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【速報】アプリリア RS660試乗「600スーパースポーツに軽量・100馬力・2気筒という新方程式を作った」

RS660の電子制御機構:1000ccクラスに匹敵する充実度

ライディングモードは、公道用として「コミュート」「ダイナミック」「インディビジュアル」の3種、サーキット用として「チャレンジ」「トラックアタック」の2種があり、計5種のモードから選ぶことができる。
各モードでは、エンジンの出力特性、トラクションコントロール、ウイリーコントロール、コーナリングABS、エンジンブレーキアシストを含む複数の電子制御の作動レベルが変更されるが、好みで各モードを変更してパーソナライズすることも可能だ。
「1万ポンド・100馬力の『エントリーモデル』としては少し複雑な制御機構では?」と思われるかもしれないが、そんなことはない。
電子制御機構の操作はシンプルで直感的に扱え、操作感は上位モデルのRSV4ファクトリー1100より優れているかもしれない(笑) 。

各種電子制御機構のセンサーとなるIMU(慣性計測装置)は6軸を使用。

イタリア北部の小さな街並みを駆け抜け、山の遊び場ことワインディングロードへ。
ライディングモードは、取り敢えず「コミュート」を選択(パワーデリバリーが最もソフトな設定である「3」となる)。
最近試乗した他のアプリリア製マシンと同様に、パワーデリバリーのセッティングは素晴らしかった(アプリリアの燃料供給の研究技術は世界トップクラスだと思われる)。スロットルレスポンスは常に完璧で、クイックシフターもアップ/ダウンともに完璧な作動感だ。
数マイル走れば、RS660がまるでプレミアムバイクのように感じられるだろう。

テスト車の走行距離が短かったせいか、ニュートラルを見つけるのに一度や二度苦労したが、唯一の不満はそれだけだった。
ワインディングロードの途中で、「コミュート」モードから「ダイナミック」モードへ。スロットルレスポンスや出力特性が自動的に変化するほか、電子制御の干渉も少なめとなる。

「コミュート」に比べると「ダイナミック」のスロットルレスポンスはシャープだが、パワーの出方自体は比較的リニアで(いずれにせよトルクの90%を6250rpmまでで発揮してしまうエンジンなのだ)、クイックシフターでとっとと高いギヤに放り込んでしまうような乗り方でも難なく走ってしまう。

が、スリルを求める人は7000rpm以上の世界に向かうだろう。
7500rpm付近では一瞬引っかかりがあるが、このリトルツインエンジンは回ることが心底大好きなようだ。1万1500rpmでリミッターにブチ当たるまで、キッチリ回る。
そんな高回転域を多用した走りをしても、優れた電子制御機構とコーナリングABSを装備しているので、不意に路面状況が変化しても安心である。

安心なのはわかったので、さて……トラクションコントロールを切り、アンチウイリーを切り、パワーは最もアグレッシブなモードに。エンジンブレーキ制御もABSの介入も最小限にし、RS660の本性を解き放ってみよう。
クラッチ操作をちゃんとしながら全開をくれてやると、1速でも2速でもそれはもうキレイにウイリーにした。
このエンジンは本当に素晴らしい。音も良く、反応も良く、楽しく、パワーデリバリーは優秀で、クイックシフターがそれらを存分に引き立てている。

その上ありがたいことに、メーターを見下ろすと意外にも実刑判決を受けるような速度にはなっていないのだ。
確かにRS660はそれなりに速いし、最高速も225~230km/hに達するだろうが、200馬力オーバーのRSV4ファクトリー1100と違って、最初の3つのギヤでもうっかりスロットルを開けてしまい即免停……という可能性は少ない。これはとてもいいことだ(笑)。

メーターはフルカラー液晶で、「ロード」と「トラック」の2モードの表示が選択可能。

RS660のライバルはYZF-R6か、CBR650Rか、ニンジャ650か

最初に「アプリリアは新たなセグメントを生み出した」と書いたが、強いてライバルを探すとしたら、どれになるだろうか。

RS660はヤマハ YZF-R6ほど過激なものではないし、実際パワーではかなわないが(YZF-R6は118馬力)、RS660にはライダーをサポートするさまざまな電子制御機構がある。
YZF-R6は優れたバイクだが価格は1万2221ポンドであり、レースで勝つために作られた一芸特化型である。

