ヒストリー

ランエボvsインプレッサ対決の前哨戦!? スクーターでもライバルだった三菱と富士重工

新三菱重工業の「シルバーピジョン」

ラビットスクーターに並ぶ昭和のスクーターといえば、新三菱重工業のシルバーピジョンは欠かせない。
同社は三菱重工が財閥解体により3社に分割された内のひとつで、1950〜52年までは中日本重工業という社名だった(ちなみに1964年にほかの2社と合併し、三菱重工業に戻っている)。

1946年ふそう(シルバーピジョン)C-10。シルバーピジョンの第一号車であるC-10は発売当初は「ふそう」の名称が与えられていた。見本とした「サルスベリー」とは異なり、運搬性能UPのために小さいながらもキャリヤも搭載。ボディの外板はジュラルミン製だった。価格3万8000円(1947年)。

第一号車のC-10が完成したのは1946年の8月のこと(発売は同年12月から)。米国・サルスベリー社のモーターグライドスクーターを範として設計され、Vベルト&プーリー式の自動変速機(現代のスクーターもほぼ同様の機構)を採用。
ギヤ操作をすることなく、アクセルを開けるだけで走れる操作性の高さは高い人気を博し、全国にオーナーズクラブが設立されるほどだった。

1958年シルバーピジョンC90。1956年まで毎年スクーター界トップの生産台数を誇ったシルバーピジョンの最高峰がC90。エンジンは4サイクルSV192cc、最高出力5.7ps/4800rpm、最高速72km/h。デザインはマツダキャロルなどを手掛けた小杉二郎氏によるもの。価格15万9000円。

ところがシルバーピジョンの4サイクルSV(サイドバルブ)エンジンに対し、2サイクルエンジンを搭載するラビットスクーターの高性能さが評価され始めると、ピジョンの販売台数は低迷していく。また、三菱360/500などの自動車の生産と販売が開始されると、二輪業務はさらに手薄になっていった。
この打開策として三菱の高級乗用車デボネアの開発に際し、スクーターも新設計される。両車ともアメリカGM(ゼネラル・モータース)の元デザイナー、ハンス・プレッツナーによる斬新なデザインを採用したのだ。
1963年に登場した新設計のC140(125cc)、C240(143cc)は、高性能の2サイクル2気筒エンジンを搭載し注目の的となった。しかし、従来とは異なるグリップ式の変速方式の採用や、1958年に登場したスーパーカブC100に端を発するモペッドバイクたちと比べて大柄で、高価な価格設定は市場から受け入れられず、1965年3月にシルバーピジョンは生産終了となった。

1963年シルバーピジョンC240。従来までのC230が4サイクルOHV210cc、最高出力11.5ps/6100rpm、最高速95km/h、価格17万5000円だったのに対し、C240は2サイクル2気筒143cc、最高出力9.2ps/7500rpm、グリップ操作4速で最高速100km/h、価格16万円だった


今回も「かつてバイクを作っていた現存する企業」にスポットを当てたが、カワサキに吸収合併されたメグロや、 「和製ハーレー」を作っていた陸王など、様々なバイクメーカーがあった。
それら一世を風靡したメーカーたちも追って紹介していきたい。なお、ここで紹介した車両のなかには、「スクーター黎明期」の貴重な車両として現在高価な値がつくものもある。

文●小関和夫 編集●モーサイ編集部・高垣、モーサイ編集部・上野

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