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生産終了のち復活の、スズキ製ミドルVツインを今一度試す
2025年の秋ごろ、スズキの二輪サイトのラインアップで紹介されているSV650と同X、Vストローム650と同XTの車名部分に<生産終了>の文字が加わった。並列2気筒のGSX-8シリーズが出て、Vストロームにも同系エンジンの800が用意され、Vツインの寿命もあとわずかと思われた矢先だった。

ある程度予想された状況だが、そこから事態は急転回。2025年11月の伊EICMAショーで、SV-7GXが発表され、SVの系統であるVツインの継続が決まったのだ。ただし欧州の最新排出ガス規制ユーロ5+に対応すべく、吸気レイアウトはダウンドラフトタイプに変更され、ライド・バイ・ワイヤの電子制御スロットルが新規で導入されるという。


性能を犠牲にすることなく燃焼効率を上げ、エンジンはブラッシュアップされ、ミドルVツインが継続されるのは喜ばしい。SV-7GXが日本にいつ投入されるのかは未定だが、エンジンや各部が洗練される分、価格は相応に高くなるだろう(巷では100~110万円などの予想が見られる)。
一方、スズキSV650最終モデルは83万6000円だったが、現在では400ccロードモデルにも比肩する価格が魅力でもあった。ここはひとつ、SV650への惜別の意味も込め、必要十分なパワーと万能なパフォーマンスの魅力を振り返ってみたいと、1日のツーリング試乗に持ち出してみた。
特筆すべきエンジンの小気味よさ、親しみやすい車体
冒頭の文章の展開でも想像いただけたように、筆者は個人的にSV650、Vストローム650系に好印象を持っていた。このエンジンの初登場は1999年のSV650Sからで、新開発された645ccVツインは、2025年に生産終了のSV650まで続いた。その系譜は後ほど「歴代モデル小史」で詳解するが、同エンジンの魅力は「低中回転域での程よいダイレクト感と、スロットルレスポンスに忠実な力感を伴った回転上昇」だと思う。

■2016年から国内発売され、2025年に生産終了となったSV650。同車をベースに小ぶりなロケットカウル風バイザーや低めのセパレートハンドルなどを採用したカフェレーサー風の派生モデルSV650Xも2018年に登場したが、これも同時に生産終了。

■軽量高剛性なスチールトレリスフレームに熟成された90度V型2気筒を搭載し、オーソドックスなネイキッドスポーツに仕上げられた。低く絞り込まれた前側シートの形状が良好な足着き性に貢献するものの、ネガな一面もある。
久しぶりにまたがったSV650はやはり親しみやすく、足着き性も良好。身長173cmでは両足カカトまで接地し、比較的スリムな車体のため足も下ろしやすい。ハンドルは最近のネイキッドモデル(ストリートファイター的に幅広気味のバーハンドルが多い傾向)と比べて、幅はスリムで適度に高め。ライダーの上体はごく緩い前傾だが、違和感のないスタンダードスポーツのライポジと言える。
歯切れのよいアイドリングを聞きつつクラッチを入れてミートすると、エンジン回転がふわっと上がる。2016年モデルのSVから導入された「ローrpmアシスト」という機構が働いているためで、クラッチミートからエンストせずにスムーズな発進を促す装置である。もともとピックアップのよいエンジンだから絶対必要というものでもないが、恩恵は感じやすいだろう。

エンジンは3000rpm以上回っていれば滑らかな回転感になるが、トップギヤの6速では2500rpm≒60km/h、3500rpm≒80km/hといった回転と速度になる。そのため市街地や一般道を流す際は3~5速が常用となり、するとキビキビとしたダイレクト感で車体を進ませられる。
SVの車体は、イメージ的には軽快な印象だが、現在の同クラスのネイキッドと比較すると、さほどコンパクトでも軽量でもない。最新のGSX-8Tと比較しても、全長は2140mm(8Tは2115mm)、車重は199kg(8Tは201kg)、最小回転半径に至っては3.0m(8Tは2.9m)で、すごく小回りが利くわけでもない(ハンドル切れ角が案外少ない)。
ただし、大きさや重さが特に気にならないレベルにあることのほか、ライダーと接するハンドル、タンク、ステッププレート部などがスリムにフィットし、ライディングポジションにも違和感のないことが、乗り手の御しやすさにつながっているのだろう。
※以下SV650の高速・ワインディング試乗は後編に続く

■645ccの90度V型2気筒DOHCエンジンは、1999年の初代から基本を踏襲しつつ、2003年の2代目でFI化、そして事実上のSV650の後継モデル「グラディウス650(2009年)でエンジン内部の各部見直しを実施。フリクションを大幅に低減し、中低速の扱いやすさを向上。2016年のSV650でもピストンやカムシャフトなど80点以上の部品変更が実施され、従来の最高出力72psから76.1psに向上。この際に「ローRPMアシスト」や「スズキイージスタートシステム」も新搭載された。最終モデルとなる現行型は、2022年にユーロ5相当の平成32年(令和2年)排出ガス規制対応で特性が見直され、最高出力は72psに抑制された。

