バイクライフ

【元白バイ隊員がこっそり教える】覆面パトカーの見分け方と車両運用現場のリアル

■タイトルイラストはイメージ。実際の取締りとは関係ありません。

覆面パトカーを見分けるための重要な3ポイント

元白バイ隊員の筆者は通常の勤務では白バイでの警らが主な業務ですが、交通機動隊の隊員としては四輪に乗務することもままありました。ここでは、速度取締りなどでお世話になりたくない「覆面パトカー」のことについて、ご紹介しましょう。

覆面パトカーと言えば、通常の乗用車を装いつつ、危険な速度で走行するドライバーを取り締まることなどが重要な任務です。覆面と通称されるように、正体を隠しているわけですが、このクルマの正式名称は「交通取締用四輪車(反転警光灯)」と呼ばれます。これを見分ける主なポイントを3点ほど紹介しましょう。

まず一つ目がクルマの屋根の部分ですが、ここは外から見てすぐわかるポイントの一つです。赤色灯を作動する際にパカッと開閉する装置が内蔵されており、屋根に正方形状の切欠きが開いています。一般的には「反転式格納赤色灯」正式名称では先に登場したように「反転警光灯」とも言われますが、サイズとしては30×30cmぐらいのものです。取締りで一般車を停める際などに赤色灯を出しますから、覆面パトカーとしては重要な機能です。

覆面パトカーに装備される「反転警光灯」

ちなみに、このパカっと屋根が開いて赤色灯が点く機能は、交通機動隊の覆面パトカーの標準装備です。一方捜査用の刑事車両なども一般車の外見ですが、この装置は付いていません。屋根に赤色灯をマグネットで載せるタイプ(位置決めのポッチなどがあります)です。刑事ドラマとかでは、現場へ急行する途中によく走りながら屋根に載せるようなシーンがありますが、ああいうことは危ないのでやりません。待機状態のときとか、信号待ちなどのタイミングで助手席側の警察官が装着します。もし、走りながらやっている人がいたら、ちょっと刑事ドラマの見すぎです(笑)。

ルーフ形状以外の覆面パトカーの特徴

少し脱線しましたが、覆面パトカーの見分け方の話に戻ります。ルーフの形状のほかは、フロントグリルの中に入っている赤色灯です。これは屋根の特徴よりはわかりにくいかもしれませんが、よく見るとフロントグリルの中に、二つ赤色灯が入っています。最近はLED仕様も多いので、赤色ではないかもしれないですが、LED仕様の場合は通常はクリアな色で光ると赤くなるタイプです。これの一般的な名称は「前面警光灯」(もしくは最近のものは「グリル内LED警光灯」とも言われます。

「前面警光灯」を装備するのも、覆面パトカーの特徴

そして3点目の車両の特徴としては、室内にあるダブルのルームミラーでしょうか。運転手と助手席の両方から後方を確認できるような構造のミラーです。そのほかだと、リアガラスがスモークというのも一つの特徴ですが、最近は後部がスモークの一般車も多いので、見分けポイントにしづらいかもしれません。

外観がピカピカにきれいな点も覆面パトカーの特徴

細かいところで言えば、やたらと車の外観が綺麗な点も特徴です。覆面パトカーは基本的には三交代のルーティンで回しており、勤務が終わったら次の係に引き継がれ、休憩時間以外は止まっている時間はありません。そして、特別な理由がない限り、車両使用後はほぼ毎日洗車をします。中身はボロボロだとしても外観は相当綺麗にしています。新車でもないのにピカピカで異様な雰囲気というか、そういうのを醸し出している乗用車だったら、要注意です。

洗車については、記憶に残るエピソードがあります。仕上がりを厳しくチェックされる場合もあり、「水滴が残ってるから戻ってこい」と上司に怒られて、洗車をし直した経験もあります。また車内のマットなど、砂利や泥が付いていないように掃除します。ただし、係によっては雑な場合があったり、すごい厳しいところがあったりまちまちで「お前のところいつも汚いぞ」と、引き継ぎの時にバチバチになったりすることもあります。また、これはどの会社の社有車でもあるかもしれませんが、誰かがクルマをこすったのに申告せず、犯人探しが始まったりもします。

さらに余談です。警察車両は禁煙です。しかし、昔は覆面パトカーなどの車で煙草を吸っていたなんて噂もあります。車両清掃時、本来は何も入ってないはずの灰皿に吸い殻があったこともあります。しかし、ここ数年で世の中の状況と同様に厳しくなっています。最近はそもそも喫煙者が少なくなったので、吸わない人からしたらタバコの匂いは気分がよくないでしょうから、これも発覚したらチクリが入ったりしました。それに最近は、一般の方にスマホで取られて投稿されたりもするでしょうから、喫煙派には厳しい状況は今後も続くでしょう。

覆面パトカーで使われる王道の車両はクラウン

ちなみに、交通機動隊が取締りに使う車両は、イメージ的にクラウンが多いと感じている方は多いと思いますが、実際にも比率は高いと感じます。交機用の取締り用車両には一定の基準があります。

警察庁が定める「交通取締用四輪車 仕様書」における覆面パトカー(反転式警光灯装備車)の主な入札・調達条件は、以下のようになっています。

【車体・性能の主な仕様条件】

  • 形状と定員:4ドアセダン型、乗車定員5名
  • エンジンと駆動:排気量3.0L級以上(2.0L級以上の場合は最高出力150kW/204ps以上)、駆動方式はFR(後輪駆動)
  • 室内・荷室:前席座面から天井まで900mm以上、トランク容量430L以上
  • 内装・外装:シート表皮は耐水性・耐久性の高い素材(承認されたビニールレザー等)、後部座席側ウインドウ等に透過率の低いダーク(プライバシー)ガラス・フィルムを装備

