ヒストリー

【時代を駆け抜けたバイクたち2】DUCATI 851・HONDA CBR600F/VF750F編

この世にバイクが登場して以降様々な新機構が生み出され、車両性能は止まることなく進化し続けている。
ここで紹介する3車種は、当時画期的とも言える技術と、思わずときめくようなコンセプトが存分に詰まったバイクたちだ。
水冷Lツイン、気軽に味わえるスポーツ性を標榜した開発理念、GPマシンからのフィートバック……。バイクの歴史を紐解けば、そこは時代を変えてきたパイオニアが多く存在するのである。

4気筒を負かした水冷"Lツイン" DUCATI 851

ドゥカティ量産スポーツ車初の水冷"Lツイン" となる851は、1987年のデイトナBOTTレースでプロトタイプが登場した。

ヘッドはDOHC4バルブデスモドロミック(バルブスプリングがないバルブ強制開閉機構)で、鋼管トレリスフレームに搭載。市販車改造のスーパーバイクレース参戦を最初からねらって設計された。

この排気量アップ版となる888で1990年はレイモン・ロッシュ、91年&92年はダグ・ポーレンがスーパーバイク世界チャンピオンを獲得。
それまで2気筒エンジン車は日本製4気筒エンジン車より非力で遅いという常識があったが、これを一蹴した革新的なモデルだった。

スーパーバイク世界選手権などは当初2気筒1000㏄まで、4気筒750㏄までとされていたが、ドゥカティの強さが目立ち、2004年に気筒数問わず1000㏄へ統一された。
現在は4気筒1000㏄まで、2気筒1200㏄まで(ただし改造範囲が狭い)。
851系の後、現代車のスタイリングに大きな影響を与えた916系(故マッシモ・タンブリーニがデザイン)、999、996、1098、1198と来て、1199パニガーレで伝統のトレリスフレームを捨てモノコックとなった。

1993年 DUCATI 888

92年型で888㏄に拡大。851ストラーダと高性能版の888SP4 / SPSの3タイプを用意。93年型は888ストラーダ、888SP5の2タイプを用意、ストラーダは94年も販売

1994年 DUCATI 916

排気量を916㏄に拡大しフレームも刷新。片持ち式スイングアームを採用した個性的なデザインはマッシモ・タンブリーニの作。最高出力114馬力、乾燥重量198㎏

2003年 DUCATI 999

916→996→998まで発展した後、この999で全面刷新。排気量は998㏄(高性能版の999Rのみ999㏄)。05年型でカウルのデザインやエンジンの変更を受けている

2007年 DUCATI 1098S

排気量を1099㏄(1098Rは1198㏄)に拡大、フレームも14%の剛性向上と1.5㎏軽量化を果たす。この後12年型でアルミモノコックフレームの1199パニガーレへ進化

RIVAL 1987年 HONDA VFR750R

88年から始まったスーパーバイク世界選手権向けに1000台限定販売、予約が殺到したことは今も語り草に。レースではフレッド・マーケルが88年、89年と連覇を飾った

オールラウンドスポーツの原点・HONDA CBR600F

ホンダがたびたび掲げてきた「F」コンセプトは、このCBR600Fがもっとも表しているだろう。

スポーツバイクでありながら、そのスポーツ性能をサーキットに限定することなくあらゆる場面で、場合によってはタンデム時でさえも、車体と一体となってスポーツライドが楽しめるように、非常に懐の深い設計がなされ特に欧州で絶大な人気を集める。

99年アルミフレーム化、01年にインジェクション化(F4i)され、03年にRRへバトンタッチした。

1992年 HONDA CBR600F

91年型でコンパクト化された新エンジンを採用。最高出力100馬力。センタースタンドやグラブレール、荷掛けフックなどの実用装備も充実。92年型(写真)で国内仕様も登場

2011年 HONDA CBR600F

CBR600F4i(01年型〜06年型)以降途絶えていたFが復活。アルミモノバックボーンフレームのCB600Fホーネットをベースにフルカウル化したモデルで最高出力102馬力

2014年 HONDA CBR650F

ノンカウル版のCB650Fと同時デビュー。新開発の650㏄エンジンを鋼管ツインチューブフレームに搭載。欧州仕様87馬力、国内仕様83馬力とし、扱いやすさを追求している

RC30へと続く新技術の幕開け・HONDA VFR750F

空冷並列4気筒全盛の70年代から、時代が変わるような大きな革新を模索していたホンダは、WGPで2ストローク勢を相手に奮闘していたNRの技術を市販車にフィードバック。