■173cm/76kg、足の長さは標準的な80cm程の体格だと、両足はカカトまで接地する。ハンドル、着座、ステップの3点関係は現状でも違和感がなく良好な足着き性でもあるが、着座位置はあと少し高いほうが運動性・快適性の点で好ましいと感じる。
スズキ製ミドルSVシリーズ小史
【SV400S(1998)】

■輸出市場向けのSV650/Sと同時開発され、免許事情に合わせて日本市場向けに先行投入されたSV400/S(価格59万9000円/64万6000円)。Sなしはネイキッドモデル、Sはハーフカウル&セパハン仕様のスポーツモデル。性能は最高出力53ps/1万500rpm、最大トルク4.2kgm/8000rpm。650と共通のフレームはアルミ製だ円断面トラス構造を採用。
【SV650/SV650S(1999)】


■400に続き、国内でも650ccのネイキッド版SV650とハーフカウル付きのSV650Sが1999年から販売された。しかし、当時の国内では大型二輪免許枠だと排気量の大きな上位機種を求めるニーズが高かったため販売は芳しくなく、2000年に入って間もなく国内ラインアップから外れた。最高出力は70ps/8500rpm、最大トルク6.2kgm/7000rpm。当時価格は69万9000円。
【SV650/SV650S(2003)】


■初のモデルチェンジを実施し、フレームはアルミダイキャストのトラスフレームに一新されたほか、燃料供給にはフューエルインジェクションを採用。ネイキッド版とハーフカウル版が用意されたが、輸出向け専用車となった。欧州市場ではスタンダードな排気量でのコストパフォーマンスの高さで販売的にも好調を続けたというが、国内での市場ニーズに合わないとの判断だろう。ただしこの2代目が海外市場では2015年頃まで継続。最高出力は72ps/9000rpm、最大トルク6.3kgm/7000rpm。
【グラディウス/SFV650(2009)】

■2代目SV650シリーズの派生モデルとも言えるネイキッド。別名SFV650。SVに対して外観を洗練してプレミアムな雰囲気を出し、専用の造形を持つスチール製トラスフレームを採用。エンジンも2代目SV650ベースながら改良とセッティング変更が行われ、より洗練された低中速と伸びやかな回転感が両立された。海外向けモデルながら、スズキ系海外モデルや逆輸入車を販売するモトマップ経由で相応の台数が国内に流通。最高出力72ps/9000rpm、最大トルク6.4kgm/7600rpm。同車は2代目SV650と同様、新型SV650登場とともに生産終了。一方日本では400cc版のグラディウスが2010年より販売された。
【SV650(2016)】

■エンジン部で60点以上の部品を見直し、低回転域での鼓動感と中~高回転でのスムーズで力強い吹け上がりを実現。スタイリングはオーソドックスな丸ライトとなり、シンプルなパッケージとして原点回帰。ネオレトロな立ち位置もねらったように感じられる。最高出力76.1ps/8500rpm、最大トルク6.5kgm/8100rpmはSVシリーズ史上最高スペックだったが、2022年モデルでは国内排出ガス規制(平成32年・令和2年規制)に対応すべく、72ps/8500rpm、6.4kgm/6800rpmへとわずかにスペックダウン。2016年登場時の国内価格は73万8720円。
【SV650X(2018)】

■2018年に登場したSV650ベースの派生モデル。ヘッドライトカウル、セパレートハンドル、専用のタックロールシートなどを標準装備して、スポーティでレトロな外観に仕立て、カフェレーサーの雰囲気を高めたモデル。ライディングポジションも、前傾姿勢が強いものとなるほか、標準のSVに対してフロントフォークにはプリロード調整機構が付加されている。登場当時価格は78万1920円。
【SV650 ABS主要諸元】※最終モデル(生産終了)
■エンジン 水冷4ストローク90度V型2気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク81.0×62.6mm 総排気量645cc 圧縮比11.2 燃料供給装置:フューエルインジェクション 点火方式フルトランジスタ 始動方式セル
■性能 最高出力53kW(72ps)/8500rpm 最大トルク63Nm(6.4kgm)/6800rpm 燃費24.4km/L(WMTCモード値)
■変速機 6段リターン 変速比1速2.461 2速1.777 3速1.380 4速1.125 5速0.961 6速0.851 一次減速比2.088 二次減速比3.066
■寸法・重量 全長2140 全幅760 全高1090 軸距1450 シート高785(各mm) キャスター25° トレール106mm タイヤF120/70ZR17M/C(58W) R160/60ZR17M/C(69W) 車両重量199kg
■容量 燃料タンク14L エンジンオイル3.0L
■車体色 パールビガーブルー/マットブラックメタリックNo.2、パールマットシャドーグリーン/マットブラックメタリックNo.2、マットブラックメタリックNo.2
■価格 83万6000円※(生産終了モデル)
レポート●モーサイ編集部・阪本一史 写真●モーサイ編集部、スズキ
スズキ
TEL0120-402-253(お客様相談室)
https://www1.suzuki.co.jp/motor/





































