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「目線だけ」では曲がれない——自在にバイクを操るための“本当の極意” 【第10回】現役二輪教習指導員YouTuberばくのライテク講座

「目線は行き先へ!」
「もっと遠くを見て!」

教習所のコースで、誰もが一度は耳にするこの言葉。確かにその通りです。目線が近ければ視野は狭まり、危険の発見も遅れます。行きたい方向を見ることで、身体や車両は自然と導かれていきます。

何よりも先に進行方向を事前に把握しておくことが大事。

しかし——。

もし「目線だけでバイクが曲がる」のが真実なら、なぜ多くのライダーがコーナリングで悩み続けるのでしょうか?

「行きたい方向を見ているのに、曲がれない」
「思ったより大回りになってしまう」
「コーナーの入口で身体がガチガチに固まる」

そんな経験はありませんか?

実は、多くのライダーが見落としている“もうひとつの致命的なピース”が存在します。

こんにちは。現役二輪指導員として教習現場に立ち、YouTubeチャンネル『VREAST(ブレスト)』でライディングの本質を発信している「ばく」です。

YouTubeチャンネル『VREAST(ブレスト)』 左:はな 右:ばく

コーナリングにはさまざまな理論があります。サーキットと公道では求められる技術も異なりますし、ライダーによって考え方も様々です。今回お伝えするのは、公道での中低速域を安全かつスムーズに走るためのコーナリングの考え方です。

なぜ「目線だけ」では足りないのか? 

バイクを物理的に曲げているのは、ライダーの視線ではありません。「ハンドル」です。

顔だけを進行方向へ向け、胸が正面を向いたままだとどうなるでしょうか。
腕は窮屈になり、肘は固まり、ハンドルを自然に操作する余裕がなくなります

その結果、

  • 曲がりたいのに曲がれない
  • セルフステアを邪魔してしまう
  • バランスを崩しやすくなる

という状態に陥ります。

これでは、バイク本来の旋回能力を引き出せるはずがありません。大切なのは、顔だけでなく「胸の向き」を進行方向へ向けること。

“肩のラインがハンドルと平行”になるよう身体を向けることで、腕と肘に余裕が生まれます。

ハンドルをこじる必要はありません。身体の向きが整えば、バイクは自ら「セルフステア」を始め、まるで意思を持っているかのようにスムーズに向きを変えてくれるのです。

上半身を無理のない形にするためには胸の向きを変える

「日常の動作」に隠された正解

少し想像してみてください。後ろから名前を呼ばれたとき、あなたはどうやって振り返りますか?まず顔が向き、次に胸が向き、最後に腰が回る。この一連の動作には、力みも迷いもありません。人間が最も自然で、最もスムーズに動ける連動性です。

ところがライディングになると、多くの人が顔だけを向けようとします。実はこれが不自然な状態です。顔だけを先行させると身体がねじれ、動きは硬くなります。その結果、バイクもスムーズに向きを変えられず、大回りしやすくなるのです。コーナリングで意識したいのは、顔・胸・腰が連動して向きを変えること。日常生活で当たり前に行っている自然な身体の使い方を、そのままバイクに落とし込むだけです。

振り返る自然な動きをUターン時の動きに落とし込む

「横目」で見るな。「正面」で捉えろ

ライダーが陥りやすいクセのひとつが、行きたい方向を横目で見てしまうことです。

視線は向いていても、身体は正面。これでは身体とバイクがバラバラに動いてしまいます。本当に重要なのは、行きたい方向を顔の正面で捉えること。そして、胸の正面でも捉えること。顔と胸が向けば、腰も自然と回り始めます。すると身体全体が進行方向へ向かい、バイクもそれに合わせてスムーズに向きを変えていきます。

身体全体で進行方向を捉える。この意識がコーナリングを大きく変えてくれます。

身体の軸が進行方向へ向いたとき、腰は自然と追従し、バイクはライダーの意図を汲み取ったかのように綺麗にラインを描き始めます。

進行方向に胸を開くと自然にそちらに導かれる

人車一体——バイクを思い通りに操るために

私は、ライディングに過度な筋力は必要ないと考えています。必要なのは力ではなく、「身体とバイクの動きの調和」です。顔が向き、胸が向き、腰が向き、バイクが向く。この一連の流れが淀みなくつながったとき、バイクは驚くほど軽く、素直に曲がってくれます。それこそが、私の考える「人車一体」の姿です。バイクを思い通りに操る第一歩は、力でねじ伏せることではありません。身体の向きとバイクの向きを一致させること。もし今、

「曲がれない」
「ラインが安定しない」
「思ったように旋回できない」

そんな悩みがあるなら、まずは目線だけでなく、胸や腰の向きまで意識してみてください。あなたのコーナリングは、きっと今より自然で、そして安全なものになるはずです。

以上、現役二輪指導員YouTuber『VREAST(ブレスト)』の「ばく」でした!

文●ばく

ばく
ばく

二輪指導員歴19年。現在も教習所でライダーのタマゴたちを育て、日々の教習で自身も学びながら生徒たちと共に成長を楽しんでいます。
YouTubeでは相棒はなちゃんとVREAST(ブレスト)というチャンネルで、“教習所課題でわかるバイクの本質”をテーマにバイクのインプレッションやツーリングやメンテナンスで“バイクの楽しさ”を伝えています。
愛車はKAWASAKI900super4 Z1・F.B Mondeal SMX125・HONDA TLM200
YouTube:@VREAST

X:@VREASTbaku

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