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緑ナンバーは有償で人や荷物を運ぶクルマのための「事業用」
トラックといえば「働くクルマ」の代表格ですが、街なかで見かけるトラックのほとんどが、多くの乗用車と地と文字の色味が反転した緑ナンバー(軽トラックは黒ナンバー)をつけています。
よく見ると、バスやタクシーといった公共交通を担うクルマも緑ナンバーです。これは通称「事業用ナンバー」、「営業用ナンバー」と呼ばれているもので、働く(有償で人や荷物を運ぶ)クルマには必須といえるものです。
逆に、乗用車がつけている白ナンバーは「自家用ナンバー」と呼ばれます。
白ナンバーのトラックは「自家用」の証だが「自社利用」なら製品や人を運べる
では、白ナンバーのトラックは存在していないのでしょうか。もし存在するとすれば、個人が趣味で所有しているようなケースに限定されるのでしょうか。
そんなことはありません。白ナンバーの「働くトラックやバス」は存在しています。
しかも、市街地で気にして見ていると白ナンバーのトラックやバスを見かけることは珍しくないのです。車体にはブランドや企業ロゴが入っていることも多く、働くクルマとして活用されているトラックなのに白ナンバーをつけていることもあります。
その違いについて、全日本トラック協会のホームページでは次のように説明しています。
トラックのナンバープレートの色は用途により異なります。 緑ナンバーはお客様の荷物を有償で運ぶ「営業用トラック」、 白ナンバーは自社の荷物を自社の車で運ぶ「自家用トラック」です。
引用リンク先:https://jta.or.jp/ippan/green_number.html
緑ナンバーのトラックやバスというのは、人や荷物を運ぶこと自体を「有償」で請け負っている場合に必要ですが、逆に事業の一環として自社内の人や荷物を運ぶケースでは自社内での利用ということになりますから、「自家用」つまり白ナンバーでいいというわけです。
たとえば、大手企業の中には最寄り駅から社屋まで、社員や訪問者が利用できる専用バスを運行していることがあります。これは「無償」で人を乗せていることになりますので、白ナンバーで問題ないわけです。
また「お客さん」を乗せるけれど、白ナンバーという場合もあります。例えば、宿泊施設や温泉施設、レジャー施設の無料送迎バスなどは「輸送」そのものに料金が発生しているわけではないため、白ナンバーでの運行が可能です。
白ナンバーの「働くクルマ」には山崎製パンのデリバリートラックなど
日本中で頻繁に見かけることのできる「働く白ナンバー」といえば、やはり山崎製パンのデリバリートラックでしょう。
一部では知られていることですが、山崎製パンは自社工場で焼き上がったパンを自分たちで運ぶというビジネスモデルを守っています。全日本トラック協会の説明にもあったように「自社の荷物を自社の車で運ぶ」状態ですから、白ナンバーで問題ないのです。
ところで働くバイクといえば、バイク便が思い浮かびます。バイク便は有償で荷物を運ぶというビジネスですから、多くのケースで事業用の緑ナンバーをつけています。
しかし、かつて報道機関直属のプレスライダーという職業があったように、もし自社内に限定して荷物を運ぶ業務を遂行するのであれば、バイク便のような仕事であっても自家用の白ナンバーで問題ないということになります。
ほかにも、飲食店が自店舗からの出前専用に125cc超のバイクを使うというのであれば白ナンバーのままでも大丈夫ということになります。
原付は業務用ナンバーが存在しない
ちなみに、出前といえばお馴染みのスーパーカブやジャイロなどのバイクが白ナンバーなのは、そもそも原付には業務用ナンバーが存在しないからです。原付二種の場合も同様に元の色(黄色やピンク)のままとなります。
余談ですが、二輪・四輪とも道路運送法に基づく「有償運送許可」を受けていれば白ナンバーのまま、有償で荷物を運ぶことが可能です。近年はコンプライアンス意識の高まりから、そうした運用を見かけるケースも減っているように感じますが……。
レポート●山本晋也 写真●ヤマザキパン/東京健康ランドまねきの湯/モーサイ編集部 編集●中牟田歩実