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インディアン パースート詳細解説「1768cc水冷高出力エンジン+高度な電子制御、リヤトランク装備で収納力も抜群」

超豪華クルーザー「インディアン・パースート」は2タイプが日本導入

ゴージャスかつ高額なバイクについて、「ならクルマでいいじゃん」と言う人がいる。泊まりの旅を楽しむにも、暑さ寒さを気にすることなく、荷物だってたくさん積める。なので、そうした声を否定するつもりはない。
が、開けた視界で美しい景色を楽しんだり、ワインディングロードをひらりひらりと駆け抜けたり──そうした独特の魅力がバイクにはある。

快適性を犠牲にすることなく、それが味わえたらなお良いわけだが、ゴージャスなバイクはそれを可能としてくれる(乗員こそ2名限定とはなるが)。
アメリカのインディアンが2022年型として発表した最新クルーザーモデル「パースート」もその1台だ。

日本には電動調整式サスペンションを装備した「プレミアムパッケージ」が導入され、エンジンやマフラーなど各部が精悍なブラック仕上げとなる「ダークホース・ウィズ・プレミアムパッケージ」(398万9000円)と、各部がゴージャスなメッキ仕上げの「リミテッド・ウィズ・プレミアムパッケージ」(403万9000円)が選択できる。

パースート・ダークホース・ウィズ・プレミアムパッケージ(ルビーメタリック×ブラック)。価格は398万9000円
パースート・リミテッド・ウィズ・プレミアムパッケージ(ディープウォーターメタリック)。価格は403万9000円。

1768cc水冷V型2気筒エンジン「パワープラス」を搭載

パースートは大型カウルを備えたチャレンジャーシリーズの発展型で、最高出力122馬力/最大トルク18.1kgmを発揮する1768cc水冷V型2気筒「パワープラス」エンジンを搭載。クルーズコントロールも標準装備となっている。
また、パワフルな動力性能を安心して楽しむために、6軸IMU(慣性計測装置)を搭載し、バンク角に応じて制御が行われるトラクションコントロールやABSも採用される。

それだけでなく、重量級のボディ(装備重量で416kg)を受け止めるため、足まわり自体もしっかりした構成となっている。
サスペンションはフロントにインナーチューブ径43mmの倒立フォーク、リヤのFox製モノショックは電動調整式で、1名乗車、2名乗車、積載など走行条件に応じプリロード調整が可能。フロントブレーキは320mmダブルディスク+ブレンボ製ラジアルマウントキャリパーという組み合わせだ。

リヤバンク休止機能も備える1767cc水冷V型2気筒OCH4バルブ「パワープラス」エンジン。これまでもチャレンジャーシリーズに搭載されてきたが、2022年型では低速域のコントロール性をたかめる改良が行われた。
320mmダブルディスク+ブレンボ製4ピストンラジアルマウントキャリパーという組み合わせのフロントブレーキ。タイヤは前後ともメッツラー・クルーズテックが純正装着される。

快適な長旅を実現する大型カウルとヒーター内蔵シート、収納スペースも135Lと大容量

一方、快適な長距離ツーリングを支えてくれる装備が大型のカウルとパースートが採用する新型シートだ。
しばしばバイクの魅力として語られる「風を切って走る気持ちよさ」だが、長時間強風にさらされ続けるとさすがに体力が奪われてしまう。
パースートはヘッドライトを内蔵した大型カウルと足下のロワーフェアリングで基本的には高い防風性能を確保しつつも、高さ調整が可能なスクリーンとロワーフェアリングのベンチレーション機能で適度に風を取り込むことができる。

「ツーリングコンフォートシート」と呼ばれるパースートのシートにはヒーターが内蔵されており、3段階の温度調整が可能。標準装備のグリップヒーターと合わせれば、気温や季節に左右されることなく、ツーリングを楽しむことができるはずだ。
また、リヤトランクと左右サイドケースは合計135L容量の収納スペースを誇り、タンデムでの連泊ツーリングにも対応する。

快適なだけでなく、道中をエンターテインメントあふれるものとしてくれる機能も充実している。
メーター下の7インチタッチスクリーンはApple CarPlay対応。ナビを表示させることができるほか、オーディオシステムも標準装備されているので、インカム等を使用せずにそのまま音楽を楽しむことも可能だ。

