ヒストリー

ライバル超越の独自路線&技術 独創的な革新エンジン5選【エンジンで振り返る日本車の歴史その4】

1974年~ ホンダGL1000~GL1800シリーズ

1969年型CB750フォアが契機になって、世界のビッグバイク市場をリードする立場になったホンダ。そんな同社が1974年から発売を開始したのが、唯一無二にして革新的な水平対向4気筒エンジンを搭載するGL1000だ。

GL1000
1974年登場のホンダ GL1000(999cc、水冷4ストOHC水平対向4気筒)。世間では途中からツアラー路線に変更……と言われているけれど、ゴールドウイングは当初からバイク界の王様、グランドツアラーとして開発された。スポーツ性重視のCB750フォアやZ1とは狙いが異なるモデルだったのである。

もっとも歴史を振り返れば、1930年代にイギリスのブラフシューペリアが上下にピストンを並べた2軸クランクの水平対向4気筒を開発しているのだが、この車両はわずか数台しか生産されなかった。

GL1000 エンジン
水平対向4気筒というレイアウトに目を奪われがちだが、GL1000はホンダ二輪車では初のリッターモデル(正確な排気量は999cc)にして、初の水冷車。コグドベルトのカム駆動も初の試みだった。

それはさておき、過去に前例がないシルキーでジェントルなグランドツアラーとして大人気を獲得したGLは、1980年型で1100cc、1984年型で1200ccに排気量を拡大し、1988年型以降は1500cc/1800cc水平対向6気筒を搭載。

ゴールドウイング
現行型ホンダ・ゴールドウイング(1833cc、水冷4ストOHC水平対向6気筒)。写真は2020年型。 2018年から発売が始まった現行ゴールドウイングは、動弁系にオフロード車で実績を積んだユニカムを採用。ミッションは6速MTと7速DCTの2種類を設定。

そんなGLシリーズへの対抗馬として、BMWは2010年から並列6気筒のK1600シリーズを販売しているものの……。
両社の得意とするエンジン形式を考えてみると、ホンダが水平対向で、BMWが並列というのは、何だか不思議な話である。

K1600
BMW K1600(1648cc、水冷4ストDOHC並列6気筒)。写真は2017年型。1923年にR32を発売して以来、長きに渡って水平対向エンジン車の生産を続けているBMW。しかしフラット4やフラット6には、なぜか触手を伸ばさなかった。

1979年~ カワサキZ1300

1970年代末に登場したカワサキZ1300とホンダCBX(1000)は、並列6気筒エンジンを搭載するライバル、という図式で語られることが少なくない。

Z1300
1979年登場のカワサキ Z1300(1286cc、水冷4ストDOHC並列6気筒)。既存のZ1~Z1000系とはまったく異なる思想で開発された、カワサキ初のグランドツアラー。後輪駆動はシャフトで、乾燥重量は297kg。

とはいえ、カワサキ初の水冷機構とシャフトドライブを導入したZ1300が、ホンダで言うならGL1000に相当するグランドツアラーだったのに対して、CB750F/CB900Fと同様の空冷DOHC4バルブを採用したCBXは、「打倒Z1」をテーマに掲げたスーパースポーツだったのである。

CBX
1978年登場のホンダ CBX(1047cc、空冷4ストDOHC並列6気筒)。CBXが搭載するDOHC4バルブ並列6気筒は、同時期に開発されたCB750F/CB900Fとの共通点が非常に多い。ただしフレームは専用設計のダイヤモンドタイプで、乾燥重量は247kg。

つまり2台の並列6気筒車は、まったく異なる狙いで製作されたのだが、あえて勝敗をつけるとすれば、生産期間がCBXの倍以上となる11年に及んだ、Z1300が勝者だろう。

ロングストローク指向(62×71mm)の水冷並列6気筒エンジンは、当時としては驚異的な120psを発揮。キャブレターは2バレル×3連式のミクニBSW32。

ただし現在の中古車市場では、車重がZ1300より50kg軽く、生産台数の少なさが希少価値に結びつき、1960年代のRC166/174を彷彿とさせるCBXのほうが、高い人気を維持しているようだ。

1985年~ ヤマハV-MAX

スタイルだけでも十分すぎるインパクトがあるけれど、1985年に登場した初代V-MAXの魅力を語るうえで欠かせないのは、当時の量産車でブッチギリのトップ、145psを発揮する水冷70度V型4気筒だろう。

VMAX
1985年登場のヤマハ V-MAX(1198cc、水冷4ストDOHC V型4気筒)。独創的なスタイルは、アメリカで人気のドラッグレーサーをイメージ。V4エンジンの力強さを強調するため、ガソリンタンクはシート下に設置。

開発ベースのベンチャーロイヤルに対して、48psもの出力向上が実現できた背景には、エンジン主要部品の全面的な見直しがあったのだが、扱いやすさとパワフルさを両立する手法として、ヤマハは革新的な「Vブースト」を考案。

VMAX エンジン
130ps前後が平均だった80年代中盤のビッグバイク界において、145psの最高出力は完全に突出していた。なお1993年から発売が始まった97psの日本仕様は「Vブースト」がキャンセルされた。

インテークマニホールド内のバタフライバルブを回転数に応じて開閉することで、中高回転域で1気筒2キャブレター的な効果が得られるこの機構は、初代V-MAX用の専用装備だった。

Vブースト
過給をイメージしがちだが、Vブーストは1つのシリンダーに対して、2つのキャブレターから混合気を供給する機構。吸気マニホールドのバイパスパイプに設置されたバタフライバルブが6000rpm過ぎから開き始め、8500rpmで全開になる。

ただし、当時のヤマハは吸気系の改革に熱心で、1980年代前半のXJシリーズには副吸気通路を設けたYICS、1985年以降のSRX4/6には、時間差で開く強制開閉式と負圧式キャブレターが並ぶYDISを採用していた。

レポート●中村友彦 写真●八重洲出版 編集●上野茂岐

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