pixiv WAEN GALLERY(東京都渋谷区)にて、2020年4月10日まで開催されるイラストレーターLAM(ラム)さんの初個展『目と雷』。
青やピンク、紫などのネオンや、グリッジテイストの壁紙に彩られた会場内には、ビビットな色彩で描かれ、鮮烈な瞳が印象的なLAMさんの作品が多数飾られている。

LAMさんの初個展『目と雷』の会場であるpixiv WAEN GALLERY。会場前への駐輪、駐車はできないが、近隣には二輪用パーキングメーターやコインパーキングもある。また最寄りの表参道駅からも歩いて5分とアクセスはよい。
住所は東京都渋谷区神宮前5-46-1。

一般的な個展とはことなり、会場内はかなり攻めたデザインに。
【グリッジ×ネオン×金網×和】を柱に、「LAM VS 雷雷公社」を空間のコンセプトにしているためだ。
が、そんな会場内で独特の存在感を醸し出しているのが、会場中央に鎮座しているカスタムバイク。名は『雷電』という。
ビューエル・ファイヤーボルトXB12R(2009年)がベースの同車は、LAMさんとともにデザインチーム「雷雷公社」を立ち上げたデザイナー、カトウさんの個人所有車。
カスタムショップTASTE(東京都八王子市)の河内山アキラさんが手掛け、個展の世界感にフォーカスしつつ、雷雷公社のデザインテイストを盛り込んだ車両だ。

会場入口の真正面に置かれ、ネオンに照らされながら来場者を出迎える雷電。
今回の個展のため、またデザイナーのカトウさんの願望と趣味が目一杯詰め込んで作成されたバイクだ。

ビューエル・ファイヤーボルトXB12R(2006)。
ハーレー・ダビッドソンのスポーツスターエンジンをベースにした1201ccエンジンを搭載したファイヤーボルト・XB12R。XBシリーズはほかにもあるが“ファイヤーボルト”のペットネームが付くのは同車のみ。
個展のため……だけじゃない?
ビューエルXB12Rがベース、「雷電」誕生の経緯
常々“雷雷公社っぽいバイクが欲しい”と思っていたカトウさん。当初は個展とは関係なく、プライベートで8年間所有していたXB12R(2008)を“雷雷公社仕様”にするつもりだったそう。

夜になるとネオンの輝きが際立ち、日中とは違った趣を感じられる(写真は筆者が個人的に見学した際の1枚)。
同車については会場で販売される図録『目と雷』にも収録されているが、現状と収録写真ではタイヤが違う。
「TASTEの河内山さんと色々相談しながら進めていたのですが、2019年の台風のせいで僕の家がバイクごと水没しまして……(苦笑)。それで一旦カスタム計画を見直したんです。ただ被災する直前にLAMの個展の日時が決まったことを知ったので、『個展にフォーカスさせようか?』と、河内山さんに改めて個展の世界観に近づける形で再スタートしました」(カトウさん)
ちなみに濁流に呑まれたカトウさんのXB12Rは、河内山さんの手により無事復活を遂げたという。
“バイク=戦闘機” 雷電の命名の秘密
このバイクに付けられた「雷電」という名前は、第二次大戦時代に日本海軍が運用していた局地戦闘機の“雷電”に由来している。
というのも、LAMさん、カトウさんの間では“バイク=地上の戦闘機”というイメージがあり、「“雷雷”公社のバイクとして、戦闘機で“雷”と言えば雷電しかない!」という結論に達したためだという。

普通のバイクでは燃料タンクに当たる部分にある、“エアクリーナーカバー”には車名である“雷電”や、“雷雷公社”の文字が踊る(ちなみに同車はフレームが燃料タンクを兼ねている)。
ただその一方で、同車には「BATTLE JACK(バトル・ジャック)」というもうひとつの名前があり、これはTASTEオリジナルのカスタムコンセプト“BATTLE CYCLONE”シリーズと、雷電が当時アメリカ軍から呼ばれていたコードネーム「JACK」に由来している。
BATTLE CYCLONEシリーズとは、OHVスポーツを代表するマシン「ビューエル・XB」をキャンパスにTASTEが生み出したカスタムの新ジャンルで、同車もその中の1台である(ただし、同じ“BATTLE”シリーズでも同じものはひとつとしてないそう)。そしてそのコンセプトと前述のコードネームを組み合わせた結果として「BATTLE JACK」のペットネームが付けられたのだ。
なお、“BATTLE CYCLONE”シリーズに関しては一般の方でも作成依頼は可能、詳細はTASTEのホームページを参照されたし(TASTE公式ホームページ)

大きく跳ね上がったテールフェンダーにある“BATTLE JACK”の文字。
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