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【メグロ戦後ヒストリア】大ヒット250「ジュニア」や高性能車「スタミナ」「セニア」を送り出すも、なぜ60年代カワサキ傘下となってしまったのか?

1960年、カワサキと業務提携をするも勢いを取り戻せなかった目黒製作所

1960年(昭和35年)11月には、川崎航空機工業との業務提携により、50ccはカワサキに集約、125cc以上をカワサキと目黒製作所の販売網で販売することになった。

白バイにも採用された大排気量高性能車「メグロ・スタミナ」シリーズ

1956年に登場したメグロ・スタミナZ7は戦前から続く「メグロZ」系の最終発展型。エンジンは500ccの空冷4サイクルOHV単気筒で、最高出力23馬力を発揮。車名の「スタミナ」は公募によって選ばれたもので、その後は並列2気筒エンジンのモデルに継承されていく。
スタミナZ7の後継車として1960年に登場したメグロ・スタミナK。エンジンは500ccの空冷4サイクルOHV並列2気筒で、最高出力は33馬力を発揮。カワサキW系モデルのルーツと言える存在である。

だが、提携時の賃金格差による労働争議に端を発し、目黒製作所の生産量は翌年2月からペースダウンし、前年比割れとなる。

目黒製作所は翌年12月に本社敷地を東京日産モーターに売却し、神奈川県横浜市に移転。1962年(昭和37年)2月から新工場で稼動開始したものの、従業員数は最盛期の688名から165名まで減少していた。

すべてのメグロはカワサキが購入して全国に配車することで救済措置をとったものの、メグロ人気は復活しなかった。同年9月、カワサキがメグロに資本金を提供して「カワサキメグロ製作所」と社名を変更。モーターショーのカタログも豪華な冊子で拡販に尽力したが、他の二輪車メーカーがレース参戦などで存在感を高めようとしていた時代に、旧態依然としたメグロ車は人気を取り戻せなかったのである。

カワサキのW1〜W3、Z1などに受け継がれた「メグロ」の血統

最終的に、1964年(昭和39年)9月にカワサキメグロは倒産し、すぐにカワサキが全負債を肩代わりしてブランドを継承することになった。東京オリンピック需要として、白バイ500台の受注生産が残っていたからだった。
その白バイ、スタミナKベースの「スタミナKP」が横浜工場を最後にラインオフしたメグロとなった(カワサキ明石工場からの出向社員たちの手によって送り出された)。

1965年に登場したカワサキ500メグロK2は、スタミナKの生産を引き継いだカワサキ(当時は川崎航空機工業)によるモデル。エンジンはスタミナKと変わらず500ccの空冷OHV並列2気筒だが、最高出力は3馬力向上し36馬力に。また、オイルポンプ容量の増大などの改良も行われている。

以降メグロは「関東」ではなく、「関西」のカワサキ明石工場から500メグロK2、250メグロSGおよび250メグロSGTが生産されるわけだが、皮肉にも人気は徐々に上昇カーブを描いていった。
並列2気筒エンジンの500メグロK2はカワサキW1~W3へと発展していき、その後はW650、W800、メグロK3にイメージが継承され、250SGもエストレヤへイメージが継承されている。
また、カワサキの250A1からZ1系モデルにしても、目黒製作所から移籍した技術者たちによって生み出されたという事実も忘れてはならない。
そう、メグロイズムはカワサキ車の中に着実に受け継がれていったのである。

1965年に登場したカワサキ250メグロSG。メグロK2同様にカワサキによる生産車。フレームはジュニアS8のものを継承しつつ、ミッションを一体化した改良型エンジンを搭載。最高出力もS8の12.5馬力に対し、メグロSGでは17.5馬力と大幅に性能アップを果たしている。
約60年ぶりに「メグロ」の名が復活し、2021年2月に発売されるカワサキ・メグロK3。
メグロK3のエンブレムは、かつてのメグロのロゴが採用されている。

原文●小関和夫 写真●八重洲出版/カワサキ 編集●上野茂岐
(当記事は八重洲出版『日本モーターサイクル史1945→2007』の記事を編集・抜粋したものです)

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