■コントロールタワーの横には、参戦するレーシングライダーたちの国旗が掲揚されている。その下にはメインスポンサーのバナーもある。
2日目:5月30日(火)予選2日目
2日目を迎えたマン島TT、今年、2023年は2週間前から晴天が続いているそうで、レースウィークの天気予報も晴れとのこと。この先の天気がどうなるかわからないとはいえ、雨や霧でレーススタートが遅れたり中止になることがめずらしくないマン島TTにとっては朗報だ。
もっともそのせいでレースコースには塵や細かい土がうっすらと積もっているようで、昨日の走行では土煙を上げながら走り去っていくマシンの姿も多く見られた。私が撮影していたユニオンミルズは、軽いジャンプスポットでもあるのだが、着地でスリップしたライダーもいたほどだ。
さて、2日目は夕方から走行セッションが行われ、18時30分からスーパーバイク(1000cc、SBK=スーパーバイク世界選手権並みの改造)とスーパーストック(1000cc市販車=軽微な改造のみ)から2回目の予選走行が行われた。
しかしその走行中にオイル漏れが発生し、およそ400mにわたってオイルがコースに飛散した影響で、その次に行われる予定だったスーパースポーツ(600cc4気筒)とスーパーツイン(650cc2気筒)の予選はキャンセルとなった。
パルクフェルメで走行の準備をしていた山中正之選手だが、走行がキャンセルとなったためピットへ戻った。
「最初のスーパースポーツを走れなかったのは残念ですが、これもレースですね」
山中選手は落胆の様子をまったく見せることなく、笑顔でそう話した。明日5月31日(水)は3回目の予選走行が行われる予定で、本日と同様のタイムスケジュールとなっている。予定どおりなら、山中選手は19時20分(現地時間)から走行開始となる。
本日はピット周辺で取材していたため、スーパーバイクなどの走行写真は撮れなかった。そのかわり、グランドスタンド周辺の様子をお伝えしてレポートを締めよう。
日本を代表するヘルメットメーカーのアライヘルメットは、マン島TTのメインスポンサーでもある。
それもあってグランドスタンドにはアライヘルメットのショップがあるほか、同社の最新モデルやマン島TT仕様などを展示するブースも出展している。また、アライユーザーのヘルメットのメンテンナンスサービスを行っているほか、TTに参戦しているアライユーザーのメンテナンスやサポートも実施している。マン島TTファンにとって、アライヘルメットはTTの象徴でもあるのだ。
■アライヘルメットのブースでは、アライユーザーのメンテナンスサポートも行っている。
■一般ユーザーとは別に、TTに参戦しているレーシングライダーのサポートブースもあり、クリーニングだけでなく内装のフィッティングなど、全面的にサポートしている。なお、オランダにあるアライの海外拠点のほか、ヨーロッパ各国の販売店からスタッフが駆けつけ、レースウィークの最後までユーザーをサポートするそうだ。
■パドックにある各チームのピットは日中は開放されていて、メカニックがマシン整備する様子を見られる。入場料やパスは不要のエリアなので、誰もが自由にピットを見学できるのもマン島TTならではだ。
■コースインの前準備をするエリアにある、チームI.L.Rのピット。テント中央奥にあるゼッケン59のホンダ CBR600RRが山中選手のマシンだ。
■決勝レース時に使用するスタートゲートが置かれていたので、思わず記念撮影する山中選手。
■マン島にいるときは常に緊張しているという山中選手だが、緊張をほぐすため、そしてマン島TTを楽しむためにも努めて笑顔でいるようにしているという。パドックでもピットでも、山中選手はいつも笑顔でスタッフと接しているし、ファンサービスも気軽に応じている。
■夕方の予選走行は特に直射日光の西日に向かって走らなければならない場所も多い。そのため山中選手はスモークシールドを使い、夕方セッション用として上部にスモークフィルムを貼った特別仕様を装着している。
■パルクフェルメ(アタッチメントエリアともいう、走行前の準備をするエリア)では、山中選手同様にリラックスしているライダーも多い。
■予選走行がキャンセルになったあと、ピットレーンリミッターのテストをする山中選手。ピットロードの速度制限は60km/hで、決勝レース中に速度超過すればもちろんペナルティが課せられる。
レポート&写真●山下 剛