あの頃、フラットトラッカー風と言われても……。HONDA「FT400/500(1982)」の異色デビュー!【1980〜2000年代に起こったバイクの改変 その8】

■'82年発売の国内モデルFT400、そして輸出向けモデルのFT500ASCOT(写真)。輸出向けのペットネーム、アスコットは米ロサンゼルスにあるフラットトラックレース場の名に由来しているという。なお、国内販売モデルのFT500は、400の赤に対し黒基調でタンクに赤/橙の2本ストライプが入るカラーリングだった。
■'82年発売の国内モデルFT400(写真)、そして輸出向けモデルのFT500ASCOT。輸出向けのペットネーム、アスコットは米ロサンゼルスにあるフラットトラックレース場の名に由来しているという。なお、国内販売モデルのFT500は、400の赤に対し黒基調でタンクに赤/橙の2本ストライプが入るカラーリングだった。
■'82年6月発売のFT400/500のカタログ表紙。参考までに、当時のホンダのプレスリリース文面を以下に紹介。不思議なことに、フラットトラッカー風といった語句は全く出て来ない。

(ホンダプレスリリース 1982年)
中排気量単気筒エンジン搭載の軽くスリムなロードスポーツ車「ホンダ FT400/500」を発売

 本田技研工業(株)は、軽量、コンパクトながら、強力なトルクを生み出す4サイクル単気筒エンジンを搭載し、力強い走りが楽しめる個性的なスタイリングのロードスポーツ車「ホンダ FT400」を6月1日より「同500」を6月10日より発売する。
 このホンダFTシリーズは、定評のあるXL系エンジンをベースにした新設計398cc (FT500は497cc)セルフスターター装備の単気筒エンジンを搭載。このエンジンは、吸・排気に各々2個のバルブを配した4バルブ機構によって、高い燃焼効率を実現。更に、単気筒エンジンながら、2本のエキゾーストパイプを採用し、排気効率をより向上させるなど、一層力強いトルクを生み出している。
 また、エンジン振動を低減させる2軸式バランサーの採用により、単気筒独特の振動が大幅に減少し、軽量・スリムで高剛性の専用ダイヤモンドフレームが可能となった。
 スタイリングは、単気筒ロードスポーツ車の力強さを一段と強調しているスリムで新感覚のデザインである。更に、アルミキャストホイール、黒・クロームメッキのマフラー、巾広なチューブレスタイヤなど中排気量クラスでは、充実した装備をそなえている。
■カタログの2ページ目には、見開きで「オンで、ダートで、ガッツな走り。」とのアピールが出てくる。ダート走行側の写真での、BELLのオフロード用ヘルメット&ゴーグル、銀のつなぎ、オフロードブーツといったライダーの出立ちが、本来同車が主張したかったフラットトラックムードだったのだろう。
■XL400/500系をオンロード用にモディファイした単気筒エンジンを説明するカタログ文面。吸排気各2バルブの4バルブエンジンは、バルブ慣性重量の軽減と吸排気効率のアップを実現。ユニークなデュアルエキゾーストシステムはホンダ初採用。そのほか快適な始動に利する2モーション始動機構のセルフスターターもFT初採用。
■カタログ後半では、FTの各部装備を紹介した後にフラット・トラックレースを説明する囲み記事が差し込まれる。イン側の左足を突き出しフルカウンターでコーナーを抜ける写真は、当時の日本では珍しいものだったが、トップレーサーK.ロバーツやF.スペンサーらがAMAの同レースで活躍の後、世界GPへ駒を進めたのは有名な話。
■FT登場から4年後、'86年2月発売のFTR250。空冷45度VツインのレーサーRS750Dを駆り、本場AMAフラットトラックレースで'84/'85年メーカー&ライダーチャンピオンを獲得したのを受け(同時にFTでの中途半端なアピールを反省してか)、本格的に競技マシンレプリカを謳って投入。XLR250R系空冷単気筒4バルブRFVCエンジンを専用チューンし、軽量・低重心、スリム化を狙った専用の薄肉ダブルクレードルフレームに搭載。だが、この時もオンロードレーサーレプリカブームの最中にあって人気は高まらず、3年とたたずに生産中止。価格38万5000円(キック仕様)/39万8000円(セル仕様)。
■FT登場から4年後、'86年2月発売のFTR250。空冷45度VツインのレーサーRS750Dを駆り、本場AMAフラットトラックレースで'84/'85年メーカー&ライダーチャンピオンを獲得したのを受け(同時にFTでの中途半端なアピールを反省してか)、本格的に競技マシンレプリカを謳って投入。XLR250R系空冷単気筒4バルブRFVCエンジンを専用チューンし、軽量・低重心、スリム化を狙った専用の薄肉ダブルクレードルフレームに搭載。だが、この時もオンロードレーサーレプリカブームの最中にあって人気は高まらず、3年とたたずに生産中止。価格38万5000円(キック仕様)/39万8000円(セル仕様)。
■'00年9月から発売のFTR(223)。'80年代に短命に終わったFT&FTR250と異なり、同車は'90年代後半にヤマハTW200のカスタムから人気が高まったストリートトラッカーカスタムのブームを受けて登場。中古絶版車FTR250の人気高騰も受けつつ、またTW200に比肩する気軽さと手頃な価格設定も狙い、ベースエンジンは223cc空冷単気筒2バルブ、性能も19ps/7000rpm、2.1kgm/6000rpmと控えめなものだったが、ストリートモデルとして人気を獲得。価格は32万9000円(単色)、33万9000円(トリコロール色)。
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