では、ホンダのCBR650Rはどうか。
価格はかなり安く(7495ポンド)「エントリーモデル」という立ち位置では類似するかもしれないが、RS660とCBR650Rを比較するのは、クルマで言えばホットハッチと普通のファミリーカーを比較するようなもので、何かが違う気がする。
CBR650Rは95馬力とパワーでは近しいが、車重がかなり重いのである(装備重量で207kg)。価格は確かに大きなウリとなるが、先進技術やトータルの魅力ではRS660に敵わないだろう。

ああ、あと、カワサキのニンジャ650もあった。
CBR650Rよりさらに安い7049ポンド である 。しかし、同じ並列2気筒であってもニンジャ650はパワーでガクンと劣り(68馬力)、 車重もRS660より重い(装備重量で193kg)。こちらも古いノキアの携帯と最新のiPhoneを比較するようなもので、何かが違う気がする。

やはり、直接のライバルというのは見出せない。
なお「100馬力しかないのに1万ポンドするRS660は高価だ」という声も一部あるが、そうは言ってもアプリリアのRSV4ファクトリー1100:2万3399ポンドの半分以下である点は忘れずにいてほしい(エンジンは半分にしたようなものだけれど)。

RS660は日常における実用性が高いのも特徴

LEDのヘッドライトユニットは、輝度センサーにより自動でデイタイムライトとヘッドライトの点灯が切り替わる。デイタイムライトとして点灯するのはライン状の部分で、ウインカーとしても機能する。

15Lという燃料タンク容量はそれほど多い部類ではないが、RS660の並列2気筒エンジンは燃費も良好で、十分な航続距離が確保されている。
アプリリアは公称で20.4km/Lという燃費を掲げているが、安定したペースで走行した区間では実測24km/Lの燃費を記録した。実質的な航続距離は約320kmくらいあるだろう。

スクリーンはほぼダブルバブルのTTスタイルで、スピードが出ている時には簡単に身体を入れ込むことができ、高速道路の巡航速度でも割とまともに風を防いでくれる。

アプリリア RS660総評

RS660は3種の車体色がラインアップされる。

ここまで読んでもらったらわかると思うが、私はアプリリアのRS660にいたく感銘を受けている。
アプリリアは市場の声に耳を傾け、使い勝手が良く、親しみやすく、公道で楽しめるスポーツバイクを作り上げた。しかも、それを手頃な価格で提供してくれるとは!

RS660は過激なモデルではないが、その代わりに様々な場面で楽しめるエンジンを搭載しており、スーパースポーツとしては望外の快適性も備えている。
一方で、レースをしたり、サーキット走行をするにはサスペンションのアップグレードが必要だろう。
経験の浅いライダー、ベテランライダー問わず、楽しめる魅力的なバイクだ。これはアプリリア──歴史あるイタリアンブランドにとって、新たな成功の一歩となるモデルではないだろうか。

アプリリア RS660主要諸元

[エンジン・性能]
種類:水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:81.0mm×63.9mm 総排気量:659cc 最高出力:73.5kW<100ps>/1万500rpm 最大トルク:67Nm<6.8kgm>/8500rpm 変速機:6段リターン
[寸法・重量]
全長:1995 全幅:745 全高:── ホイールベース:1370 シート高820(各mm) タイヤサイズ:F120/70ZR17 R180/55ZR17 車両重量:183kg(乾燥重量169kg) 燃料タンク容量:15L
[英国価格]1万149ポンド(約140万円)
[日本仕様価格]139万7000円(2021年5月発売予定、アシッドゴールドは20218月発売予定)

1994年のRS250レッジーナレプリカバージョンをイメージした車体色「ラヴァレッド」。
ダイナミックかつ若々しい新世代のアプリリアを表現した車体色「アシッドゴールド」。
アプリリアのレースシーンとスポーツモデルの伝統とも言える車体色「エイペックスブラック」。

試乗レポート●アダム・チャイルド 写真●ミラグロ まとめ●上野茂岐

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問い合わせ

アプリリア(ピアッジオグループジャパン)
https://aprilia-japan.com/rs660/

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