■FSE 100%エステル化学合成オイル
スポーツバイクの高性能化とともに求められる、エンジンオイルの性能向上
さまざまなパーツが高速で動き続けるエンジン内部。このとき、パーツ同士の接触による摩擦や過熱を防ぐために働いているのが、エンジン内部を潤滑する「エンジンオイル」である。
バイクに乗っていて目に留まる部分ではないため見過ごしがちだが、エンジンオイルの働きは「潤滑することで金属パーツの変形や焼き付きを防止する」という非常に重要なもの。消耗品ではあるが、エンジンを構成するパーツのひとつと考えるべき重要な存在なのだ。
では、エンジンオイルは、エンジンの内部でどのように潤滑を行っているのか。
エンジンには、内部の各所にオイルを送り込むための「オイルポンプ」が備わっており、エンジン内で摩擦が発生する箇所すべてに向けてオイルを圧送し、パーツ同士が直接接触することがないよう、ごく薄い油膜を作って滑らせている。これが「潤滑」だ。
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このとき、エンジン内部にできる油膜の厚さは、1万分の1~2mm程度。信じられないほどの薄さである。
だが、このごく薄い油膜が、エンジン内部の焼き付きを防いでいる。つまり、エンジンオイルは、エンジン内部の高温・高荷重・高回転に耐え油膜を保持できるよう設計されているのである。
なお、近年の高性能なスポーツバイクにおいては、エンジンが発生させる熱がさらに高くなる傾向にあり、エンジンオイルはよりシビアな条件下で性能を発揮することが求められている。
多くのエンジンオイルに配合される成分「ポリマー」のデメリット
ここで、エンジンオイルの組成についておさらいをしておこう。
エンジンオイルのベースとなるオイルには、比較的安価な鉱物油、高性能で知られる化学合成油、それらをブレンドして性能とコストパフォーマンスの両方を重視した部分合成油の3種がある。
エンジンオイルは、これらのベースオイルに増粘剤や防錆剤、酸化防止剤などのさまざまな添加剤を加えて作られるものだ。
エンジンオイルを設計するときの大切な要素に「粘度」がある。
本来のオイルは、低温下ではどろりとして粘度があっても、熱が入るとサラサラに変化してしまう。だが苛酷な環境であるエンジン内を潤滑するためには、高温下でもオイルが粘度を保ち、油膜を維持できなければならない。
そのため、一般的なエンジンオイルには、高温になってもオイルの粘度を保つための「増粘剤」が配合されている。よく知られているのがポリマーという成分だ。
ポリマーは石油由来の高分子化合物で、エンジンオイルが高温になったときにも粘度を維持する働きをもっている。また、比較的安価であるため、エンジンオイルの添加剤として非常にメジャーな成分だ。
ただし、ポリマーには「熱と圧力に弱い」というデメリットがあり、ある程度使うと分子の結合が壊れ、本来の働きを発揮できなくなってしまう。さらに、高温下でスラッジ化しやすく、エンジン内に不純物として堆積しやすい欠点もある。
このため、ポリマー入りエンジンオイルに本来の性能を発揮させるためには、短い使用時間・使用距離での交換が必要となる。また、より苛酷な環境下で使用されるモータースポーツシーンにおいては、ポリマー入りエンジンオイルの使用は適切ではないという考えもあるのだ。
アッシュオイルの「ノンポリマー」組成へのこだわりには、確固たる理由があった
増粘剤としては非常に使い勝手がよいが、配合することによる悪影響もある……そんなポリマーに頼ることなく、粘度の落ちないエンジンオイルが作れないか。
ジェイシーディプロダクツが手がける「アッシュオイル」の製品設計は、そんな着眼点からスタートしたものだ。
設計を担当した岸野氏は、多くの製品でポリマーが担う粘度調整を、新しい考え方で解決した。それが「ベースオイルを徹底的に高品質化することで粘度調整を行い、激しい環境変化に耐えうる強い油膜を生み出す」ことだった。
アッシュオイルは、全グレードでポリマー無配合のノンポリマー設計。だが高温下にあっても、長い距離を使い続けてもオイルの粘度が落ちることはなく、本来の設計どおりの粘度と性能を発揮し続けるのだ。
