配達バイクは細部まで便利仕様! ドライバー(配達スタッフ)への運転教育も抜かりなし
配達バイクに凝らされた工夫は、ピザを冷まさないためのものだけではない。
例えば、配達用の全てのバイクにはドライブレコーダーが備え付けられている。このドライブレコーダー、バイクの進行方向を録画する一般的なカメラに加えて、バイクに備えられているのは珍しいインカメラ(ライダー側を録画するカメラ)が備えられているのが特徴。
万が一の事故の際には「配達員がよそ見をしていなかったか」など、事故の状況を客観的に判断する材料にするということだ。
ちなみにドライブレコーダーの本体は、ピザを入れるボックスの底材の下に収納されている。
行ったことのない配達先にも素早く確実に届けられるよう、地図アプリやナビアプリを駆使することもある。くれぐれも「ながら運転」にならないよう、スマホホルダーを固定するためのマウントバーが備えられている車両もある。
ヘルメットもピザハット仕様のデザインのものに統一されている。額の部分と後頭部にピザハットのロゴが入り、ブランドイメージカラーの赤に塗装されたヘルメットは、被視認性が高く、事故防止にも一役買っている。
また、ドライバーには大学生のアルバイトスタッフが多いという。若い運転者であればそのぶん運転経験は少ない。そのため、ピザハットではドライバーの教育にも力を入れているという。
教育方法で最も多く取り入れられているのが「追走」。配達に走るドライバーの後ろを店長などベテランのライダーが付いて走り、走行後に運転方法などについてのフィードバックを行うという。
また、配達用バイクに取り付けられたドライブレコーダーも、ドライバーの教育に活用される。たとえば、他のドライバーが運転している際に撮影した映像を教育したいドライバーに見せ、「この運転に危ないところはないか」などを考えさせることで、ケーススタディを行うそうだ。
安全運転は確実かつ素早い配達の大前提。
万が一、配達中にドライバーが転倒などの事故に遭った場合、ドライバーの身が危険にさらされることはもちろん、当然運んでいたピザも新たに作り直し、他のバイクとドライバーが改めて配達に出ることになり、配達完了まで時間が掛かってしまうからだ。
ピザがアツアツで届く一番の秘密はこのマシン!
配達用のバイクにも様々な工夫が凝らされていることが分かったが、ピザをアツアツの状態で届けるための一番の秘密兵器がこちらのデリバリーバック!
中にピザを入れて配達に出かけるためのこのバック、一見何の変哲もない袋に見えるが……。
内側にはポケットが付いており、中には直径20cmほどの円盤型の板が組み込まれている。厚みは1cm程度だが、手にとった感じかなりの重量感がある。
表面は樹脂に覆われているが、所々に開いた穴から金属の中身が見える。
この円盤型の板の正体は「ヒートプレート」という名前で電子カイロのような役割を果たすもの。店内で事前に温めておくことで、加熱終了後40分が経過しても約70度の表面温度を維持できるという。
加熱したこのプレートとピザを一緒にデリバリーバックに入れて運ぶことで、ヒートプレートの熱でピザの温度を保っているのだ!! デリバリーバック内の温度は、ヒートプレートを入れた直後には約72度、40分後でも約60度と高い。
驚くべきは、このヒートプレートの充電方法と充電にかかる時間の短さ。
店内に2台備え付けられた「クックテック」では、ヒートプレートをデリバリーバックに入れたままの状態で加熱することができる。
1枚のヒートプレートを温めるのにかかる時間は、ヒートプレートに少しでも熱が残っていればわずか40秒程度。完全に冷え切った状態から温める場合でも1分掛からないほどだという。
この「クックテック」こそ、ピザを温かい状態で、かつ素早く確実に注文者に届けるための最大の秘密兵器なのだ。
温かい状態で手元に届くのが当たり前のように感じている宅配ピザだが、その裏には多くの工夫と努力が隠されていた。
レポート&写真●モーサイ編集部・中牟田歩実
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