【警光灯・取締り用特有の装備条件】

  • 警光灯:ルーフ部に格納式(反転式)の赤色天井警光灯を装備
  • 電装品:サイレンアンプ、ストップメーター(速度測定装置)などの取り締まり用特殊機材の搭載に対応した構造・配線補強 

セダン型でFR駆動という仕様が出てきますが、地域によっては、駆動は4WDもあります。そしてトランクの容量も、そこそこ大きなものが求められます。交機以外の警ら用の四輪では、日産のマーチやマツダのデミオなど小型のものもあり、これらは通称「ミニパト」と呼ばれますが、交機で使用するものはクラウンに代表されるような、通称「デカパト」が配備されます。

交機用の車両に上記の規定があるのは、違反者を追尾するにしても、ある程度のパワーがないといけないからですが、トランクの容量が規定されているのは色んなものを積んでいるからです。

事故などでの交通整理で必要な矢印板とか、三角コーン、発光する装置などを一定数決められた数を積載しなければいけないし、発煙筒などもけっこうな数を積んでいます。あとは暴れる犯人を捕獲するサスマタ、盾なども積んでいます。そういうのを含めていくと結構な重さになり、それを積んだ上でちゃんと緊急走行できるような性能が必要ということになります。そのほか、寒冷地の場合はスリップ事故などの対処で、砂利の袋をいくつか積んでいたりもします。

そういうわけで、上記の条件を満たすものとして歴代のクラウンは重宝されていました。そのほか、約20万kmは大きなトラブルがなく使用できる性能といった耐久面での条件もあったと記憶しています。その点でもトヨタ車は耐久性が高く、距離を走ってもトラブルが少ない印象でした。クラウンを含め、歴代経験した覆面パトカーなどのお話は、また別の機会で紹介してみたいと思いますが、さて、新型でガラッとスタイルが変わってしまったクラウンは、今後の交機で配備されるのか、興味深いところです。

イメージイラスト。実際の覆面パトカーとは異なっている場合があります

現在は制服・ヘルメット着用が厳格化。そのため覆面は見破られやすい!?

覆面パトカーの見分け方の話に少し戻ります。取り締まり時は、青い制服とヘルメットを基本的に被ることになっています。一般道でも高速でもこれが基本ですが、筆者が乗務していた頃は、上は黒いジャンパーで帽子という風体も普通でした。しかし最近は、追跡中に事故を起こしたりする危険性も鑑み、ヘルメットを被る、乗務服をきちんと着るというのが年々厳しくなっていったのです。

イメージイラスト。実際の取締りとは関係ありません

そのため、最近は乗っている人のヘルメットのシルエットだったり、あとは青い服装というので、覆面パトカーは分かりやすいかもしれないです。ただし、この辺の運用も自分が在籍していた当時もまちまちでした。きっちりと制服ヘルメットを着用しろという上司がいたり、取締り重視でバレないようにという考えの上司の下にいる場合は、着用の規定が緩い場合もありました。つまり、その時の上司によって怒られる中身が正反対ということもあるわけですが、そこはその時々の指示に従って過ごしていました。

これも余談です。取締り中は基本的に2名乗務ですが、運転する役、助手席に座る隊員の関係も隊によってさまざまでした。隊によっては上司が運転役、部下が運転役と正反対のこともあります。速度の計器のスイッチを押すのは助手席側です。運転手はその速度を合わせる役。追尾測定の場合は速度を合わせるのに徹して、助手席は速度を読み上げる役目です。

【まとめ】

交通機動隊の覆面パトカーについて、時に脱線しながら紹介してきましたが、以下のようなことが言えます。
●クルマのルーフに、赤色灯が出てくる正方形状の切り欠きがある。
●フロントグリルの両側に警光灯が内蔵されている。
●室内のバックミラーがダブルになっている。
●車両がけっこうピカピカに洗車されている。
●クラウンに代表されるような、トランクがそこそこ大きいセダンタイプの車両が多い。
●最近は青い制服、ヘルメット着用が通常装備となり見分けやすくなったかもしれない。

そして付け加えるなら、制限速度付近の微妙なスピードで走っている、そこそこパワーのありそうなセダンというのも覆面の特徴かもしれません。ともあれ、高速道路で追い越し車線を漫然と走る前に、今回紹介したような覆面パトカーの特徴を思い出しつつ、安全運転を心がけてください。

文●睦良田俊彦

著者プロフィール

睦良田 俊彦(むらた・としひこ)
1986年北海道生まれ 趣味:クルマ、バイク

歯科技工士を経て警察官となり、約15年間勤務(白バイ隊員歴約10年)。警察学校卒業後は約3年半の交番勤務を経て交通部門へ。白バイ警察官として第一線で交通取締りをメインに活動し、ライダーのための安全講習、交通安全啓発イベント、マラソン大会先導、大統領車列先導など、様々な経験を重ねてきた。県警主催白バイ大会での優勝経験もあり、白バイ新隊員の育成などにも携わった後、巡査部長の階級で依願退職。現在は退職後の夢でもあったライディングレッスンなど、ライダーのためになる活動が出来る場を作るべくYouTuberとして、バイクの面白ネタ等を発信する「臨時駐車場チャンネル」ほか、新たにバイクライディング技術等に特化した「元白バイおやじチャンネル」も開設して活動中。バイクイベント等に積極的に参加し、出身の北海道で開催のライディングレッスンで講師も務めている。

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