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歴史は続く……“古き良きスタイル”がバイクユーザーに支持されるワケ

変わらない良さと進化の折り合い

バイクに限ったことではないが、技術は時代と共に進化していくものだ。
それによって我々は大きな恩恵を受けることができるが、一方で“変わらない”ことを受け継いでいくことも、楽しみの世界では大切な要素になる。

懐古趣味でも思い出に寄り掛かるわけでもなく、伝統というほど重くなくていいから、変わらない良さと進化を上手に融合すると、バイクという世界では、見事に愛されるプロダクトに仕上がることがある。
まあ、ライフスタイルでも昔流行したものがリバイバルブームを引き起こしたり、それだけにとどまらず新たにカテゴリーとして存続したりすることも多い。人間の感性は、そんなものなのだ。

 

40年以上愛され続ける、ヤマハSR400の魅力

ヤマハ・SR400。2017年に生産終了したが、スタイリングはそのままで「二輪車平成28年排出ガス規制」をクリアして2018年に復活。2019年も好調なセールスを記録している。

ヤマハ・SRのルーツは1976年のトレールモデルXT500で、そこからビッグシングルオンロードモデルのSR400/500が78年にデビューした。
そして、4スト空冷OHC2バルブエンジンも、フレームもスタイリングも、そしてキックスタートさえ現行モデルがそのまま受け継いでいる。

SRのルーツであるヤマハ・XT500。

なぜSRシリーズは40年以上も愛され続けたのだろうか?
製造メーカーであるヤマハは、SRのモデル寿命をそれほど長くは考えていなかったことだろう。しかし、SRに進化の過程で置き忘れてきた、古きよき時代の雰囲気と乗り味を見いだし、ほかでもないライダーが支持したのだ。だから今日に至るまで、ヤマハはSRを存続し続けた。

もちろん機械的に、初登場時のままでは排出ガス規制に対応できない。だからFIなどの最新技術で、エミッションなど現代の社会環境に適応させた。変わらない良さと進化した技術の融合だ。

 

ジャパニーズスタンダードバイクとまで言われるホンダ・スーパーカブ

60年以上の歴史を持つホンダ・スーパーカブ(写真は初代・C100)

ホンダが世界に誇る名シリーズ、スーパーカブも同様だ。
初代(C100)がデビューしたのは1958年。PGM-FI化された現行モデルC125も前傾エンジン、セミスクータースタイルなど不変のカブスタイルを維持し、今なお多くのファンを獲得している。

 

それ以外にも多くの車両がコンセプトを維持して存続

メグロK1までルーツが遡れるカワサキ・W800。現在3つのバリエーションを展開している。

そのほか、同じようにルーツのスタイルやコンセプトを維持した最新モデルも多い。空冷バーチカルツインが美しいカワサキW800のルーツは1967年のW1(そのW1のルーツは1960年のメグロK1・500で、これもBSA A7が模範)。

カワサキ・W1(1968年式)。鼓動感のあるバーチカルツインエンジンは国内で人気となったが、主戦場の北米では苦戦。

カワサキZ900RSは1972~73年のZ1/Z2。ヤマハ セロー250は1985年のセロー225。スズキ カタナは1981年のGSX1100Sカタナ。GSX-R1000は1985年のGSX-R750だ。

 

生き延びるために変わらないという選択

すべてのものは変わりゆく。しかし、そのコンセプトとスタイルを守ること……生き延びるために変わってはいけないこともある。先に挙げたモデルたちは、そのことを物語っているように思える。

だからこそ、昭和という時代に生まれた数々の名車の生き様と進化が、平成を経て令和となった現代でも、やけに新鮮で少しほっとする“心の居場所”を与えてくれているのではないか。

 

復活に期待したいセロー250

1985年に登場のセロー225。二輪二足をキーワードに生み出された扱いやすく軽量な車体は、林道でその威力を遺憾なく発揮。マウンテントレールという世界を開拓した。

先日、ヤマハ・セロー250がついに生産終了となるというニュースが流れた。
現時点で生産終了する理由はアナウンスされていないが、古きよき昭和時代の香りを受け継ぐ車両がなくなってしまうのはやはり悲しいものだ。

しかし、「二輪二足」をキーワードとした、扱いやすい車体と優れたハンドリングは唯一無二のもの。マウンテントレールという独自の世界観を生み出してくれた名車の歴史が、また刻まれ始めることを願ってやまないのだ。

2020年の生産終了が発表されたヤマハ・セロー250。扱いやすくほどよいサイズの車体は林道で絶大な威力を発揮。ロングツーリングでも活躍する懐の深さがある名車だ。

(report●石橋知也 編集●モーサイ編集部・日暮)

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