ヒストリー

「DJ ・1」や「チャンプ」などのカッ飛びスクーターが大流行! 80年代後半も続く「50cc原チャリ大戦争」【1988-1989年編】

1989年:ホンダの新車攻勢と、ヤマハの個性的車両投入で活況に

1980年代最後となる1989年は、またしてもホンダが怒涛の新車ラッシュを繰り広げる。前年に新発売したばかりのディオに、新カラーリングを採用するディオSPが1月17日に追加設定されたのだ。

ホンダ・ディオSP

1989年発売のホンダ・ディオSP。

さらにこの翌日、ホンダは大径ディスクブレーキやテレスコピックフォークを採用する本格スポーツスクーターのジーダッシュ(G’)を新発売した。

1140mmのショートホイールベースやヒップアップしたシート形状、大型アルミブレーキレバーなど、ハイの一人勝ちだったスクーターレースでの活躍が期待されたモデルだった。価格は14万3000円。

ホンダ・ジーダッシュ

1989年発売のホンダ・ジーダッシュ。

こうなるとヤマハも黙っていない。2月になると人気を誇ったジョグをモデルチェンジして3代目ニュージョグへ進化させた。
エポックはXLサイズのフルフェイスでも収納可能なメットイン機構、シートより後に配置された給油口、6.8psになった前傾シリンダーのエンジンなど。価格は13万9000円だった。

さらに7月まで待つことになったが、ニュージョグにもTECH21仕様のカラーリングが施された特別仕様車が限定で販売された。

1989年発売のヤマハ・ニュージョグスポーツTECH21。

ライバルのモデルチェンジに歩調を合わせるように、3月になるとホンダはタクトをモデルチェンジさせる。

やはり定番になりつつあったメットイン機構を採用するとともに、6psエンジンやチューブレスタイヤ、大径ディスクブレーキなどを採用。世界初の電動式オートスタンドも話題になった。価格は15万4000円。

なお同年9月には、スタンドアップ機能を外したタクト ベーシックを価格14万2000円にて発売している。

ホンダ・タクト

1989年発売のホンダ・ タクト。

さらにその翌月、ホンダは小型メットインスクーターのパルに、新設計の無段変速機SVマチックを採用するモデルチェンジを実施。スリムなボディにフォークカバーを装備するなど、軽度の接触の際ダメージを負いにくいよう配慮されていた。価格は10万9000円。

ホンダ・パル

1989年発売のホンダ・パル。

ここでスズキはメットイン機構を備えながら675mmという低いシート高を実現したセピアを新発売する。従来のアドレスからフロントフォークを変更して低価格にしたモデルで、広告キャラクターには井森美幸を起用した。価格は12万9000円。

1989年発売のスズキ・セピア。

これを最後に1989年のニューモデルは鳴りを潜めるが、最後の最後12月にホンダがディオをモデルチェンジさせる。シリンダーを新設定するとともに排気効率を向上させた新型マフラーと組み合わせ6.8psを発生する新エンジンを搭載したのだ。前後にチューブレスタイヤを採用して価格は12万9000円だった。

ホンダ・ディオ

1989年発売のホンダ・ディオ。


1980年代前半はHY戦争に端を発した新車ラッシュだった。
HY戦争が終結した後の80年代後半だが、前半の勢いはまったく衰えることがなかった。だが、この頃から50ccスクーターは徐々に販売台数を減少させていく。

次回は1990年代のスクーターを振り返ることで、時代の変遷をみてみたいと思う。

(text:増田 満/まとめ:モーサイWEB編集部)

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