
じつは調子に乗りすぎてハイサイドを食らい、この日はそれで終了。
でもエンジンスライダーとナックルガードが割れただけ。体も負傷なし!
【2024年10月11日 日帰りツーリング&登山315km】
この日は片道約150kmバイクで走って、ほおのき平からバスに揺られて畳平まで行き、乗鞍岳頂上、剣ヶ峰まで登山してきた。昔は畳平までクルマやバイクで行けたみたいだけど、今はマイカー規制で通れない。
早朝の高地なので気温はかなり低く、ほぼ10度C以下。
一気に環境が変化したけど、エンジンフィーリングは特に変化なく、快適な状態が続行中!
●編集部より一言
今年の猛暑の中をコンスタントに、毎回数百kmも走ってくれたラムラム西山氏。先に発売された月刊『モーターサイクリスト』2024年12月号でもレポートをご紹介したが、その後も精力的にモニター走行を続行。3か月でなんと2000kmを超える距離を走りまくり、猛暑の夏から気温が下がった秋にかけての走行で、アッシュオイルVSEについてストレートな感想を寄せてくれた。西山氏のレポートで注目したいのは、猛暑ツーリングやクローズドコースでの全開走行でエンジンが過熱状態になったときも、エンジンフィール、シフトフィールともまったく悪化していないこと。スタンダードグレード「VSE」の使用でも、熱に強いアッシュオイルの特性がはっきりあらわれたといえるだろう。
MONITOR━━2
シフトフィールの変化に好印象!「いつもの粘度」で再テストしたい
ワインディングからドラッグレースまでハードに走る・キメラ12cc氏の場合
○モニタープロフィール
キメラ12cc 氏(46歳・千葉県)/SUZUKI GSF1200(1995年式)
ビッグ油冷マシンで峠道からドラッグレースまで、本人曰く「そこそこ」ハードに走っている。愛車のGSF1200は外周りや足周りのみならず、エンジンの中までがっつり魔改造(!)済。もともと特定粘度のオイルでクラッチが滑りやすい傾向があり、車体も古いため、いろいろテストした結果、普段は15w-50の部分合成油を使っている。今回は10W-40のアッシュオイルVSEでモニターレポート企画に参加。
――編集部(以下同) オイルを交換しての印象はいかがでしたか?
アッシュオイルに交換後、約1500kmを走りました。交換後の印象は、非常に滑らかで軽い。シフト操作についてもタッチの軽さ、ギアの入りの良さを体感しました。エンジンが冷えた状態からの始動、アイドリングの安定も良好です。実際に走らせてみると、発進時は優しい加速感、そこからエンジン回転をそれほど上げない状態では、滑らかなフィーリングが好感触でした。ゆったりマイペースで走りたい方には、ぴったりのオイルだと思います。
――もともとオイルチョイスには紆余曲折があったとお聞きしていますが……。
私の愛車は、もともと10W-40の粘度を使うとクラッチが滑りやすいという特有のクセがありまして。それを避けるため、オイルについてはいろいろ試行錯誤がありました。その結果、現在は15W-50の部分合成油に落ちついている状況です。今回はモニターレポート企画ということで、他の方々と同じアッシュオイルVSE 10W-40でのモニター参加となりました。結果、5000回転以上でアクセルをガバッと開けたときや、レッドゾーン近くまで回したときに、危惧していたクラッチ滑りの症状が出て、少々気を遣いました。ただしこれは、車両のクセと普段使っているオイルと粘度の差があることが原因だろうと考えています。
――モニター期間を通しての感想を教えてください。
やはり、10W-40は愛車にとって鬼門の粘度なので、アッシュオイルVSEをきちんと評価できなかったのではないかと心配しています。普段使っている粘度の15W-50があれば、もう一度テストしてみたいです! とはいえ、非常に滑らかで潤滑性のいいオイルであることは間違いないので、現行の高性能なバイクであれば、間違いなくアッシュオイルVSEとは相性がいいと思います。
●編集部より一言
「僕の乗り方? 至ってふつうですよ」と謙遜するキメラ12cc氏。しかし、話を聞いたかぎりでは相当ハードに走っていて、愛車のGSF1200もいろいろな意味でクセ強バイク。古い車体でシフトも硬めという個性があるようだが、アッシュオイルに交換したらシフトがものすごく滑らかになり、思わず面食らうほどだったそう。インタビュー中は「いつもの粘度(15W-50)で試したい。うちのバイクに10W-40は鬼門なので、せっかくのモニターの機会がもったいない……」と言ってくれた。ぜひ、粘度を適切に変えてのリベンジに期待したい。その際は編集部までインプレを!
レポート&撮影●増田恵子/ラムラム西山/キメラ12cc
問い合わせ●ジェイシーディジャパン TEL075-644-4176
A.S.H.クオリティの真髄
○ジェイシーディプロダクツ
http://www.jcd-products.com/
○「A.S.H. Motor Oil Series」標準小売価格
FSE 10W-40・10W-50 6,160円/1L
FS 10W-40・10W-50 4,092円/1L
VSE 10W-40 3,234円/1L
PSE 10W-40・15W-50 2,739円/1L
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