そんなアッシュオイルに冠されたキャッチコピーは「全グレード粘度低下率ゼロ」。
一般的なエンジンオイルの粘度低下率は15%程度、高性能オイルで3%程度といわれている。「粘度低下率ゼロ」は、アッシュオイルの性能の高さをもっとも端的に表す数値といえるだろう。(なお、ポリマー以外の添加剤は適宜使用されている)
ところで「粘度低下率ゼロ」の性能がもたらす絶対的な恩恵といえば、やはり熱への強さだ。
記録的な猛暑が続く近年の日本の夏は、どんなエンジンにとっても苛酷極まりない環境となる。オイルの劣化を危惧し、交換スパンを早めとするオーナーもいるだろうが、何より怖いのは、高温下での走行中、エンジン内部のオイルが粘度低下を起こし、油膜の強度が落ちたり油膜切れが発生したりして、潤滑が正常に行われなくなってしまうことだ。
「粘度低下率ゼロ」を追求したアッシュオイルは、もちろんこのような環境下でも粘度が落ちず、油膜切れを起こすことはない。本来の設計どおりに、エンジンを潤滑してくれるのだ。
性能面・コスト面の双方で、幅広いニーズに応える4グレード展開
アッシュオイルから展開されるバイク用エンジンオイル「モトスペック」は、全4グレードの展開。ワークスレベルのレースシーンでの使用も想定したフラッグシップグレードから、コストパフォーマンスを追求したベーシックグレードまで、すべてのグレードで「粘度低下率ゼロ」を実現しているのが最大の特徴。
「下位グレード=潤滑性が落ちる」という前提は、アッシュオイルには当てはまらない。
ツーリングが主となる公道ライダーであればベーシックグレードでも必要充分。さらなる潤滑性を求める方は、もう少し上のグレードを検討するといいだろう。
これからアッシュオイルを試してみたい諸兄は、現在使っているオイルと同等のグレード・粘度を選ぶと、違いを体感しやすいのでお薦めだ。
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FSE 100%エステル化学合成オイル
極めて潤滑性の高い、植物油由来のエステル化学合成油を100%使用。金属表面に強固な吸着油膜を作り、オイルの流れでも油膜を作る「デュアルプロテクション」で抜群の潤滑性能を実現。レースユースに最適な最上位グレード。6,160円/1L
FS 100%エステル化学合成オイル+PAO
ベースオイルとして、FSEの流れをくむ植物油由来のエステル化学合成油とポリアルファオレフィンを組み合わせて使用した100%化学合成油。アッシュオイルの中ではセカンドグレードだが、エンジンオイルの一般的な区分では最高峰クラスの潤滑性を持つ。レースユースからスポーツ走行までオールマイティに使用可能。4,092円/1L
VSE 100%エステル化学合成オイル+PAO+VHVI
ベースオイルの組み合わせにより価格のリーズナブルさを実現しつつ、エステル化学合成オイルを配合することで、油膜の強さも追求。省燃費性にも優れている。一般的なユーザーにとっては、もっとも使いやすいお薦めグレード。3,234円/1L
PSE 部分エステル化学合成オイル
アッシュオイルの中では唯一の部分合成オイルだが、エステル化学合成油の配合で、一般的な部分合成油にはない金属への吸着力を発揮する。鉱物油由来のため、オイルシールが劣化しがちな旧車のエンジンにも確実な密閉力を発揮する。下位グレードながら、粘度低下率ゼロを実現。2,739円/1L
レポート&撮影●増田恵子
問い合わせ●ジェイシーディジャパン TEL075-644-4176
A.S.H.クオリティの真髄
○ジェイシーディプロダクツ
http://www.jcd-products.com/
○「A.S.H. Motor Oil Series」メーカー希望小売価格
FSE 10W-40・10W-50 6,160円/1L
FS 10W-40・10W-50 4,092円/1L
VSE 10W-40 3,234円/1L
PSE 10W-40・15W-50 2,739円/1L
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