バイクライフ

【ショベルヘッド再生記14】まさかの上がりバイクか? ハーレーダビッドソンFXSローライダー「バッテリーケース周辺補修から、前ブレーキ整備まで。まさかの異常現象発生!」

■タイトル写真:油圧系統の整備点検は、慎重にやらないといけません。不調な部分は、確実に手直ししておきたいものですね。作業環境は必ず明るくして漏れも見逃さないように!


予算を捻出できない元のままのローターに対し、キャリパー周辺は徐々に綺麗に復元。ワイヤーに接触しそうな部分は斜めに削って当たりを優しく。

まずは不思議な付き方のバッテリーケース固定ボルトの補修

前回、不可思議な粉でまみれていたリヤブレーキのマスターシリンダーや、やや普通に茶色っぽく変色していたフロントマスターの分解までと、作業を進めていたローライダー。その後、あちこち細部に手を入れて作業をしておりました。

忘れがちと危惧した部分の一つに、バッテリーケースを留めるためのボルトがフレームに接着されていたらしき箇所がありました。古い接着が完全に取れてしまっていたので、ボルト部材の丸いベースの汚れを完全に除去してから、2液のエポキシ接着剤と養生のためのテーピングでしっかり圧をかけて数日固定しておきました。

「なんでこのような取り付け方を、ハーレーが行ったんだろう?」と疑問が芽生え、「Vツインの振動も考えると、ボルトを溶接した方が確実だろうに」と思ったものの、取り敢えずは元の状態を再現してみることとしました。

緑色のマスキングテープで紛失防止に留めておいた、バッテリーケースの固定用ボルト部。ここが取れちゃってました。
双方を清掃した後、2液性エポキシを混合して気泡がなるべく入らないよう盛り付け。
しっかり接着するようにテープでぐるぐる固定。規程時間より長めに放置(?)しておきました。

フロントブレーキキャリパー周辺の補修に取り掛かる

フロントブレーキに関しては、いざという時にトランポに車載するにもリヤよりも使う可能性が高いので、早めに何とかしておきたいと考え、修理を急ぎたかったのですよ。それで、キャリパーのピストン整備やサポートの美化のほか、ガタつきの気になっていたロワーブラケットに取り付けるディバイダー部分を締結するカシメ部分の緩み(振動でガタガタいうのは確実だった)対策を実施してみました。

内側が謎の粉だらけだったリヤマスターを清掃復元し、プランジャと接続してみた図。
摩耗や振動のせいか先端方向が広がっていて気分がヨロシクない。ちょっと万力で軽~く縮めておきましょうか。
やってしまいました。パキって。じんわりと手加減したのに、この有様です。
すぐに狩野溶接さんに連絡を取り、溶接修理を依頼しました。隙間の数値を測る狩野社長。
溶け込み部分の調整のため切り込みを追加してます。これで強度を確保出来そうな予感。
絶妙なTIGワークで細部を溶かし込みます。
クリアランス数値はほぼ一定に復元され、これでひと安心です。
汚れていたスパイラルをほぐして一旦除去し、ステンレスのホース外周とスパイラル内側もパーツクリーナーで清掃後に復元。見た目が随分サッパリします。
キャリパーからホースを外し、それぞれの点検の準備へ。
さすがにこっちはリヤのような粉は出ませんでしたね。普通に汚れたフルードが……。
これは米国GMA製のキャリパーっていうんですかね。初めて触るモデルなので慎重に。

最初はポンチでドツイてカシメを強化したつもりだったのですが、思うほどカシメが効かなかったため、表面の汚れや錆を削ぎ落とし、脱脂→金属補修剤「ロイメタル」で、ガチガチに固めてバックラッシュが出ないように対策を施してみました。

キャリパーにかかる前に、ホースの分岐部分(ディバイダー)で気になった箇所を手入れ。ここのカシメが緩んでいてカタカタ言ってたので、まずはサビ取りから。
ハンマーでタガネを叩き、カシメ部分をドツイてみました。母体があまり強くなさそうで、万力で強く挟みにくいため、衝撃が逃げ気味。効果はイマイチ。
この程度では、ガタは完全には治りませんでした。
ブレーキ部品やシール材が付いたままで高熱を加えたくなかったため、結局この部分のガタは金属補修剤のロイメタルを採用して隙間をコテコテに埋め、数日放置して硬化を待ちます。
カチカチに硬化したので、余分なロイメタルは削り、体裁を整えてみた図。こんな箇所、綺麗にしても誰も見ないんですけどね!

アルミで出来ていたキャリパーサポートは経年劣化で表面が荒れていたし、加工は少し荒っぽかったものの、磨き込んでテカテカな艶が出せました。キャリパーも、4つあるピストンそれぞれの作動が滑らかになったようなので、大丈夫そうです。

