バイクライフ

「ダートラ風ミドルアップマフラーのワンオフ構想&製作」(後編) ・潮風に当たったエイプをメンテ&カスタム!━━13 【プロカメラマンの作業記録】

■特別なミドルアップマフラーの付いたエイプ号、こんな感じになりました。個人的にはかなり満足です。

「餅は餅屋」狩野社長さんの職人技を、ミドルアップマフラーにフル投入!

またまた、こんにちは。カメラマンの小見です。前回に続き、エイプ号のマフラー取り回しをあれこれ構想した結果、いつもの駆け込み寺である堀切の狩野溶接さんに車体ごと持ち込むことにしました。

自分で考えた取り回しのラインでどうにかフレームをかわし、ライディング中だけでなく足着きの際にも内モモに干渉しない形状にまとめるのが可能なのか? どうやってベンダーもなしにラインを繋げたら良いのか。

懇意にしていただいているタクティカル系ガチ勢のお仲間の発言と狩野社長のコメントが、今回の作業では私の頭の中でシーソーのように揺れ動きました。

「あいつに出来るんなら俺に出来ないわけはない」
「やっぱ、餅は餅屋だよねぇ」(※いずれも筆者の心の声)

結果から言うと、このマフラーに関しては、まったくもって後者でした。狩野社長の全面協力により、溶接はもちろんのこと、仕上げの削りの妙技で、どこを溶接で繋ぎ、どこで曲げ角の修正をしたのか分からぬほど、素晴らしい出来栄えになったのです。まさしく“餅は餅屋”でした。

ともあれマフラーの加工、溶接作業のおおよその手順は画像をご覧ください。

まずはマフラーを通すラインの検討

エキパイの大加工をお願いした狩野溶接の狩野敏也社長。「面倒なの持ってきたなー」という心の声が顔に出てます。
今回犠牲となったヘルメットホルダー。これをマフラーステー取り付けのため排除することに。
フレームの裏側から、ヘルメットホルダーのカシメをベルトサンダーで削り落とします。
その部分に、マフラーのバンドを留める長めのカラーを当てがってみている図。
サイレンサーの後端位置は、タイヤ後端の垂線との位置関係などを二人で色々検討。
どのくらいサイレンサーをフレームに寄せてセットするかも、検討を重ねます。

いざ、マフラー切断、溶接、曲げ加工

エキパイのライン構想が固まり、元もセンターアップマフラーのエキパイカットを開始。
ここらの曲率が近そうなので、接続もこのあたりをベースに決定。
切り取った部分にサンダーでスリットを入れて工作を開始。
軽く点付けを行い、他の箇所との接続に備えます。
「微妙に内向き過ぎるかなあ?」と、上から見つめる狩野社長。
スリット(切り込み)を数カ所入れて、曲げと盛りのために下準備。
シリンダー横側の位置にも切り込みを入れて、エキパイのラインの微調整に備えます。
切り込み部分を曲げたり広げたり……狩野社長が職人の勘で微調整します。
微調整を繰り返していくと、ラインが繋がってきました!
望んでいたエキパイのラインになったことで、心中狂喜乱舞しながら横から眺める筆者。
切り込み箇所の修復で、TIG溶接を開始する狩野社長。
溶接棒を使用して、しっかり切り込みに肉盛りをしているところ。 

曲げ、切込み加工の後は、なだらかに仕上げ処理

肉盛りの後は、溶接の余分なところをなだらかに削っていきます。
微妙なスはさらに点付けで強化し、出っ張りをどんどん整えていく社長。
少し目を離したスキに、この通り。切れ目はどこにあったっけ??
エンジンに近い箇所は、エンジンから外して切れ目を塞ぐ溶接を続行。
ここらで、不要な部位をサンダーで切り落とします。
前編で、エンジンに干渉しそうと思われたステーもカット。
車体に付いているうちに、仮留め箇所も少し強化気味に溶接。
エキパイ中間部もフレームにしっかり留めて固定したいので、左サイドカバー取り付け部を活用しちゃおう。
当該箇所にだけ、ステーを取り付けるための調整をしてステー材を溶接しました。
本来はゴムのグロメットの入る長穴なので、エキパイ実固定の際には大きめなワッシャーも使用。
「サイレンサー二つあった方がスーパーXRっぽくて良いんじゃね?」と、ついに遊び始めた狩野社長。
「出来たじゃ~ん!」と、実は長期戦だったエキパイ加工後に余裕の狩野社長。凄腕だ…

ミドルアップマフラー完成! 後はエンジンサウンドも調教したい

そして、この一連の作業の数日後には、私自身がヒートガードをアルミ材を曲げて板金製作を試みましたが、厚みが足りなかった事と無理な反転曲げを入れた部分に亀裂が入ってしまいました。

その部分の修正も、狩野社長に天付け溶接や叩きのフォローをいただいて完成。逆曲げの入る3次元板金は私にはいささか難易度が高すぎたようで、都合の良い思いつきと実作業の乖離ぶりを痛感した次第。

ミドルアップマフラー完成後、やっぱりヒートガード欲しいと自分の車庫でアルミ材を片手に野望に燃えたものの……
ヒドい有様です。「小見板金」の低レベルぶりは他の追随を許しません(自慢になってない)。
全体の曲げ+エッジ周辺の曲げの”複合曲げ”は難しいですね。ここまでは自分で頑張りました。
じんわり曲げたつもりなのに、アルミ材が耐え切れず亀裂が生じました。かなりガックリ。

修正の際にやり方の案をご教授いただくと、やはり切れ目を入れてTIGで盛って繋ぐという技法と、削り過ぎずにラインを繋ぐスキルを上げるのが正しかった模様。自分の車庫は100Vとアークしかないのですが、200V電源とTIGがあったら良いのになあと心底思いました。

ここからが狩野さんの手によるヒートガード補修。エッジ部分の曲げをより細かく叩いて修正。
狩野さんの磨きにより、別物になったようです。
「だいぶ良くなりました!」あとは取り付けの座をどうするか、です。
先述の割れた箇所周辺を肉盛りして、補強しておくようです。
叩き作業には、こうした木片も活用する模様。
細かい切削の後には、研磨が入ります。
エキパイ側にヒートガード取り付けのためナットを溶接。
エキパイのやや後方寄りの足元に、これでヒートガードを装着出来ました~!

