ヒストリー

ランエボvsインプレッサ対決の前哨戦!? スクーターでもライバルだった三菱と富士重工

戦後のバイク発展期の頃にバイクを作っていたものの、時代に波に押されて撤退を余儀なくされた……そんな「バイクを作っていた意外な企業」を紹介する第二弾(前回の記事はこちらから)。今回はスクーターで一世を風靡した2社をご紹介したい。

富士重工業の「ハリケーン」「ラビット」

昭和のスクーターの代表格、ラビットスクーターを作っていた富士重工業は、現在のスバル。2017年に社名を改称したことは皆さんの記憶にも新しい(?)と思う。
ルーツは戦闘機の隼、零戦に搭載された栄発動機を生産していた中島飛行機で、第二次大戦終結後、軍需産業から平和産業への方針転換にともない富士産業と社名を改めた。
その後程なくして誕生したラビットスクーターだが、第一号車はアメリカのパウエルというスクーターを見本に1946年から製造された。

1946年ラビットS-1(D-11)。生産当初は太田工場製を「ラビット」、三鷹工場製の車両を「ポニー」と名付ける予定だったが、商標登録の関係でポニーが使えず、「ラビット」の名称で統一された。価格9000円(1946年当時、以下当時価格)

ラビットは1953年には月産2000台を達成、さらに二輪事業の拡大策としてオートバイのハリケーン号350RBも発売する。同車に続き、125cc、250ccクラスのバイクもラインアップに加えられていったが、それらは数年ほどで製造は中止され二輪車はラビットスクーターに集約された。

1953年ハリケーン350RB。大宮工場製のハリケーンは英車を参考に開発、数台が現存。OHV346cc、最高出力14.5ps/4500rpm、最高速100km/h。1955年発売のキングダイナT型250が翌年ハリケーン250となり、1957年発売のR型125ccはラビットのエンジンをベースに開発され、1959年まで販売された

また、常に新技術の投入を行っていたラビットスクーターは、1957年に二輪初の流体式トルクコンバーター(オートマチック機構)を二輪車で初採用。さらに4速手動クラッチ式採用のツーリング型はスクーターであるにもかかわらず、バイクに匹敵する高性能を発揮した。
しかしモペッドブームの到来に伴い、スクーターの需要は落ち込み苦戦を強いられてしまう。その結果、当時好調だった乗用車生産に注力するため、1968年6月にラビットシリーズは生産を終了している。

1959年ラビットS601。1957年発売のS101Dスーパーフロー(4サイクルSV246ccエンジン、最高出力7ps/4500rpm、最高速75km/h)をベースに、2サイクルエンジンとしたのが同車。200ccで、最高出力11ps/5500rpm、最高速100km/h。両車とも価格は変わらず17万3000円

ちなみに、富士産業も財閥に匹敵する大企業ということで、企業再建整備法に引っかかり1950年に12個の会社に分割されており(いわゆる「財閥解体」)、1950年7月からは富士工業としてラビットスクーターを製造販売していた。その後1953年に富士工業を含めた5社が出資して富士重工業を設立し、1955年に5社とも吸収合併している。

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