ヒストリー

【遙かなるグランプリへ6】世界は知っていた…スクランブルレースから始まるヤマハ・GP史(後編)

新しい時代の中核へ

1968(昭和43)年、ホンダがグランプリから撤退すると同時に、ヘイルウッドは二輪レースを引退。
そのコンビがいなくなった250㏄のフィールドは、RD05Aの独壇場だった。
ふたりのヤマハライダーP.リードとB.アイビーが、すべてのレースでRD05Aを優勝に導き、ヤマハに250㏄クラス3度目のタイトルをもたらす。

これに続く’69年は、エンジンの気筒数やミッション段数、マシンの最低重量などに制限のない「古き良きグランプリ」最後の年でもあった。
ホンダに続いてスズキとヤマハも完全にワークス活動を停止し、GPには新たな時代が訪れようとしていた。
ベネリのややくたびれた4気筒で250㏄マルチ時代最後のタイトルを獲得したのがK.キャラザースだ。
そして気がつけば、その新しい時代の担い手となっていたのが、他ならぬヤマハだった。
’69年シーズンのランキングポイント獲得51名のうち、なんと31名までがヤマハ市販レーサーTD-2のユーザーだったのだ。
’70年代の「プライベートライダー/市販レーサー時代」は、もうすぐそこまで来ていた。

誰もが、信頼のおけるヤマハTD(250㏄)、TR(350㏄)、そして後のTZ250/350を購入することで、レーシングライダーの仲間入りが出来る時代がやってきた。
言い換えれば、250/350㏄クラスを走るライダーでTZに乗ったことのない者はいない…というのがレース界の常識となった。
これは、グランプリに限ったことではなく、各国のノービスクラスからトップレベルまで、長く世界のスタンダードとなった。

●ヨーロピアングランプリはもちろん、’70年代のデイトナにおけるヤマハの活躍も忘れることは出来ない。YICカラーが明るい陽射しの中で映える。

やがて’72年から、新しいレギュレーションに則したマシンをもって、ヤマハはワークス活動を再開することになる。

●ワークス復帰初年度’72年の第1戦西ドイツ・ニュルブルクリンクでJ.サーリネンをリードする金谷秀夫。世界の「KANAYA」誕生の瞬間だった。

ヨーロッパ/アメリカ/日本と、世界中から集ったチームヤマハの面々全員が、すべてヤマハ市販レーサーでプライベート時代を過ごし、実力を身につけてきたライダーであったことは言うまでもない。

●彗星の如くヤマハワークス入りし’73年のデイトナを制したJ.サーリネン。この2ヵ月後、モンツァの多重クラッシュに巻き込まれ他界。

そしてヤマハは’74年のシーズン、参戦した125、250、350、500の全クラスで、メーカータイトルを獲得した。

’58年、ヤマハの海外初挑戦を指揮し、自らその後の指針を示した川上源一は、その快挙を見届け、 後進に席を譲った。

●ヨーロッパの帝王アゴスチーニとアメリカのキング・ケニーが揃い踏み。これほどまでに豪華な組み合わせを実現できるメーカーは他になかった。

●’78、’79、’80年のグランプリ500㏄クラスを制したケニー・ロバーツ。ヤマハGP活動におけるひとつの頂点の時代を築いた伝説的ライダーだ。

 

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