コラム

ハーレー乗りの正装? 袖のない「レザーベスト」をなぜ他メーカーのバイク乗りは着ないのか!? 革製バイク用品のプロ、デグナーに聞く

ハーレー乗りは袖のない革製のベストをよく着ているが……

「ハーレーダビッドソンに乗るライダー」と聞くと、彼らの多く(一部?)が着用している独特のファッションを思い浮かべる人もいるでしょう。フリンジの付いたサイドバッグ、チャップス(ズボンの上に巻きつけて脚部を保護する装具。もともとは乗馬で使用)、刺繍の入ったレザーアイテム、ウエスタンブーツやエンジニアブーツ……。なかでも筆者にとって印象的なのが、「レザーベスト」です。

ハーレーダビッドソンのバイクが集まるミーティングへ行ってみると、カラフルなワッペンや刺繍で飾られた「レザーベスト」を着用するライダーがたくさんいます。

そんな「レザーベスト」。他メーカーのバイク乗りが着ているのはあまり見かけないような……。これはハーレー乗りだけの文化なのでしょうか? なぜハーレー乗りは「レザーベスト」を好むのでしょうか? 革製品を得意とし「レザーベスト」や「チャップス」も豊富にラインアップする京都府の老舗バイク用品メーカー「デグナー」の営業担当、落合昭男さんに聞きました。

レザーベストについて教えてくれたデグナーの営業担当 落合昭男さん(右)。

かつてはハーレー乗り以外も「レザーベスト」を愛用していた!?

──「レザーベスト」はどんなライダーに人気なのでしょう?

やはりハーレー乗りの方に人気がありますね。他のメーカーのバイクに乗っていて「レザーベスト」を選ばれる方がまったくいないワケではないのですが、あまり見かけない印象です。

──なぜハーレー乗りは、「レザーベスト」を好むのでしょう?

基本的にはハーレーがアメリカを代表するバイクであり、「レザーベスト」がアメリカのカウボーイ文化に端を発する「ウエスタンファッション」だからだと思います。

ただ、ここで興味深いのがアメリカでも「レザーベスト」は「ハーレー乗りのファッション」という印象があることです。たとえアメリカでも、インディアン車や日本車のクルーザータイプのライダーだと、そこまで「レザーベスト」を着ないようですね。

ここからは僕個人の持論を含むのですが、僕がバイクに乗り始めた1980年代には、ハーレー乗り以外の方も「レザーベスト」を着用していたと思うんです。これは漫画や映画の影響が強かったのではないかと思います。登場人物が「レザーベスト」をかっこよく着こなしていたので、僕も含め若いライダーは憧れてマネをしたのです。

しかし、時代が進むと「ちょっとワルっぽい」雰囲気が、逆に「ダサい」とか、「いかにもバイク乗ってますというスタイルはイヤだ」と考える人も出てきてしまいました。最近では、バイクから降りて町を歩いても違和感のないカジュアルなアイテムがライディングウエアのトレンドです。バイク業界にもファッションの流行があるんです。

一方で、ハーレー乗りのファッションは、あまり流行に左右されない印象です。仕事柄、さまざまなバイクに乗るお客様とお話させていただきますが、ハーレー乗り同士は、ハーレー以外のバイク乗りに比べて仲間意識や横の繋がりが強いと感じます。なので、時代の流れよりも仲間内でのスタイルの統一や文化の継承のほうが勝り、ガラパゴス的な感じで独自の進化を遂げた結果、「レザーベスト」も淘汰されなかったと考えられるのではないでしょうか。

デグナーのレザーベストV-16。価格は2万6400円。

レザーベストがハーレー乗りに愛されるのは、「チームウエア」や「ワッペン交換」文化のため

──カウボーイファッションというと、長袖のレザージャケットもあると思いますが、なぜあえて「袖なし」なのでしょうか。袖があったほうが、プロテクションの面などで優れていると思うのですが……。

うーん、確かなことは言えませんが、やっぱり映画の影響が大きいというのと、「チームウエア」や「ワッペン交換」というハーレー乗りの文化に関係するんだと思いますね。

ハーレー乗りは、チームやディーラー、ツーリンググループごとにオリジナルの刺繍を入れたりワッペンを貼ったりした「チームウエア」を作る文化があります。

また、個人でオリジナルワッペンを作り、旅先で出会ったハーレー乗りと名刺代わりに交換する風習もあります。交換した相手のワッペンは、自分のウエアに貼り付ける人が多いんです。

1枚のウエアを長く使っている人ほど、交換したワッペンが増えていき、どんどん「世界でひとつだけのウエア」になっていくというわけです。

そうすると、冬は長袖、春はベスト、夏はメッシュレザー……のように複数枚のウエアを持つのが難しいんです。季節ごとに衣替えをすると「チームウエア」も複数種類作らなければならなくなりますし、「名刺代わりのワッペン」は基本的に1人から1枚ずつなので、「長袖と袖なしとメッシュ、どれか1着にしか貼れない……」なんてことになってしまいます。

そこで、同品質の袖ありに比べると安価なことが多く、体型の影響を受けにくいためチーム全員で揃えやすく、また気温への順応性が高い「レザーベスト」が「チームウエアのベース」、または「ワッペンを貼っていく土台」として選ばれたのではないでしょうか。袖なしであれば、冬はベストの上から上着を羽織ることも容易で、夏は(安全上オススメはできませんが……)ベストの下にTシャツを着て涼しく過ごすなど、温度調節ができますから。

背中にオリジナルの刺繍の入ったチームウエアを着るハーレー乗り。
旅の中で出会ったハーレー乗りと名刺代わりに交換したワッペンをベストに貼ったハーレー乗り。

──落合さんは「レザーベスト」をどう思いますか?

僕自身はカワサキ乗りなのですが、自分のバイクライフに大きな影響を与えたさまざまなバイク漫画の登場人物が「レザーベスト」を着こなしていました。その影響もあって、個人的にも「レザーベスト」は好きですね。

「レザーベスト」以外にも「チャップス」「レザーウォレットケース」など、ハーレー乗りに愛される独特のファッションアイテムはたくさんありますので、ぜひチェックしてみてください。自分のスタイルを持ってバイクに乗っている人は素敵だと思います!!

レザーベストを買うなら大きいハーレーミーティングが狙い目

大きなハーレーミーティングイベントの会場では、レザーベストがお得な「会場価格」で販売されていることも。

──「レザーベスト」が欲しい場合、どこで買えますか?

二輪用品店でも売っていますが、ブルースカイヘブン(ハーレーダビットソンジャパンが主催する国内最大級のバイクイベント。全国各地からハーレー乗りが集まる)などの大きなハーレーミーティングに来ていただければ、たくさんの選択肢の中から選んでいただけます。

というのも、「レザーベスト」はどうしても長袖のレザージャケットなどに比べて購入者の絶対数が少ないので、一般の二輪用品店には在庫していないところも多いのです。そこで私達のような「レザーベスト」をラインアップするメーカーは、大きなハーレーミーティングの会場などに商品を持っていくことがあります。

お客様には「用品店ではなかなか気に入ったものが買えなくて。たくさんの種類のベストが見られてうれしいよ」と、喜んでいただけることも多いです。さらに会場限定価格で販売していることもあり、「レザーベスト」購入のために会場に来るハーレー乗りもいるほどです。

ちなみに、デグナーではウェブストアも展開していますので、見ていただけたらうれしいです。ひと口に「レザーベスト」といっても、色々なデザインがあるので眺めるだけでも楽しめると思いますよ!!

レポート●モーサイ編集部・中牟田歩実  写真●デグナー/モーサイ編集部・中牟田歩実

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