■マイケル・ダンロップ選手(ホンダ CBR1000RR-RファイアブレードSP)。パーラメントスクエアと呼ばれるポイントでは、観客席とコースの距離が近く、コーナーの立ち上がりでスロットルをワイドオープンしたときの爆音と音圧を感じられる。
6月4日(日):スーパーバイクTT(1000cc、SBK並みの改造クラス)決勝
マン島TT、決勝レース2日目はスーパーバイクTTが行われた。2022年までのマン島TTでは、決勝レースはスーパーバイクTTに始まって、シニアTTで終わるのが恒例だったが、今年からスケジュールが変わったことによって、決勝の口火を切るのはスーパーバイクTTレース1となっている。
スーパーバイクTTは、SBK(スーパーバイク世界選手権)に準拠したチューニングが施された、市販車ベースのレーシングマシンで競うカテゴリーだ。そしてシニアTTとは、全レースの上位入賞者による王者決定戦だが、もっとも戦闘力の高いマシンを使うことから、シニアTTはスーパーバイクTTのリベンジマッチともいうべき側面を持っているし、逆に言えばスーパーバイクTTはシニアTTの前哨戦ともいえるのだ。
そんなスーパーバイクTTは、マイケル・ダンロップ選手(ホンダ CBR1000RR-RファイアブレードSP)が1周目の序盤からトップをリード。ライバルのピーター・ヒックマン選手(BMW M1000RR)はクイックシフターにトラブルが発生し、ダンロップ選手から2.3秒遅れの4位。2位のディーン・ハリソン選手(カワサキ ニンジャZX-10RR)は、ダンロップ選手に6.2秒の差をつけられつつも追走。しかし2周を終えてピットに入り、再びコースに戻ったときにはダンロップ選手が2位との差を14.6秒まで広げ、独走体制に入った。
2回目のピットインとなる4周目を終えた段階でその差はさらに広がり20秒以上となり、大きなミスもなくそのまま6周のレースを終え、1時間43分01秒855、平均速度131.832mph(212.163km/h)のタイムでダンロップ選手がスーパーバイクTTの勝者となった。
マクギネス選手が持つ現役最多勝利数「23勝」に並んだダンロップ選手
マイケル・ダンロップ選手はこれでTT通算23勝目をあげ、現役最多勝利数を誇るジョン・マクギネス選手(ホンダ CBR1000RR-RファイアブレードSP)の記録に並んだ。なお、TT最多勝利数記録は26で、レコードホルダーはマイケルの叔父であるジョイ・ダンロップ選手。偉大な叔父の記録まであと3勝に迫った。
なお、2位にはディーン・ハリソン選手、3位にはピーター・ヒックマン選手が入り表彰台を飾った。
明日、6月5日(月)はレースのない休養日。マン島では各地でバイクイベントが開催される。レースだけが魅力ではないマン島の楽しさもお伝えしよう。
■おまけのオフショット。パーラメントスクエアで道路封鎖後も止めっぱなしだったバイクは、オフィシャルによる人力レッカーでコース外へと出された。ハンドルロックされているフロントをベルトで持ち上げて担ぎ出すのだが、オフィシャルの表情からするに相当重そうだった。もしも皆さんがマン島TT観戦に行ったときにはこんなルール違反はしないように!
レポート&写真●山下 剛
2023【マン島TT 現地速報!】1日目 練習走行&予選「日本人ライダー山中正之選手が今年も参戦!」
2023【マン島TT 現地速報!】2日目 予選「コーストラブルで、スーパースポーツとスーパーツインの走行がキャンセルに」
2023【マン島TT 現地速報!】3日目 予選ナイトセッション「最速は平均速度約214.9km/hのディーン・ハリソン選手(カワサキZX-10RR)」
2023【マン島TT 現地速報!】4日目 予選「唯一の日本人ライダー、山中正之選手に新CBR600RRでの感触を聞いた」
2023【マン島TT 現地速報!】5日目 予選最終日「平均速度約218.1km/h! マイケル・ダンロップ選手が非公式ながら記録更新ラップタイムを叩き出す!」