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ブリヂストンのモーターサイクル用タイヤにおけるフラッグシップモデル、バトラックスレーシングストリートシリーズが「RS12」へと進化した。スポーツ走行におけるパフォーマンスを従来品からいっそう高めたというこの新銘柄を、モーターサイクリスト誌のメインテスター、梨本 圭がテストする。
report:梨本 圭 バイクスクール「梨本塾(https://kei74moto.client.jp/)」主宰、MFJロードレース国際ライセンス。主なレース戦歴は、1995~96年鈴鹿NK4チャンピオン、98・99年鈴鹿8耐9位、2007年もてぎオープンクラスチャンピオンなど。スーパースポーツからクルーザーまで多様なジャンルのバイクを所有しており、プロしての評価はもちろん、常にユーザー目線でのインプレッションを心がけている。また長年多くのスクール参加者に接しており、そのライディング論には定評がある。
photo:水谷たかひと/ブリヂストン
従来型から段違いの進化
ブリヂストンが誇る次世代プレミアムスポーツタイヤとして登場したバトラックス レーシングストリート RS12(以下RS12)は、レース用タイヤ開発で培ったノウハウを満載。前後ともにショルダー部にレース用タイヤコンパウンドを搭載しながら、溝比率を最適化してコーナリング時の接地面を増大させた新開発パタンデザインを用い、公道用バトラックスシリーズの中では最も高いドライグリップを発揮する。また、フロントには「HE-MS BELT」という新構造を採用して、ブレーキングでタイヤに高負荷が掛かった際にも接地圧を均一に保ちやすくするなど、従来品であるバトラックスレーシングストリートRS11(以下RS11)に対する進化要素は非常に多い。




グリップ力やウォームアップ性能、ブレーキリリース時のライン保持性やコーナリング安定性など9つの項目からなるポジショニングマップにおいては、その全てにおいて前作RS11をしっかり上回ったようだ。ハンガリーのサーキットにおけるテストでは、RS11に対して0.7%ほどのラップタイム短縮を果たしたという。

国外メーカー製のリッタースーパースポーツモデル(以下SS)に純正装着されているライバル製品も意識したと思われる大刷新を受けたRS12は、果たして実走においてどのような性能を発揮するのか。サーキットでのタイムアタックテストで、その実力とそこから導き出される数値をしっかり検証してみたい。
トラコン介入度を下げられるほどのグリップ力
曖昧な比較論を展開したところで参考にはならないため、モーターサイクリストの新車試乗記事でテストした、スズキの2026年型GSX-R1000Rを持ち帰り、RS12を履かせて、翌日ほぼ同じ気象条件下でテストすることにした。この車両にはRS12の前身であるRS11が純正装着されていたため、RS12単品のテストにとどまらず新旧比較も行えるということになる。



サーキットテストのためにトミンモーターランドのAコースを走り出してまず感じたのは、縦方向、すなわち加速および減速力の大きな違いである。アクセルを開けただけ、あるいはアクセルを戻しただけでもその高いグリップ力と剛性感が伝わってくる。車両そのものは、まごうことなく前日同じ場所でテストしたGSX-R1000Rであるにもかかわらず、まるで違うバイクに乗っているかのようによく走り、よく止まった。

前日、RS11装着時にはトラクションコントロールを10段階中の「5」に設定して走行。かなり電子制御が介入し加速トルクを削られたものの、これを「4」とすると今度はリヤタイヤがブレイクして前に進まないという状態に陥ったため、結局は「5」で走り続けることになった。しかしRS12の場合はこれを「4」にしても安定感は損なわれず、いかにもGSX-Rらしい、中速トルクを生かした強靱な加速力を発揮するようになった。

「縦方向」の強さを明確に体感
また加減速両面のみならず、コーナリングに関しても数ランク上のグリップ力を誇示した。ブレーキングからターンインにかけての速度変化を大きめにしても剛性感あるフロントタイヤは安定しており、硬さのみならずグリップ力も高いためストレスなくフルバンクまで持ち込める。

前日のタイムアタック中はステップのバンクセンサーが接地するアングルまで持ち込むことはできなかったが、RS12ではいとも簡単に両方のステップを擦ってしまった。最大バンク角が深いのはもちろんのこと、そのボトム付近のスピードも上がっており、速度が乗るコーナーほど違いは顕著だった。RS11よりも力強い加速と減速を存分に発揮できるため、より速いスピードから短時間で車速をコントロールできるうえに、その前後をつなぐようなスムーズかつきっちりと前後にトラクションをかけたコーナリングが可能となった。

ブレーキングのハードプッシュも許容するため、前日よりもフロントフォークのイニシャルを1.5回転(標準設定より都合2.5回転)ほど締め込んで、さらにペースアップしながら周回を重ねていく。すると、前日と同マシンとは思えないようなタイムをマークしてしまった。

予想以上のラップタイム向上
ちなみに前日同コースにおいて、RS11を履いたフルノーマルGSX-R1000Rのベストタイムは27秒636、ショートストレートにおける最高速は118.72km/hというものだった。このタイムからRS12の製品説明で例示されていたとおり0.7%、すなわち約0.193秒短縮した場合、27秒443というタイムになるが、実際のベストは26秒860と、なんとブリヂストンによるテストで確認された値のおよそ4倍、すなわち2.81%ほどの大短縮を果たした。

トミンモーターランドAコースにおける0.583秒の短縮というのは、筑波サーキット本コース換算で1.5秒ほどの違いになる。ストレートが長く加減速区間が伸びれば、よりその差は大きなものとなる。もちろんコーナリング半径が大きくなり、その数が増えるほど違いは明確になる。何よりリッターSSに乗っていて、スリップダウンする気配やハイサイドになりそうな恐怖心がほとんどなかったのが最大の強みだろう。シリーズ名称的には後継となるが、RS11とRS12はまったくの別物と捉えていい。従来型の単純進化版というスピードゾーンではない。では、果たしてどういったレンジに達しているのだろうか。

リッターSSにも最適
RS12が達したタイムおよびスピードレンジは、国内外のライバルメーカー製公道向け最新ハイグリップ銘柄にまったく引けを取らず、リッターSSを走らせるうえでは十分納得できるグリップレベルを有している。

ただし、タイヤのフィーリングは各メーカーで明確に異なり、端的に言えば、RS12は「剛」である。これはブレーキングや加速、コーナリング時、そして公道走行における取り回しまで含め特性全般に言えることで、これがライバル製品との違いと言っていいだろう。サーキットにおける加減速およびコーナリング、さらには公道環境においても剛柔それぞれに短所と長所があるが、これは個々のライダーの好みや走行環境に合致したものを選択すればいい。少なくともいずれかを選んだことでタイムが出ないということはない。
RS12は、国産タイヤでサーキット走行を存分に堪能したいというライダーに、ぜひともお薦めしたいニュータイヤである。

製品情報
BRIDGESTONE BATTLAX RACING STREET RS12

【フロント】タイヤサイズ:税込本体価格
120/70ZR17 M/C (58W)TL:3万1350円

【リヤ】タイヤサイズ:税込本体価格
180/55ZR17 M/C (73W)TL:4万6420円
190/55ZR17 M/C (75W)TL:4万8510円
200/55ZR17 M/C (78W)TL:5万1370円
ブリヂストン TEL0120-39-2936 https://www.bridgestone.co.jp/products/tire/mc/
























