ヒストリー

ヤマハ FJ1100開発ヒストリー「空冷で最高速230km/h超」80年代、世界最速を目指したマシンが生まれるまで

FJ1100開発には当時先端だったコンピューターを積極的に導入

FJ1100は輸出専用モデルであったが、1983年の東京モーターショーでも披露された。「ヨーロピアン・ハイウェイの新しい風」というキャッチコピーは、「ただ最高速だけを追求したバイクではない」という同車の性格をよく表している。

FJ1100の開発では、全部のパートにコンピュータが駆使されている。

製図版はすでに過去のものとなりつつあり、設計者の多くはコンピュータを使って図面を描いているという。たとえば、こうして描いたエンジン部品の一点ずつを座標を指示して入力すれば、一気にアッセンブリー図を作成することもできる。
また、3次元当たり検討を簡単に行うこともできる。これは製図版上では非常に手間のかかる仕事だ。

フレーム設計にコンピュータは欠かせない。
以前は作っては走り、走っては改善するという作業を繰り返していたが、現在ではかなりの次元までコンピュータで煮詰めることができる。1枚のガゼット、あるいは1本の補強パイプの有無が走行性にどういった影響を与えるかを、実走なしに相当高い精度で知ることができるのだという。

スタイリングも同様で、硬質のクレイからプロッターで形状を追い、いきなり図面にすることができる。これを図面上で修正し、そのままプレス型に彫ることができるのだ。

「車体関係では4輪メーカーが先行していましたが、エンジンにまで使ったのは、ウチが多分一番早いと思います。900ccのものを1100ccに拡大するとか、マイナーチェンジの際には最大の効力を発揮します。1台のプロトタイプをまったくゼロから、ある程度の現実性をもって設計することもできます。しかし、コンピュータは時間を短縮し、ミスのない仕事をしてくれるだけの存在です。それによって空いた時間を創造力の方面に使わなければなんの意味もありません。最後にモーターサイクルの評価をするのは、人間なのですから」と話してくれた水谷課長は、FJについてこう語る。
「このモーターサイクルはスーパースポーツとしての速さと、乗りやすさを両立させ、しかもツアラーとしても最低限以上の装備を持っています。しかし、もっとパワフルで軽い純粋なスーパースポーツを市場が望むなら、ヤマハはいつでもそれに応える用意がありますし、私自身もいつかそんなモーターサイクルを造ってみたいですね」

プリテストを経て、1次試作車が走り出したのが1983年5月。
素性がよかったFJ1100は2次テストを必要とせず、そのまま量産試作から生産型へと移行していったのだった──。

ヤマハFJ1100主要諸元(1984年・輸出専用モデル)

ヤマハ FJ1100(1984年型)

[エンジン・性能]
種類:空冷4サイクル並列4気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:74.0mm×63.8mm 総排気量:1097cc 最高出力:125ps/9000rpm 最大トルク:10.5kgm/8000rpm 変速機:5段リターン
[寸法・重量]
全長:2230 全幅:730 全高:1230 ホイールベース:1490 シート高780(各mm) タイヤサイズ:F120/60V16 R150/80V16 車両重量:252kg(乾燥227kg) 燃料タンク容量:24.5L
[1984年当時参考価格]
4999USドル(1984年の相場・1ドル約250円換算で約125万円)

原文●佐藤康郎・八重洲出版『別冊モーターサイクリスト1984年5月号』より 写真●八重洲出版 編集●阪本一史/上野茂岐

1

2

  1. たぶん現役オーナーも知らない『Rebel 250(レブル250)』のエンジンが秘めた潜在能力の話

  2. 大型バイクは重くて大変だと思っていた CB1000Fに乗った20代ライダー3人がその考えを変えた理由

  3. サーキットで驚きの実力を確認!【BRIDGESTONE BATTLAX RACING STREET RS12】

  4. 50歳からのリッターバイクデビューは不安? リターンライダーが語るCB1000Fの魅力。「ライダーを育ててくれるバイクです」

  5. 新しい時代へ進化するHondaのカブシリーズ ~ライフスタイル別おすすめモデル

  6. Hondaが『EVスクーター』の普及に本気を出してきた!? 新型EVスクーター『CUV e: 』登場!原付二種クラスで驚愕のコストパフォーマンス

  7. スポーツバイク好きの女子大生ライダーが語るGB350とGB350 Sの魅力。このバイクでツーリングに行ってみたい!

  8. FIND CBでわかった、CB400 SUPER FOUR E-ClutchとCB1000Fの「跨らないとわからない魅力」はココ!

  9. 新型『CBR400R FOUR E-Clutch』の走りは高回転域で『CB400 SUPER FOUR E-Clutch』を上回る!? 馬力だけじゃなく足つき性も魅力のひとつ!

  10. 完全に「旧CB400SF」を超えた!? 新型400ccネイキッド『CB400 SUPER FOUR E-Clutch』の価格と発売日が決定!

  11. 『GB350』シリーズはどれが人気?『GB350 S』『GB350 C』 とスタンダードモデルを比較

  12. ホンダ『Cub HOUSE』原付二種ライフを充実させるための新拠点、ただの販売店じゃありません!

  13. 新型『CB1000F』を普通のツーリングライダーが「予備知識ゼロ」で試乗

  14. 【新型】大人にもおすすめの400ccバイク『CBR400R』がHonda E-Clutchを新搭載!? 足つき性の良さも人気の理由ひとつです!

  15. 初心者ママライダーの感じたRebel 250 E-Clutchの魅力。「私の心を落ち着かせてくれる存在です」

  16. のんびりツーリング最強の大型バイク『CL500』がアップグレード!新色にも注目です!

  17. 【わかる?】車検のある400ccクラスで発売からもう4年……だけど2024年まで『ベストセラー』を誇ったHondaのバイクってどれだと思う?

  18. 10年、20年後も色褪せない「控えめに言って最高」GB350 Cを全力で絶賛する理由

ピックアップ記事