雑ネタ

石油が材料なのに「樹の脂」? 樹脂とプラスチックは違いがある? 意外と知らない「樹脂の世界」

樹脂は原料、プラスチックは成形品

リターンライダーがバイクを手に入れて驚くことのひとつが、昔と比べてボディーや外装パーツの多くが樹脂製やプラスチック製となっていることが挙げられるのではないでしょうか?

それら「樹脂製パーツ」や「プラスチックパーツ」と呼ばれるモノ、同じような素材に見えますが、「樹脂」と「プラスチック」では具体的になにか違いがあるのでしょうか?
言葉として使い分けがあるのであれば、なんとなく違うもののような気も……。

ですが、結論から言いますと、実は両者に違いはありません。
では、バイクにも使われる樹脂製パーツとプラスチックパーツについて、当記事では解説していきましょう。

日本産業規格(JIS)によると、樹脂とプラスチックは次のように定義されています。


樹脂:不明確でかつしばしば高い相対分子質量を有し、応力を受けると流動する傾向を示し、通常は軟化又は溶融範囲を有し、かつ通常は貝殻状に割れる固体、半固体、又は凝固体の有機材料。広義にはこの用語はプラスチック用の基盤材料であるいくつかの重合体を明示するためにも使用される。

プラスチック:必須の構成成分として高重合体を含み、かつ完成製品への加工のある段階で流れによって形を与え得る材料。


簡単に言うと、樹脂は「原料」を指しています。
プラスチックは成型品、つまり樹脂から形となったモノを意味します。
プラスチック(plastics)とは、ギリシャ語の「plastos」(形成される)に由来する「可塑性がある」を意味する形容詞。

*「可塑」は形を変えて整形することができるということ。

ただ、一般的に「プラスチック」は製品そのものより原料をイメージするような意味合いで使用され、多くの人に浸透していきました。
本来的な意味で言えば「プラスチックパーツ」という言い方は若干不自然で、出来上がったものを示す「プラスチック」だけでいいはずなのです。

そうした事情に加え、日本語では素材として「樹脂」という言葉もあり、「樹脂製パーツ」「プラスチックパーツ」という呼び方が並立し、呼び方が違うのであれば、それぞれ違うものなのでは?という考え方が出てきたのでしょう。

余談ですが、アクション映画や海外ドラマなどで登場する「プラスチック爆弾」は、素材が樹脂の爆弾だからではなく、容易に変形(可塑化)できることから「プラスチック爆弾」と名付けられたものなのです!

「樹脂」には天然モノと、合成モノがある

ここまでプラスチックの意味を主に説明してきましたが、樹脂についても説明しておきましょう。

樹脂は大きくわけて「天然樹脂」と「合成樹脂」が存在します。
天然樹脂とは植物や鉱物に由来するもので、食器などに用いられる漆もそのひとつです。

合成樹脂は石油など化石燃料を原料とし、クルマのバンパーなどの素材となる「熱可塑性樹脂」、シート用クッション材などに用いられる「熱硬化性樹脂」にわかれています。

なぜ化学的に合成されたものを「樹脂」と表現するのかというと、19世紀に登場し、最古のプラスチックとも言われる「フェノール樹脂」が松脂に似ていたから、という説が有力です。

「熱可塑性樹脂」はリサイクル性が高い汎用樹脂「汎用プラスチック」と、耐熱性・耐摩耗性が高い「エンジニアリングプラスチック」にわかれ、代表的なものとしては、耐熱性や耐油性・耐衝撃性に優れていることでカウルなどに用いられる「ABS樹脂」(汎用プラスチック)、フロントスクリーンなどに使用される「ポリカーボネート」(エンジニアリングプラスチック)など多くの部品に適用されています。

樹脂ガラスの普及がバイクパーツの白化を解決する!?

いまやバイクの製造に欠かせなくなった「樹脂製パーツ」ですが、もちろんクルマにも当然のように使用されています。

スチール製のパーツと比較すると、樹脂製パーツは10分の1程度の比重のため、軽量化に寄与するのはもちろんですが、複雑な形状に成型しやすいことで、空力性能の向上にも貢献しています。
前後フェンダーやリヤハッチなどは樹脂製を採用するクルマも増えてきました。

例えば、2014年に登場したダイハツ・コペン(2代目)は、13分割された樹脂製外板パネルを用いた内外装着脱構造(DRESS-FORMATION)を採用。
ユーザーの嗜好に合わせ外観デザインを選択・変更と、樹脂だからこそできるユニークな機構を提案しました。

2014年に発売された2代目ダイハツ・コペン。ドアパネル以外はほぼ樹脂製外装パーツで構成されている。
2代目ダイハツ・コペンの交換用外装「ドレスパーツ」。バンパー、フェンダーだけではなく、ボンネットフードやトランクフードも樹脂製とし、1台の車両でまったく違ったデザインを楽しむことができる。

筆者は以前、素材メーカーの技術者からクルマの軽量化を図るうえで最も効果がありそうな「ガラスの代わりに樹脂が用いられる時代が、遠くないうちに来る」と断言されたことがあります。

もちろん、透明な樹脂自体は現在もあります。
ヘッドライトのレンズなどにも活用されているわけですが、しかし、便利な一方で、「曇り」や「白化」がまだ問題となるように、耐久性に関わるコーティング技術が大きなネックとなるようです。

もしコーティング技術に革新があれば、クルマに樹脂ガラスが普及したり、バイクユーザーを悩ます樹脂パーツの白化問題も無くなるかもしれません。

レポート●手束 毅 写真●スズキ/ホンダ/ダイハツ 編集●モーサイ編集部・小泉元暉

おすすめ記事

トライアンフの6月の登録台数が過去最高を記録し、年間台数も初の2000台超えを達成 トレーサー9GT 2021 ヤマハ ヤマハ新型トレーサー9 GT 「本当のヘッドライト」は意外な所に隠されていた! KTMのストリートモデルを買うと5〜10万円の純正オプションをプレゼント
BIKE王 A.S.H.クオリティの真髄

ピックアップ記事

  1. ニンジャ250R カワサキ
PAGE TOP