1982年 HONDA VF750F
82年12月発売。748 ㏄、最高出力72馬力。バックトルクリミッターを採用しホイール径は前16、後ろ18インチ。フレディ・スペンサー、フレッド・マーケルらがレースで同車を駆り大活躍した

新たにスリムで高性能な水冷V型4気筒エンジンをリリース。バックトルクリミッターなど最新装備を満載しただけでなく、フロント16インチホイールの採用や角断面パイプフレーム、モノショックなど車体面においても新しいスポーツバイクを提案した。

1982年 HONDA VF750 SABRE

一次振動を理論上ゼロとする90度V型4気筒エンジンでリヤサスはプロリンク、駆動方式はシャフト。光ファイバーを採用した盗難防止装置も装備する。最高出力72馬力

1982年 HONDA VF750 MAGNA

セイバーと同時デビューのアメリカンで最高出力72馬力。ミッションもセイバーと同様の5速+オーバードライブとし、高速走行を快適化。ホイール径は前18、後ろ16インチ

※本記事はMotorcyclist2017年3月号のものです。

  1. 大きなバイクに疲れた元大型ライダーが「Honda E-Clutch」で体感したある異変とは?「バイクの概念が変わりました」

  2. 【バイク初心者】本格的なバイク整備はプロに任せる!でもこの『3つ』だけは自分でもチェックできるようになろう!【バイクライフ・ステップアップ講座/3つのセルフチェック 編】【Safety】

  3. 『Rebel 250(レブル250)』に「Honda E-Clutch」搭載タイプが登場!ユーザーの声をもとに熟成した新たな『Rebel 250』でツーリングを楽しもう!

  4. 寒い季節はグローブ選びが命! 冬場も走るベテランライダーが100%装着している『バイク用の冬グローブ』ってどんなもの?

  5. 【比較】新型『GB350 C』と人気の『GB350』の違いは?ざっくり10万円強も価格差……ちょっと高いんじゃない?と感じる人へ!

  6. 新型『NX400』ってバイク初心者向けなの? 生産終了した『400X』と比較して何が違う?

  7. 冬は寒いのになんでバイクに乗るの?実は『他の季節よりも○○な魅力』が5つある!

  8. ベテランライダーが『CBR650R E-Clutch』に乗って感じた楽しさ

  9. 寒い時期はバイクに乗らない人へ!愛車を冬眠させるなら「4つの〇〇+α」をやっておけばずっと長持ち!

  10. 還暦からセカンドライフをスタートさせた『Rebel (レブル)1100 <DCT>』のオーナー

  11. 定年後のバイクライフをクロスカブ110で楽しむベテランライダー

  12. CL250とCL500はどっちがいい? CL500で800km走ってわかったこと【ホンダの道は1日にしてならず/Honda CL500 試乗インプレ・レビュー 前編】

  13. 【王道】今の時代は『スーパーカブ 110』こそがシリーズのスタンダードにしてオールマイティー!

  14. 新車と中古車、買うならどっち? バイクを『新車で買うこと』の知られざるメリットとは?

  15. ビッグネイキッドCB1300SFを20代ライダーが初体験

  16. どっちが好き? 空冷シングル『GB350』と『GB350S』の走りはどう違う?

  17. “スーパーカブ”シリーズって何機種あるの? 乗り味も違ったりするの!?

  18. 40代/50代からの大型バイク『デビュー&リターン』の最適解。 趣味にも『足るを知る』大人におすすめしたいのは……

  19. ダックス125が『原付二種バイクのメリット』の塊! いちばん安い2500円のプランで試してみて欲しいこと【次はどれ乗る?レンタルバイク相性診断/Dax125(2022)】

  20. “HAWK 11(ホーク 11)と『芦ノ湖スカイライン』を駆け抜ける

アバター

モーサイ編集部

投稿者の記事一覧

1951年創刊のモーターサイクル専門誌。新車情報はもちろん、全国のツーリングライダーへ向けた旬な情報をお届けしています!

モーターサイクリストは毎月1日発売!

おすすめ記事

STRIKERが新型=3代目スズキ ハヤブサ用パーツをますます充実! 外装パーツもスタンバイ ゲリラ450 ロイヤルエンフィールド ロイヤルエンフィールドが「ゲリラ450」を発表! 過激なネーミングとは裏腹にフレンドリーなロードモデルになりそう! 【ARAI SPIRIT】アライヘルメット「ものづくり」の真髄-1

カテゴリー記事一覧

  1. GB350C ホンダ 足つき ライディングポジション