なお余談ですが、実はローライダーでも本心ではやりたい補修があり、溶接肉盛りで劣化部を復元したい鉄部材(見えない箇所だけど)があったんですよね~。

ともあれ、これら一連の作業により、ほぼ構想通りのミドルアップマフラーが完成しました。土埃等がキャブに直接入らないようにしるために、吸気系にはエアクリーナーやデイトナ製ダクトも取り付けてメインハーネスを這わせ、電装部品の取り付けもしなくてはなりませんね。

ライポジを見るため、このマフラーを装着して跨ってみると、足への干渉はほぼなくて、左オーバルを想定して足を出しても全く干渉しないのでバッチリです。ただ、シートの幅が想定値より少々タイトだし、クッションも厚みをもう少し欲しい気がします。

シートの厚みやクッションの幅&厚みを変更すべきかもしれないし、コンペ仕様限定ではなくストリートでの快適性ももう少し向上させたい感じです。

ところで、このマフラー。まだエンジンを始動させていないんですが、果たしてどんな音になったんだろう? とワクワクしています。排気音が大き過ぎたらdb値を下げるための追加加工もしたいと考えていますが、排気の出口を絞るか内壁を追加するか、どちらかになりそうです。音に丸みは欲しいし、市街地を走るのに割れたような汚い音にはしたくないのです。

エンジンのオイルは程よい製品が入手してあるので、電装&補機類の装着と同時に細かい詰め作業になるでしょう。初期の錆サビ状態から、随分と手間がかかってしまいましたが、全体としてそれなりの実用レベルにもなると良いなと思います。                                      (つづく)

【取材全面協力】(有)狩野溶接工業 
https://kano-w.com/

文と写真●小見哲彦

著者プロフィール

小見哲彦(こみ・てつひこ)

無類のバイク好きカメラマン。
大手通信社や新聞社の報道ライダーを経験してバイク漬けになった後、写真総合会社にて修行、一流ファッションカメラマン、商品撮影エキスパートのアシスタントを経て独立。神奈川二科展、コダック・スタジオフォトコンテスト等に入選。大手企業の商品広告撮影をしつつも、国内/国外問わず大好きなバイクを撮るように。『モーターサイクリスト』誌ほか多数のバイク雑誌にて撮影。2021年からは、防衛関係の公的機関から、年間写真コンテストの審査員と広報担当人員への写真教育指導を依頼されている。

  1. 新しい時代へ進化するHondaのカブシリーズ ~ライフスタイル別おすすめモデル

  2. Hondaが『EVスクーター』の普及に本気を出してきた!? 新型EVスクーター『CUV e: 』登場!原付二種クラスで驚愕のコストパフォーマンス

  3. スポーツバイク好きの女子大生ライダーが語るGB350とGB350 Sの魅力。このバイクでツーリングに行ってみたい!

  4. FIND CBでわかった、CB400 SUPER FOUR E-ClutchとCB1000Fの「跨らないとわからない魅力」はココ!

  5. 新型『CBR400R FOUR E-Clutch』の走りは高回転域で『CB400 SUPER FOUR E-Clutch』を上回る!? 馬力だけじゃなく足つき性も魅力のひとつ!

  6. 完全に「旧CB400SF」を超えた!? 新型400ccネイキッド『CB400 SUPER FOUR E-Clutch』の価格と発売日が決定!

  7. 【スーパーカブ×ハローキティ】“かわいい”が詰め込まれたコラボ仕様車!気になる方は「Honda 二輪車正規取扱店」へ!

  8. 『GB350』シリーズはどれが人気?『GB350 S』『GB350 C』 とスタンダードモデルを比較

  9. ホンダ『Cub HOUSE』原付二種ライフを充実させるための新拠点、ただの販売店じゃありません!

  10. 新型『CB1000F』を普通のツーリングライダーが「予備知識ゼロ」で試乗

  11. 【新型】大人にもおすすめの400ccバイク『CBR400R』がHonda E-Clutchを新搭載!? 足つき性の良さも人気の理由ひとつです!

  12. 初心者ママライダーの感じたRebel 250 E-Clutchの魅力。「私の心を落ち着かせてくれる存在です」

  13. のんびりツーリング最強の大型バイク『CL500』がアップグレード!新色にも注目です!

  14. 【わかる?】車検のある400ccクラスで発売からもう4年……だけど2024年まで『ベストセラー』を誇ったHondaのバイクってどれだと思う?

  15. 50歳からライダーデビュー。エネルギッシュな女性ライダーが考える悔いのない人生

  16. ツーリング好きの私が年甲斐もなく『峠の走り』に夢中になってしまったバイクの話【Hondaの道は1日にしてならず/GB350 S インプレ・レビュー 前編】

  17. 10年、20年後も色褪せない「控えめに言って最高」GB350 Cを全力で絶賛する理由