ヘッドライト&ウインカーを内蔵した大型カウル。スクリーンは高さ調整が可能。
補助ランプも組み込まれるロワーフェアリング。ベンチレーションで空気の流れを調整できる。
温度を3段階に調整できるシートヒーターを内蔵した「ツーリングコンフォートシート」。
リヤトランクと左右サイドケース(いずれも電子ロック機能付き)で合計135Lの収納容量がある。
メーター下のタッチパネル式モニターは電動調整式サスペンションの操作にも使用するほか、メンテナンス情報を含めた車両ステータスなど様々な情報を切り替え表示できる。

インディアン パースート主要諸元

[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクルV型2気筒OHC4バルブ ボア・ストローク:108mm×96.5mm 総排気量:1768cc 最高出力:90kW<122ps>/── 最大トルク:178Nm<18.1kgm>/3800rpm 変速機:6段リターン
[寸法・重量]
全長:2609 全幅:990 全高:1444 ホイールベース:1688 シート高672(各mm) タイヤサイズ:F 130/60B19 R 180/60R16 車両重量:416kg 燃料タンク容量:22.7L
[価格]
パースート・ダークホース・ウィズ・プレミアムパッケージ:398万9000円
パースート・リミテッド・ウィズ・プレミアムパッケージ:403万9000円
[車体色]
■パースート・ダークホース・ウィズ・プレミアムパッケージ
ルビーメタリック×ブラック、ブラックスモーク、スピリットブルーメタリック、シルバークォーツスモーク、パールホワイト×ブラック、クォーツグレーメタリック
■パースート・リミテッド・ウィズ・プレミアムパッケージ
ディープウォーターメタリック、ブラックメタリック、マルーンメタリック×クリムゾンメタリック、アルミナジェイド×ブラック

インディアン パースートのライバルはハーレーというより、ゴールドウイング!?

インディアンといえば、同じくアメリカのハーレーダビッドソンと歴史的にもライバル関係にあったのは多くの人の知るところだろう。
パースートもそのフォルムからすると、ハーレーダビッドソンの豪華クルーザー「ウルトラリミテッド」や「ロードグライドリミテッド」に近いモデルと思われるかもしれないが……高出力な水冷エンジンを搭載し、高度な電子制御機構を備える点を考えると、ホンダ ゴールドウイング ツアーが実質的なライバルとなるのではないだろうか。

パースート・ダークホース・ウィズ・プレミアムパッケージ(398万9000円)

パースート・ダークホース・ウィズ・プレミアムパッケージ。エンジンは水冷1768ccのV型2気筒OHC4バルブ。最高出力90kW(122ps)、最大トルク178Nm(18.1kgm)/3800rpm、車重416kg、燃料タンク容量22.7L、シート高672mm。

ホンダ ゴールドウイング ツアー(346万5000円)

エンジンは水冷1833ccの水平対向6気筒OHC4バルブ。最高出力93kW(126ps)/5500rpm、最大トルク170Nm(17.3kgm)/4500rpm、車重389kg、燃料タンク容量21L、シート高745mm。

ホンダ ゴールドウイングツアーは最高出力126馬力、最大トルク17.3kgmを発揮する1833cc水冷水平対向6気筒エンジンを搭載。最高出力ではチャレンジャーを上回るが、最大トルクはチャレンジャーの方が高い。
電子制御面では、ABS、トラクションコントロール、出力特性やサスペンションセッティングが切り替わるライディングモードを備えるゴールドウイングだが、IMUは搭載しておらずバンク角応答式の制御はされていない。

ただし、クラッチ操作不要の電子制御マニュアル・7速DCTを搭載する点、フロントに路面追従性・安定性に優れたダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用する点など、ゴールドウイングは「スポーティな走り」を重視した構成が見て取れる。

快適装備面はどうだろう。ゴールドウイングツアーも大型のカウルを備えスクリーンは高さ調整が可能、グリップヒーターとシートヒーターも付いている。
また大型液晶メーターを備え、コチラはApple CarPlayだけでなくAndroid Autoにも対応。もちおんオーディオも標準装備されている。

リヤトランクとサドルバッグを装備するのは2車共通だが、ゴールドウイング ツアーはトランク61L容量、サイドケース片側21L容量×2で合計103L。収納容量ではパースートに軍配が上がる。

このクラスともなると「少しでも安いほうを選ぶ」というユーザーは多くはないと思うので、鼓動感を味わえるV型2気筒エンジンか、滑らかかつシャープに回る水平対向6気筒エンジンか。4輪のアメ車にも通じるマッシブなデザインか、スポーティなデザインか。
最終判断は完全に趣味の世界となってくるだろう。

販売店で試乗をするなどして見極めてみてほしいが、2車とも400kg級の重量車なので、取り回しにだけはご注意を。

まとめ●上野茂岐 写真●インディアンモーターサイクル/ホンダ

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