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5日目:6月2日(金)予選最終日
5日目を迎え、本日が予選最終日のマン島TT。ここまで一滴の雨も降らず霧もなく、さらにシリアスアクシデントもなく、まったく順調にスケジュールをこなしている。
しかも本日はマイケル・ダンロップ選手が、非公式ながら(決勝レースとはタイム計測ポイントが異なるため予選のタイムは非公式となる)スーパーツインとスーパーバイクで記録更新となるラップタイムを叩き出した。スーパーバイクのタイムは16分42秒189で、平均速度135.531mph(約218.1km/h)というもの。雨が降らないため路面にラバーグリップが残り続けていることも好ラップタイムにつながっているのだろう。
マイケル・ダンロップ選手はスーパースポーツでも最速でスネーフェルマウンテンコースを駆け抜け、3クラスでトップタイムを記録した。
■かつては手書きのスコアボードがあったグランドスタンド正面だが、老朽化を理由に撤去され、大きな液晶画面が設置された。いたしかたないこととはいえ、ボーイスカウトの少年少女がスコアボードを運び、掲示する様子はマン島TTの名物だっただけに惜しまれる。
■約60kmにおよぶスネーフェルマウンテンコース終盤、ダグラスの街に戻ってきたポイント。なお、歩道橋からの観戦は禁止されていて、セキュリティが常に監視しているため、立ち止まることもできない。
■コース幅ぎりぎりまで使いながらコーナーを駆け抜ける。路肩によるほど土埃を拾ってしまうのは公道レースの宿命だ。
■スーパーバイクとスーパーツインで非公式ながらラップタイム記録を打ち破る快走を見せたマイケル・ダンロップ選手。明日の決勝レースの優勝候補筆頭だ。写真はスーパーバイクのホンダ CBR1000RR-RファイアブレードSP。
*編集部註
スーパーバイク:1000cc、SBK=スーパーバイク世界選手権並みの改造
スーパーストック:1000cc市販車=軽微な改造のみ
スーパースポーツ:600cc
スーパーツイン:750cc2気筒
6月3日からは決勝、日本人ライダー山中正之選手も参戦するスーパースポーツクラスからスタート
山中正之選手は、スーパーツインで1周、スーパースポーツで2周、計3周をこなし、予選走行のすべてを終えた。昨日まではまだまだ慣れが必要と話していたスーパースポーツ(ホンダ CBR600RR)の習熟はさらに進んだという。
「CBR600RRに乗り替えての1周目、グースネックのあたりで後続車に追い抜かれ、そのまましばらく追走してました。ラインの参考になるポイントも多かったですし、バイクもずいぶんとアジャストできて昨日よりもタイムは縮まりました(19分51秒853)。オーバーレブする場面もあったので、明日の決勝ではリヤのスプロケットを1T少ないものに換装して臨みます」
そう、明日からマン島TTはいよいよ決勝ウィークに突入し、山中選手が参戦しているスーパースポーツTTはその最初となる。
「これまでベストを尽くしてきましたし、予選が終わるまで緊張しっぱなしなので、今日がいちばんの山場でした。だから少し安心しているところもあります。明日の決勝は自分のペースで走るだけです。マン島TTは普通のレースと違います。結果はご褒美と考えて、明日はペースを崩さずに完走を目指します」
山中選手が出走するスーパースポーツTTレース1の開始時刻は午前11時45分(現地時間)。レースは4周で行われる。
■スーパーツインでカワサキ ER-6fを走らせる山中選手。いよいよ決勝へ臨む。
■予選終了後、ピット子どもたちからサインをねだられて笑顔で応じる山中選手。このあと、パドックで販売しているアイスクリームで栄養補給し(このアイスクリームはめっぽうおいしい)、明日の決勝レースへと英気を養った。
レポート&写真●山下 剛
*6月10日追記:スーパーツインTTの排気量説明が誤っていましたので訂正を行いました。誤:650cc2気筒、正:700cc2気筒。