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※タイトルイラストはイメージです。実際の交通機動隊とは異なります
交通違反の取締り「ノルマ伝説」に迫る!
今回は、昔からよく言われる「警察には交通違反のノルマがあるのか?」というテーマについて解説します。
バイクに乗っている方なら、一度は
「月末は取締りが増える」
「点数稼ぎしている」
「ノルマ未達だから捕まえる」
こんな話を聞いたことがあるのではないでしょうか?
元白バイ隊員として、実際の現場を知っている立場から、かなりリアルな話をしていきます。少し踏み込んだ内容になりますが、できるだけ誤解のないようにお話しします。
結論から言うと「ノルマ」ではない!?
まず結論から言います。一般的に言われるような「1日で何件捕まえろ」「達成できなければ怒られる」という一般企業の営業マンのような「絶対的ノルマ」は、基本的にはないとされています。
しかし、日本語とは難しいもので……
「取締り目標」
「活動目標」
「実績管理」
「管理目標」
こういったものは存在します。
つまり「完全にノルマがない」というわけでもないということです。しかも、実情は交通取締りの検挙数がない場合は
「違反がなくても仕方ない」
「違反はない方が良い」
と言われることがほとんどですが、反対に違反での検挙がなければ、
「仕事をしていない」
「サボっている」
「やる気がない」
などと影で言われたりもします。
今はそんなことはないと思いますが、1日交通取締りを行った後、違反の検挙ができずに帰ってきた隊員が喝を入れられ「検挙があるまで帰ってくるな」と再び取締りに出されたというような話も聞いたことがあります。
建前では、世間でイメージされるような単純な「件数至上主義」ではないとはされているものの、感情が絡んだりすることも否めないことから、件数主義となってしまいがちな背景もあるのです。

数字管理が重視される「警察組織」。ゆえに件数主義は、なきにしもあらず
そもそも警察組織というのは、かなり数字管理をする世界です。例えば交通部門では
・事故件数
・死亡事故
・重傷事故
・飲酒運転
・速度超過
・シートベルト着用率
こういったデータを細かく分析しています。つまり、交通取締りというのは「違反者を捕まえること」そのものが目的ではなく「事故を減らすこと」が本来の目的なんです。
そのため「この地域では速度超過事故が多い」「この時間帯に右折事故が増えている」「通学路で一時不停止が多い」こういった分析を基に、重点的に取締りを行います。なので現場では「今日はこの違反を重点的にやる」という指示は普通にあります。
ではなぜ「ノルマがある」と言われるのか?
なぜ「ノルマ」という言葉が出てくるのでしょうか? 実際の現場では、隊員ごとの活動実績が見られるからです。例えば同じ勤務をしていて、
A隊員 10件
B隊員 0件
これがずっと続けば、当然上司から「B隊員はちゃんと活動しているのか?」という話になります。これは警察に限らず、どこの組織でも同じだと思います。
営業なら契約件数、配送なら配達件数などに当たりますが、結果がまったく見えないと活動自体を疑われます。警察も組織なので、ある程度の実績確認はあります。そのため現場で「件数を意識する空気」は確かに存在するのです。ここが「ノルマがある」と言われる原因の一つです。
また、事故件数が増えているのに交通取締りの検挙数が減っているとなれば、尚更「仕事をきちんとしているのか?」ということになってきます。
現場で活動している警察官がどんなに真面目に働いても、数字が上がらないことには幹部職員には伝わらないのです。
白バイ隊員は実際どうなのか?
白バイ隊員の場合、ただ走っているだけではありません。
・交通違反の取締り
・事故防止活動
・警戒活動
・イベント警備
・要人警護
様々な任務があります。
その中で、交通取締りは非常に重要な仕事です。現場の隊員は事故の怖さを本当に知っているからです。例えば速度違反や信号無視などで「ちょっとくらいなら…」と思うかもしれませんが、事故現場を何件も見ていると、その“ちょっと”が命取りになることを知っています。
だから本気で危険な違反を減らしたい。これは綺麗事ではなく、現場にいると本当にそう感じますし、今現在も現場で活動している交通警察官の多くは、同じ思いだと思っています。
「点数稼ぎ」と言われやすい取締り
一方で、世間から反感を買いやすい取締りがあるのも事実です。例えば、
・見通しの良い場所での速度取締り
・停止線が見えにくい場所での一時停止
・下り坂での速度測定
こういう場所は、ドライバーやライダーからすると「いや、そこでやる?」となりやすいでしょう。
これが「点数稼ぎ」「件数稼ぎ」と言われる原因になります。

