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今回は気になる方も多いと思う、白バイのボックスの中身について紹介します。当然、白バイ隊員の仕事に必要な装備が収められているのですが、隊員によって入っている物も異なっています。
シート後部、リヤ両サイドにある白バイの計3つのボックス
白バイのボックスは3つあります。荷物を入れるためのサイドボックス、無線機を入れる無線機ボックスがあり、サイドボックスは車両後部の左右に1つずつ、無線機ボックスはリヤシート部に1つの計3つです。白バイといえばこのボックスをイメージする方も多いのではないでしょうか?
各ボックス内には白バイ隊員には、なくてはならない物が入れられております。
【個人的なものも収納する右側サイドボックス】
右側のボックス内には主にバイクを路上に停車する際、事故を防止するためのLED警告灯や警察官の必需品である誘導棒が収められています。ただし、交番のお巡りさんなどが使っている通常の大きさの誘導棒は大きすぎてサイドボックス内には入らないため、白バイ専用の小さめの誘導棒が収められています。また、事故現場等で使用する道路幅員を計測する巻き尺や路面に印を付けるためのチョークも収められています。
そして、余ったスペースには隊員の私物や飲み物等が入っています。警ら先で昼食を取らなくていけない時は、お弁当や軽食を入れていることもあります。私の場合はお米を食べないと力が出なかったので、いつもおにぎりとオカズに魚肉ソーセージを入れていました。隊員によっては栄養補給用のスナックやゼリーなどの軽食を入れている人もいました。
しかし、夏場の白バイのサイドボックス内は高温になります。特に右側のサイドボックスはマフラーの真上にあって熱を持ちやすいので、保冷剤入りの袋に食べ物を入れたりして腐らない工夫が必要でした。

【仕事道具一式が入っている左側サイドボックス】
左側のサイドボックス内には、白バイ隊員の仕事道具の一つでもある違反切符が入っています。切符が左側のサイドボックスに入っているのには理由があり、よく使うものなので道路側ではなく、取り出しやすい歩道側のサイドボックスに入れているのです。ほとんどの白バイ隊員は切符を左側に入れているのでないでしょうか。今まで右側のサイドボックスに切符を入れている隊員を見たことはありません。
そして切符にも様々な種類があり、赤切符(交通切符 ※一般的に6点以上の重大な違反を犯したときに交付。免許停止、免許取り消しなどの行政処分が課される)、青切符(反則切符 ※一般的に一発で行政処分を受けることがない5点未満の違反で交付され、指定期日までに反則金の納付が課せられる)、白切符(点数切符※反則金が定められていない、1点の軽微な違反で交付)と分けられ、その他にも作成しなくてはならない多くの書類が、サイドボックス内には入っています。
もちろん、書類をそのままサイドボックス内に入れていては散らばったりと大変なことになるので、各隊員は自分で用意したサイドボックスに入る大きさのバッグなどに書類を収めています。
私は学生さんがよく使っている手提げタイプの学生カバンを利用していました。知らない人が見たら、白バイ隊員が「学生カバンを使っている」と笑われそうですが、実はサイドボックスの大きさにギリギリ収まる大きさのカバンが学生カバンなのです。
しかし、隊員皆んなが同じカバンを使用していると事務所内で間違えそうになってしまうので、色違いのカバンにしたり、キーホルダーを付けたりして自分のカバンとわかる様な工夫をしていました。私は当時の上司に勧められて学生カバンを選びましたが、人によってはスポーツシューズを入れるバッグや、トートバッグを使用している人もいました。
また、車好き、バイク好きな方なら白バイ隊員といえば整備不良の取締りをイメージする方もいるのではないでしょうか。時には白バイのサイドボックス内には整備不良を取締るための機械を積んで取締り活動に出ている白バイもいます。

シート後方の小さなボックス、通称「弁当箱」には無線機が詰まっている
市販車のホンダ CB1300は本来2人乗りとなっていますが、白バイのCB1300は1人乗りで、シートやシートカウルも専用設計となっています。また、シートカウル上部には、無線機ボックス(通称・弁当箱)と言われる小さなボックスが備えられてます。
この無線機ボックス(弁当箱)の中には無線機本体が収められています。お弁当箱のような四角い形状で大きさもちょうど良いことから、「弁当箱」という通称となったのでしょう。
また、白バイがメーカーから出荷された時には無線機は装着されていません。無線機を装備する前の新車納車時には、まさにお弁当箱のような小物などが入れられる四角い金属製のケースが装着されています。白バイに無線機が装着されるのはメーカーから警察に車両が届いてからです。
警察には無線機などを専門に取扱う技術職の部署があり、電源等の配線取り回しや無線機本体の取り付けを行ってくれます。白バイに装着されている無線機はパトカーなどに装着されている無線機と同じ物であり、意外と大きくて重量もそこそこあります。また無線機ボックスは厳重な作りとなっており、雨が降っても問題ないように密閉されている上、特殊な鍵により施錠されています。
そして無線機ボックス内は、無線機本体や配線でパンパンとなっていることから、無線機以外の物は入れられません。

サイドのボックス以外の収納スペースは、工夫して個々に収納を活用
白バイも市販のホンダ CB1300同様に、シート下に収納スペースが備えられています。私はここに支給される雨具を収めていました。しかし、白バイには赤色灯や無線機の配線やリレーが追加で設けられている上、ドライブレコーダーの本体や配線も詰められているので、上手くやらないと雨具は中々入りません。人によって雨具は右側のサイドボックス内に入れている方もいました。
他にはスピードメーター横のフロントカウル部にも小物入れがあり、隊員の好みにより仕事で使う小さなものを収納することが出来ます。私はフロントカウル部の小物入れには愛用のサングラスを入れていました。
ここまで白バイのサイドボックスの中身を紹介してきましたが、各県警や隊員によりサイドボックスに入れている物や収納方法も異なると思います。もし交通安全イベントなどで白バイを見たり、隊員に質問する機会がある際はボックスの中身を質問してみるのも面白いかもしれません。


文●睦良田 俊彦
※4月1日、記事中の左側サイドボックス説明本文の一部を修正しました。
睦良田 俊彦(むらた・としひこ)1986年北海道生まれ
趣味:クルマ、バイク
歯科技工士を経て警察官となり、約15年間勤務(白バイ隊員歴約10年)。
警察学校卒業後は約3年半の交番勤務を経て交通部門へ。白バイ警察官として第一線で交通取締りをメインに活動し、ライダーのための安全講習、交通安全啓発イベント、マラソン大会先導、大統領車列先導など、様々な経験を重ねてきた。
県警主催白バイ大会での優勝経験もあり、白バイ新隊員の育成などにも携わった後、巡査部長の階級で依願退職。現在は退職後の夢でもあったライディングレッスンなど、ライダーのためになる活動が出来る場を作るべくYouTuber「臨時駐車場チャンネル」として活動。バイクイベント等に積極的に参加し、出身の北海道で開催のライディングレッスンで講師も務めている。