「マン島TTレース」100年以上の歴史を持つ公道レースが2023年も開催
世界一過酷といわれるイギリス(*)の公道レース「マン島TT」(IOMTT)が5月29日からはじまった。まず2023年はレーススケジュールにいくつかの変更があったことをお知らせしよう。ここ10年ほどは練習と予選を兼ねた走行は夕方から行われていたのだが、今年からは朝からの走行と夕方の走行を織り交ぜて行われる。レースのために島内の主要道路を閉鎖する時間を短縮し、住民の生活をスムーズにするための措置とのことと主催者はアナウンスしている。

初日:5月29日(月)は練習走行と予選走行
さて、そんな2023年のマン島TT、初日となった5月29日は、午前11時から走行がはじまり、全クラスの練習走行(午前)と予選走行(午後)があった。
まずはニューカマー(2023年初参戦のライダー)が走ると、続いてスーパースポーツ(600cc)とスーパーツイン(700cc2気筒)が混走。その後はスーパーストック(1000cc市販車=軽微な改造のみ)とスーパーバイク(1000cc、SBK=スーパーバイク世界選手権並みの改造)、そしてサイドカーが1周約60kmのコースを確かめながら走り抜けた。
日本からは今年も山中正之選手が、スーパースポーツとスーパーツインの2クラスに参戦し、練習と予選走行をこなした。初日ということもあり、今日はスーパーツイン(カワサキ ER-6f)のみを走らせ、マシンの感触をたしかめた。
午前の練習走行2周を難なく終え、午後からは予選走行に挑んだが、2周目に転倒を喫してしまった。しかし山中選手に怪我はなく、マシンもクラッチレバーやハンドルグリップ、ペダルの摩耗程度で大きなダメージはなかった。
「ギヤの確認をしていて、いつも3速で走っていてオーバーレブになりがちなところを4速でクリアしようとしたんですが、曲がりきれずに転倒となってしまいました」と山中選手はそう話した。
転倒の原因はわかっているだけに、次回走行への修正点も見つけたようだ。明日はスーパースポーツクラスでホンダ CBR600RRを走らせる予定、山中選手の走行開始は19時30分(現地時間)となっている。
2023年のマン島TTは、現地入りしたフリーライターのヤマシタが、レースレポートだけでなくマン島の魅力を毎日たっぷりとお届けするので、どうぞお楽しみに!






レポート&写真●山下 剛
編集部註*広く「イギリスのマン島」と紹介されることが多いため、編集部として上記表現をしましたが、厳密にいうとマン島は「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」に属するわけではなく、独自の政府を有した王室領と言える存在。外務省の文書では「英国王室属領」という記述がなされています。
*6月10日追記:スーパーツインTTの排気量説明が誤っていましたので訂正を行いました。誤:650cc2気筒、正:700cc2気筒。