雑ネタ

バイクメーカー・アプリリアの社名はランチアの名車「アプリリア」が由来だった……らしい。

MotoGPやスーパーバイク世界選手権など様々なレースで活躍し、日本でも知名度が高いイタリアに本拠地を置くaprilia(アプリリア)。

1100ccV4エンジン搭載のスーパースポーツ「RSV4 ファクトリー」やミドルスーパースポーツ「RS660」のほか、オフロードバイク「RX125」、スクーター「SR GT」などをライアップする総合バイクメーカーです。

現在はピアッジオグループの傘下となっているアプリリアですが、その社名は「ランチア・アプリリア」というクルマに由来しているという意外なエピソードがあります。

アプリリア RSV4 ファクトリー。エンジンは1099ccの水冷4ストロークV型4気筒DOHC4バルブ。
アプリリア RS660。エンジンは659ccの水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ。
アプリリア RX125。エンジンは124ccの水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ。
SRGT200 SRGT125 アプリリア
2022年に登場した最新アプリリア車、SR GT200。エンジンは174ccの水冷4ストローク単気筒OHC4バルブ。

1945年に創業したアプリリアの歴史

まず、アプリリアの歴史から振り返っていきましょう。
アプリリアはバリエ・アルベルト・バッジオ氏により、第二次世界大戦直後の1945年に創業されましたが、当時製造していたのはバイクではなく自転車でした。バイクの製造を担うようになったのは創業者の息子であるイバノ・バッジオ氏が2代目となった1968年からとなります。

1970年代に入るとモトクロス用の50ccバイクの製造をはじめ、すぐに125ccへと拡大。さらに1975年にはモトクロスレースに参戦しました。
今ではロードレースでの活躍が有名なアプリリアですが、レース界へのデビューはロードレースからではなく、モトクロスレースだったのです。

そんなアプリリアが当時、日本勢がひしめいていたロードレース世界選手権の250ccクラスに参戦したのが1985年。アルミ合金製デュアル ビーム フレームにマルゾッキ製フォーク&リヤモノショックなどを備えたアプリリア最初のマシン「ETX125」「ETX350」が、3月の南アフリカのキャラミ・サーキットのデビュー戦で、イタリア出身のロリス・レジアーニが12位でフィニッシュ。
デビューから2年後の1987年8月には、レーシングマシン「RS250」で初のロードレース世界選手権250ccクラスの優勝を果たしています。

1994年シーズンにはアプリリアに所属していた坂田和人選手が「RS125」でロードレース世界選手権125ccクラスのチャンピオンを獲得したほか、1997年〜2001年にはロードレース世界選手権で原田哲也選手が活躍(250ccクラス、500ccクラス)。また、2008年〜2009年には現在MotoGPライダーの中上貴晶選手も125ccクラスで戦っていました。

また、2000年からスーパーバイクにも参戦。2010年はマックス・ビアッジ選手が駆るRSV4でスーパーバイク世界選手権を制し、初のイタリア人ライダーによるチャンピオン、初のメーカータイトル獲得となり大いに話題となりました。

社名の由来は「ランチア・アプリリア」から!?

イタリア・トリノに本拠地を置くランチア社が1937年から1949年まで生産していた「アプリリア」。エンジンはV型4気筒で当初は1400cc、モデル中期から1500ccとなった。

さて、なぜアプリリアという社名になったのかというと、それは創業者であるバリエ・アルベルト・バッジオ氏がイタリアの自動車メーカー・ランチアが作った「アプリリア」というクルマに憧れていたから、と言われています。

1937年〜1949年まで生産されたランチア アプリリアは「小さな高級車」と呼ばれた4ドアセダンで、車内もゴージャスな雰囲気に仕立てられており、リヤウインドウにはサンシェードまで備えられていました。

そんなアプリリアは当時のイタリア人にとって憧れの的となった大人気のクルマで、それにあやかってアプリリアという社名の電機メーカーもあったほどです。創業者であるバリエ・アルベルト・バッジオ氏も例外ではなかったのです。

ランチア・アプリリア

創業者のバリエ・アルベルト・バッジオ氏が憧れて社名にしてしまうほど、彼の目から見える「ランチア・アプリリア」はうっとりさせる魅力があったわけですが、社名をアプリリアとしたことについてはランチア社から特に許諾は取っていなかったとか……。
それにしてもアプリリアのように「創業者が憧れたクルマをそのまま社名とした」というメーカーは、後にも先にもアプリリアだけなのではないでしょうか。

レポート●手束 毅 編集●モーサイ編集部・小泉元暉

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