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■イラストはイメージ、実際の取締りとは関係ありません
前回のテーマだった覆面パトカーに続き、今回も4輪の運用車両のお話を紹介します。ちなみに覆面パトカーを含む交通機動隊などが使うクルマは「交通取締用四輪車」、主に地域のパトロールや事故対応などを行う白黒車両は「無線警ら車」と呼ばれます。
好印象だったゼロクラウン(180系)
過去に使用して個人的に印象がよかったのは、通称「ゼロクラウン」と呼ばれる車両です。完全新設計で、従来のトヨタ・クラウンと異なり「ゼロから開発したクラウン」というアピールポイントから、そう通称されるようですが、車両の型式番号にちなんで180系とも言われています(編集部注:12代目のクラウンで生産期間は03年~08年)。

ゼロクラウンの覆面パトカーは、従来の直6からV6の3Lエンジン搭載となりましたが、耐久性が非常に良かった印象があり、距離を走っている車両だと63万km走行というのを見たことがあります。その時点でもちゃんと動いており、現役で走っている車両でした。63万km走行の車両は飛び抜けていましたが、ゼロクラウンは走行距離当たりの故障率が低いというか、故障で入庫するのが非常に少ない印象でした。
遡ると、警察官になりたての頃は、日産のY31系セドリックも配備されていた記憶がありますが、パトカー仕様(YPY31)は3000ccのV6エンジンが搭載されていました。ただ、同車は私が任官した時点では、退く間際の車両だったかもしれません。
その後はクラウンが多かったのですが、150系クラウン(95~01年)も使用しました。この車両にはパトカー仕様で直6エンジンに5速マニュアル車も一部配備されていて、けっこう速くて運転していて楽しいといったらあれですが、小気味良く走り気持ちいい車両でした。150系の後は、170系クラウン(99~07年)になり、交機用は3L直6エンジンを搭載していましたが、マニュアルミッション車はなくなり、全車オートマチックになりました。

プラットフォームとエンジンを完全刷新したゼロクラウン(180系)の後は、200系(08~12年)になります。これも3LのV6エンジンを搭載していましたが、180系に比べて、もっさりした印象がありました。しかも200系はハンドルを切った時のロールだったり、アクセルを踏んだ時の加速感がちょっとワンテンポ遅かった記憶があります。決して遅いわけじゃないですが、後の210系に比べるとスポーティーさに欠け、大型のクルーザーというか、重めのセダンという印象が強かったです。

その後200系は210系(12~18年)に進化しますが、エンジンが交機用は3.5LのV6となり、結構スポーティーな乗り味になりました。車高も低くてパワーもドカンと出て、車体の剛性も高くなっている感じがしました。

なお、クラウンでも交通取締用は前述のように3Lや3.5LのV6ですが、警ら用のクラウンでは2.5LのV6だったりと、主だった用途に応じてエンジングレードが分けられたりしています。
現在も活躍する210系/220系の旧型クラウン
ちなみに、警察車両が特別にハイチューンされたエンジンを搭載しているという都市伝説的な話がありますが、事実ではありません。速度リミッタも一般車と同様に付いています。
そして、走りの機能に関係のない部分では、むしろ一般のグレードよりもコストが抑えられている部分もあります。シート表皮がビニールの合皮だったり、ポジション調整が電動式ではなく手動だったり、ラジオなどがプロボックスに付いているようなアナログタイプだったりします。警察用の車両は、不要な部分はコストを抑えて作られ、納入されるからだと思います。
話を戻します。クラウンは210系がスポーティになりましたが、その後継モデルが220系(18~22年)です。プラットフォームの刷新と走行性能の進化をねらったモデルで、よりスポーティーな路線に振られました。現在はこの型のクラウンが主流で配備されており、210系も現役で稼働中です。


なお、デザインががらりと変わった現行型クラウンは、現状ほとんど配備されていないようです。愛知県警にトヨタから寄贈されたプラグインハイブリッドの「クラウンスポーツ」が1台、福島県警に水素で走るFCEV仕様の「クラウンセダン」が1台あるようですが、現場で実用化されていません。理由は、現行クラウンが警察の調達仕様の基準に合致しにくいこと(トランク容量の不足、車体サイズが大き過ぎるなど)、価格面でのハードルの高さなどが考えられます。
4輪駆動のスバル・レガシー、日産スカイラインも配備
クラウンのほかに、交機隊では別の車種も配備されていました。その中の1台が4輪駆動のレガシーのセダンB4(BM型)でした。高速隊などで使う覆面パトカーは、3年ほどで20万km近く距離を走ってしまうのが普通ですが、レガシーでは距離が延びた一部の車両でエンジンブロックに亀裂が入るとか、オイルとクーラントが混ざってしまったというトラブルの事例がありました。そのほか、距離が伸びるとミッションの入りが悪くなるといった印象も記憶にあります。

交機の取締り用車両などでは、暖機もそこそこに緊急発進したりといった過酷な使用も多々ありますから使用条件はシビアです。そんな状況下でもあるほか、レガシイは4駆の2.5Lターボ(水平対向4気筒)ということで、耐久性能的に3L級に比べてキツイ面はあるのかもしれないですが、今後もしばらくは旧型クラウンが重宝されるでしょう。
ほかには日産のスカイラインV35、V36型にも乗っていたことがあります。交機用車両は3.5LのV6エンジンでパワーがあって加速力もいいのですが、スポーツカー寄りのインテリアで車内が狭いことや、スポーティすぎてちょっと過敏な面もあり、クラウンに比べて使い勝手の面で今ひとつの印象でした。また違反をされた方に乗ってもらう後部座席も狭いです。
以上のような印象であり、取締り用の車両に関しては今なお旧型クラウンが最高、最強と言えるでしょうし、耐久性も間違いなしというのが、今回の結論になります。

イベントなどで人気の貴重な警察車両たち

■2002年に埼玉県警が交通機動隊向けとして2台調達したというスバル・インプレッサWRX STI。現在は1台が現存するが、ごく稀に稼働するほかはイベントでの展示などで登場する。

■1998年に埼玉県警察の高速道路交通警察隊へ配備された貴重なベテラン車両。ロータリーエンジン搭載の2シータースポーツで、こちらも警察イベントなどでの展示が主な活動。実働だが、取締り活動の一線からは退いている模様。

■同じく埼玉県警察のR34型「スカイラインGT-R」パトカー。かつて計6台(白黒5台、覆面1台)が00〜01年に高速道路交通警察隊などに導入され、そのうち2台が残存。最新装備へリニューアルされ、現役で稼働する貴重な個体。
文●睦良田俊彦
睦良田 俊彦(むらた・としひこ)
1986年北海道生まれ 趣味:クルマ、バイク
歯科技工士を経て警察官となり、約15年間勤務(白バイ隊員歴約10年)。警察学校卒業後は約3年半の交番勤務を経て交通部門へ。白バイ警察官として第一線で交通取締りをメインに活動し、ライダーのための安全講習、交通安全啓発イベント、マラソン大会先導、大統領車列先導など、様々な経験を重ねてきた。県警主催白バイ大会での優勝経験もあり、白バイ新隊員の育成などにも携わった後、巡査部長の階級で依願退職。現在は退職後の夢でもあったライディングレッスンなど、ライダーのためになる活動が出来る場を作るべくYouTuberとして、バイクの面白ネタ等を発信する「臨時駐車場チャンネル」ほか、新たにバイクライディング技術等に特化した「元白バイおやじチャンネル」も開設して活動中。バイクイベント等に積極的に参加し、出身の北海道で開催のライディングレッスンで講師も務めている。

