GMAキャリパーの外観観察をしつつ、ピストンを軽く回して外す段取りへ。潤滑油を少々使います。
予想していたよりも順調にほぐれたピストンを外しました。赤いアルマイトですね。
点検&磨き後には、スーパーゾイルのラバーグリスを薄く塗布してキャリパー本体へ戻します。
本体にピストンを戻しました。この後、キャリパーの前後エッジの角を軽く丸めました。
各パッドも点検し、エッジの角をヤスリで少し落とし、引っ掛かり低下の「おまじない」。
ホイールのリブへの干渉防止のためか、削られたような痕跡がありますが、ちと荒っぽい処理ですね。
キャリパー裏だから見えない部分ではあるけれど、ものはついでと、240~600番のペーパーやすりで少し面を整えます。
前回より前の作業で純正フェンダーに交換した際、スピードメーターワイヤーが接触しそうになっていてキャリパーステーを削った箇所が見えますね。せっかくなので全体も磨いておきます。
切削痕の筋がほぼ消えて、全体的に光沢が出ました。ちょっとウレシイ。
フロントマスターシリンダー&スイッチBOXは、それとなく美化を進めておきました。

さらには、ブレーキホースの内部に劣化フルードやゴミが詰まっていないかも点検して、スパイラルチューブの掃除をしてラインを復元。ところが……マスターシリンダーにブレーキフルードを入れてエア抜きをし始めてみると、最初は順調に泡がポコポコとタンクに出てエアが抜けてきているように見えたので、「これならすぐにフロントブレーキは復元OKか?」と思っていたんです。そしたら、あろうことかマスターシリンダーからオイルがピューっと!

フルードを入れてレバーを握ると、最初は泡がポコポコ盛大に出ました。
自転車のチューブでレバーを握りっぱなしの状態にしてしばらく放置したり、握ったりの繰り返しで徐々に手応えが出てきた感触があったものの……。

それじゃあ、ってんでフタをしてみると、マスターシリンダーのタンクに小穴が開いており、その小穴からフルードが噴射してしまいます。マスタータンクのフタには、ダイヤフラムみたいなゴム部品も付いていません。こんな現象が起きるとは、まったくの想定外でした。

ほぼ徹夜でエア抜きをしたのに、上に噴射するもんだからトップカバー(フタ)をしてみたところ、何故かフタにも小穴が空いていて、レバーを握るたびに「ピュ~!」と出ちゃう。一気に脱力しました。

マスターシリンダーのインナー部品の組み方は合っているはずなんだけど、どーしましょう、これ…? コレのせいでフロントブレーキ部分は、しばらく作業中断となりました(涙)。                   (つづく)

文と写真●小見哲彦      
取材協力●(有)狩野溶接工業 https://kano-w.com/

著者プロフィール

小見哲彦(こみ・てつひこ)
無類のバイク好きカメラマン。
大手通信社や新聞社の報道ライダーを経験してバイク漬けになった後、写真総合会社にて修行、一流ファッションカメラマン、商品撮影エキスパートのアシスタントを経て独立。神奈川二科展、コダック・スタジオフォトコンテスト等に入選。大手企業の商品広告撮影をしつつも、国内/国外問わず大好きなバイクを撮るように。『モーターサイクリスト』誌ほか多数のバイク雑誌にて撮影。2021年からは、防衛関係の公的機関から、年間写真コンテストの審査員と広報担当人員への写真教育指導を依頼されている。

  1. たぶん現役オーナーも知らない『Rebel 250(レブル250)』のエンジンが秘めた潜在能力の話

  2. 大型バイクは重くて大変だと思っていた CB1000Fに乗った20代ライダー3人がその考えを変えた理由

  3. サーキットで驚きの実力を確認!【BRIDGESTONE BATTLAX RACING STREET RS12】

  4. 50歳からのリッターバイクデビューは不安? リターンライダーが語るCB1000Fの魅力。「ライダーを育ててくれるバイクです」

  5. 新しい時代へ進化するHondaのカブシリーズ ~ライフスタイル別おすすめモデル

  6. Hondaが『EVスクーター』の普及に本気を出してきた!? 新型EVスクーター『CUV e: 』登場!原付二種クラスで驚愕のコストパフォーマンス

  7. スポーツバイク好きの女子大生ライダーが語るGB350とGB350 Sの魅力。このバイクでツーリングに行ってみたい!

  8. FIND CBでわかった、CB400 SUPER FOUR E-ClutchとCB1000Fの「跨らないとわからない魅力」はココ!

  9. 新型『CBR400R FOUR E-Clutch』の走りは高回転域で『CB400 SUPER FOUR E-Clutch』を上回る!? 馬力だけじゃなく足つき性も魅力のひとつ!

  10. 完全に「旧CB400SF」を超えた!? 新型400ccネイキッド『CB400 SUPER FOUR E-Clutch』の価格と発売日が決定!

  11. 『GB350』シリーズはどれが人気?『GB350 S』『GB350 C』 とスタンダードモデルを比較

  12. ホンダ『Cub HOUSE』原付二種ライフを充実させるための新拠点、ただの販売店じゃありません!

  13. 新型『CB1000F』を普通のツーリングライダーが「予備知識ゼロ」で試乗

  14. 【新型】大人にもおすすめの400ccバイク『CBR400R』がHonda E-Clutchを新搭載!? 足つき性の良さも人気の理由ひとつです!

  15. 初心者ママライダーの感じたRebel 250 E-Clutchの魅力。「私の心を落ち着かせてくれる存在です」

  16. のんびりツーリング最強の大型バイク『CL500』がアップグレード!新色にも注目です!

  17. 【わかる?】車検のある400ccクラスで発売からもう4年……だけど2024年まで『ベストセラー』を誇ったHondaのバイクってどれだと思う?

  18. 10年、20年後も色褪せない「控えめに言って最高」GB350 Cを全力で絶賛する理由

ピックアップ記事