取締りを実際に行っている警察官自身も、こんな場所に警察官はいないだろうと思っていたりします。ただ、誤解を恐れずに言うと「交通違反が多い場所だから取締り」を行っているのです。交通違反が多いということは、結果的に事故が多い場所だったり、住民要望が多い場所だったりします。
もちろん、現場によっては交通規制がわかりにくい場所だったり「そこの場所はちょっとどうなんだろう」と思うような取締りがゼロとは言いません。元警察官として、そこは正直に話します。ですが、すべての取締りが悪意で行われているわけではないことは、知ってほしい部分です。
月末になると取締りが増える説
これもよく聞かれます。当たり障りのないことを言うと“増えるように見えることはある”です。理由としては、
・交通安全運動期間
・事故発生状況
・重点取締り期間
・季節要因
こういったものが関係します。
特に大型連休前や、年末年始、行楽シーズンは大きな事故が増えるため、明らかに警戒が強くなります。ただ、本音としては「月末だから件数が足りなくて捕まえている」という単純な話があるとかないとか……。
鶴の一声
警察に限らず、どこの会社や組織でも、上層部の方の一声で大きく現場が変わるということは多くあるはずです。例えば、「この違反の検挙が少ない」とか「もっとこの違反の検挙数を伸ばせ」という言葉が出たならば、現場は大慌てです。
突拍子のないタイミングで話が出たりすることもあるからです。そして、組織人である以上、その言葉への「NO‼︎」は当然許されません。
とは言え、一番大事なのは「法規を守った安全運転」です。交通違反というのは、「警察に見つからなければOK」ではありません。
例えば一時停止。
止まらなくても、たまたま事故にならなかっただけかもしれない。速度超過も、たまたま人が飛び出してこなかっただけかもしれない。現場で事故を見ていると、本当に“紙一重”なんです。
だから「警察がいるから気をつける」ではなく「自分が事故を起こさないために守る」これが本来の交通ルールだと思います。

結論
今回は、「警察の交通違反取締りにノルマはあるのか?」について解説しました。最後にまとめますと……
・一般企業の営業職のような絶対ノルマは基本ない
・ただし活動目標や実績管理はある
・件数を意識する空気は存在する
・本来の目的は事故防止
・現場隊員も危険運転を減らしたいと思っている
ということになります。
このテーマは賛否あると思いますし、皆さんの中にも、納得できない取締りを受けた経験があるかもしれません。しかし現場の警察官は、事故を減らしたいという気持ちで活動されている方がほとんどです。
現場の警察官は上司からの命令、ドライバーからの不満等から板挟みになりながらも活動しています。
交通警察官は嫌われる存在です。現場の人間もそれはよくわかって活動しています。取締りを受けたとしても「現場の警察官も大変なんだなぁ」と少しでも思ってくれたら、悲惨な事故が少しでも減るのではないでしょうか。
文●睦良田俊彦
睦良田 俊彦(むらた・としひこ)
1986年北海道生まれ 趣味:クルマ、バイク
歯科技工士を経て警察官となり、約15年間勤務(白バイ隊員歴約10年)。警察学校卒業後は約3年半の交番勤務を経て交通部門へ。白バイ警察官として第一線で交通取締りをメインに活動し、ライダーのための安全講習、交通安全啓発イベント、マラソン大会先導、大統領車列先導など、様々な経験を重ねてきた。県警主催白バイ大会での優勝経験もあり、白バイ新隊員の育成などにも携わった後、巡査部長の階級で依願退職。現在は退職後の夢でもあったライディングレッスンなど、ライダーのためになる活動が出来る場を作るべくYouTuber「臨時駐車場チャンネル」として活動。バイクイベント等に積極的に参加し、出身の北海道で開催のライディングレッスンで講師も務めている。






























