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絶版バイク同様、値上がり続ける80〜90年代国産スポーツカー「R32スカイラインGT-R価格暴騰の理由」

80〜90年代車は中古価格が暴騰「バイクだけでなく国産スポーツカーも」

とにかくバイクが好きだった若き日の熱い思いを取り戻すべく、「アラフィフ」以降の年代でバイクライフを再開させるリターンライダーが増えています。
ただ、時を越えてバイクに復活したいと思うライダーが驚愕する事例がありますよね。

そう、青春時代に乗っていた定番バイクや当時憧れた人気バイクの中古車価格が想像を越えたレベルで高騰していること。

「え?ホンダCBX400Fって、300万円するの!!」
「スズキGSX1100Sカタナが200万円以上!?」
……と、おいそれとは手が出せない状態になっています。

中古車価格爆上がり80年代車の筆頭株、1981年に発売されたホンダCBX400F。300万円は当たり前、コンディションの良い個体だと400万、500万の値がつくケースも。
1981年に海外専用車として発売されたスズキ GSX1100Sカタナ。逆輸入車として流通したほか、1994年から日本仕様も登場したが……100万円台後半〜200万円台が当たり前となっている。

ある意味、リターンライダーの増加が「旧車バブル」に火を灯し続けているともいえますが、バイクだけでなく80〜90年代に発売された国産スポーツカーも同じように中古車価格が高騰しているのをご存知でしょうか。

1989年にデビューした日産 R32型スカイラインGT-Rなどを筆頭に、一斉を風靡した国産スポーツカーが軒並み価格暴騰しているのですが、バイクとは少し事情が違っています。
主に国内での人気から価格が上がったバイクに対し、国産スポーツカーの価格が高騰した大きな理由は海外の影響……具体的には、アメリカの安全規制解除が大きな要因となっていました。

1989年に登場した日産 スカイラインGT-R(BNR32)。2.6リッター直6ツインターボエンジンは自主規制(当時)上限の280馬力を発揮。400〜500万円は当たり前で、状態によっては1000万オーバーとなるものも。

価格高騰に大きな影響を与える25年ルールとは

「25年ルール」とも呼ばれるアメリカの規制とは、1960年代にスタートした「米連邦自動車安全基準」(FMVSS)。
アメリカで販売するクルマはこの基準の沿った安全基準を満たす車種しか販売することができません。この規制では安全基準が細かく記されていますが、そのひとつとして右ハンドルのクルマはアメリカ(右側通行=左ハンドル)で販売することができないのです。

高い安全をクルマに備えることを求める規制ではありますが、自国の自動車メーカーを保護する目的も大きい条例ともいえるでしょう。
ただ、この規制の効力は発売から25年までのクルマが対象──逆に言えば25年以上経過したクルマであれば規制対象外となり、右ハンドルの中古車でさえ輸入可能となるのです。

一部メディアでは「自動車大国アメリカのクラシックカー優遇制度」としてこの規制を紹介していますが、この条例ができた当時は25年以上経ったクルマはビンテージ品としてではなく、クルマとしての価値がなくなり「鉄くず」など資源として車両を扱うとの意味合いが大きかったと思います。

そんな25年ルールの規制外となったR32型スカイラインGT-Rは、映画『ワイルド・スピード』によりアメリカに巻き起こった「JDMブーム」の影響も受けて、日本国内の中古車が一気にアメリカに渡っていきました。

ちなみにJDMとは「JAPAN DOMESTIC MARKET」、いわゆる日本専売車や日本仕様のクルマを指すワードで、右ハンドル、ウインカーのカラー(オレンジ色)、リバースギヤに入れたときの警告音など日本独自の仕様を意味します。
一部マニアにとっては、漢字が記載されたナンバープレートでさえたまらない日本独自のカーカルチャーとして認識されています。

日産 スカイラインGT-R(BCNR33)。1995年登場なので、アメリカの「25年ルール」の対象に入ってきた。

アメリカのマニアがあえて日本から右ハンドル仕様を輸入

この規制解除により、発売当時にはアメリカ市場で販売されていなかったR32型&R33型スカイラインGT-Rはもちろん、現地で販売されていたトヨタ スープラ(A80型)、ホンダのシビックやインテグラ、マツダ RX-7など、右ハンドル仕様を「25年ルール縛り」が外れるのを待ち「わざわざ」日本から取り寄せ楽しむユーザーが多くなったのです。
市場から販売するためのタマが少なくなれば、当然価格は上昇していきます。

また初代のホンダ NSXも国内外で人気を集める一台ですが「北米市場で販売された車両ではなく、保存状態やちゃんと整備された状態が良い日本の車両を手に入れたい」と香港など海外から引く手あまたで、1990年のデビュー当時に販売された車両でさえ約800万円の値がつくほど、価格が下る気配を見せません。

ロータリーエンジンを搭載するマツダのスポーツカーRX-7。1985年登場のFC3Sはとっくに「25年ルール」対象、1991年登場のFD3Sも「25年ルール」対象となっている。
ホンダ インテグラにホットバージョン「タイプR」が登場したのは1995年から。写真の初代「インテグラ タイプR」は1.8L4気筒NAエンジンで最高出力200馬力=リッター100馬力超えの高性能を発揮した。
オールアルミボディにV6エンジンをミッドシップマウントし、スポーツカーと言うより「スーパーカー」と言える存在のホンダ NSX。写真の初代は1990年登場。

そうした世相もあってか、日産のレース&チューニング部門であるニスモがR32型スカイラインGT-Rのパーツを復刻したり、マツダも初代ロードスターや2代目&3代目RX-7の復刻パーツを販売するほか初代ロードスターのレストアサービスも展開。ホンダもビートの純正部品の再販を開始しています。
いずれにせよ、価格高騰により旧車への注目がより高くなったことがこれらの流れに良い影響を与えているかもしれません。

ただ、約170部品の復刻販売が行われるようになった初代ロードスターでさえ、まだまだ入手できないパーツはあるようです。
神奈川県内のロードスター専門店に話を聞いたところ、とくに入手できないのがAT用のパーツ。壊れた場合は修理できないためユーザーにトランスミッションをATからMTへ載せ替えを提案するのだとか──。

写真のNA型こと初代マツダ ロードスターは1989年登場。初代から北米市場にも輸出が行われていたが、当然左ハンドルとなり「MIATA」(ミアータ)の車名で販売された。

購入するのが難しいだけでなく、所有するのも一筋縄ではいかない80〜90年代の国産スポーツカー。
大人になって時間やお金があっても、若き日同様、憧れのクルマを手に入れるのが難しい状態になっているのは、なんだか切ない気もしますが……。

レポート●手束 毅 写真●日産/ホンダ/マツダ/八重洲出版 編集●上野茂岐
*中古車価格の数値は記事作成時の2021年2月〜3月のものです。

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