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多機能なツアラーモデルの3車だけに、メーターの表示項目や操作スイッチ類も多い。そうした3車のインターフェースと使い勝手、またライディングポジション&足着き性、燃費などを当記事では比較解説していく。
NT1100、トレーサー9GT、F900XRのメーターユニット
ホンダ NT1100
メインのメーターは6.5インチのタッチパネル式フルカラー液晶。ライディングモードに応じ表示パターンも切り替わる。スマートフォンやインカムとの連携もでき、Apple CarPlay、Android Autoのナビアプリケーションを表示させることも可能だ。
メインのメーター下には速度、ギヤポジションなどを表示するモノクロ小型液晶を備える。モノクロ小型液晶の右にはUSBソケット、左には12V電源ソケットを配備。



ヤマハ トレーサー9GT
3.5インチのフルカラー液晶を左右に2個備える独特なメーターユニット。それぞれライダーが見やすいように、微妙な角度をつけて配置されている。
左側がメインメーターで、回転計、速度計、ライディングモードなど走行面に関する情報を表示。右側のメーターは4つのマスに区切られており、オド、トリップ、燃費、外気温、水温、燃料計、走行時間、クルーズコントロール設定速度などから4つを選んで表示できる。
メーター裏には12V電源ソケットを配備。


BMW F900XR
6.5インチのフルカラー液晶メーターはスマートフォンやインカムと連携可能で、上級モデルのS1000XRや他のBMW Fシリーズと共通。バーグラフ式回転計パターン、アナログ式回転計風のパターンが選択可能。「MY MOTORCYCLE」の画面では、各種車両情報を確認できる。



NT1100、トレーサー9GT、F900XRのスイッチボックス
ホンダ NT1100


左スイッチボックスのスイッチ数は3車の中で最も多く、スイッチボックスも最も大きい。だが、ウインカー、ハザード、ホーンのほか、ライディングモード、メーターのメニュー画面操作、グリップヒーターの温度調節など各種操作を行うスイッチ類でかなり過密気味。
DCTのマニュアル変速用スイッチは左スイッチボックスで、手前がシフトダウン(−)、奥がシフトアップ(+)。
左に比べればシンプルな右スイッチボックス。DCTの変速モードを切り替える操作スイッチと、クルーズコントロールの操作スイッチがまとめられている。
ヤマハ トレーサー9GT


左スイッチボックスは走行モード、トラクションコントロール、電子制御サスペンションを操作するスイッチ、クルーズコントロールのスイッチがまとめられている。NT1100ほどではないが、やや過密気味。ウインカースイッチがやや操作しづらい印象だったが、オーナーとなれば慣れで解消する部分か。
右スイッチボックスはシンプルで、キルスイッチ兼用のスタータースイッチのほかは、右メーターに表示させる項目の切り替え操作などに使うジョグダイヤルのみ。
BMW F900XR


左スイッチボックスには、メーターのメニュー画面を介し各種操作を行うBMWおなじみのジョグダイヤルを配置。クルーズコントロール操作スイッチ、電子制御サスペンションのモード切り替えスイッチも左にまとめられている。NT1100やトレーサー9GTに比べるとシンプルで、ウインカーの操作性も良好。
右スイッチボックはグリップヒーターのスイッチ、ライディングモード操作スイッチが並ぶだけで、非常にシンプル。
なお、グリップヒーターはNT1100とトレーサー9GTが「グリップヒーターの操作メニューを呼び出し温度を決めていく」という操作になるのに対し、F900XRはグリップヒータースイッチを押すだけで作動・温度調節が完結。シンプルで楽だ。
NT1100、トレーサー9GT、F900XRの足着き&ライディングポジション
ホンダ NT1100
シート高は820mm。シート下には標準装備のETC車載器が収まる。
トップケース用ステーを兼ねる大型リヤキャリヤは実用性も高いと思われるが、張り出しが大きく、またがる際に蹴りつけないよう少々注意が必要。
身長170cm、体重58kgのライダーでは、両足での足着きはカカトが浮くが、片足停車では足の裏全面が接地する。
上半身はほとんど前傾しないライディングポジションで、ネイキッドモデルに近い感覚だ。
スクリーンに関しては、最も低い位置にしておけばほとんど視界に入ってこない。一方、最も高い位置とすると完全にスクーリーン越しで前方を見る形となるが、歪みもなく視界はクリア。



ヤマハ トレーサー9GT
シートはハイ/ロー切り替え機構があり、ローのシート高は810mm、ハイのシート高は825mm(写真はロー状態)。
ロー状態にすると3車中シート高は最も低くなるが、座面が広めで股下が開き、両足の足着きではカカトが結構浮いてしまう。ただし、片足停車では足の裏が全面接地した。
ライディングポジションに関しては、ハンドル位置が3車の中ではやや高く感じられ、ネイキッドとアドベンチャーモデルの中間的雰囲気。上半身の前傾はほとんどない。
スクリーンは最も低い状態で、わずかに視界に入ってくるレベル。最も高い位置にするとほとんどスクリーン越しの視界となるが、NT1100同様歪みもなく視界はクリアだ。
ライダーは身長170cm、体重58kg。



BMW F900XR
3車の中で唯一前後一体のシートとなり、シート高は825mm。シート下には標準装備のETC車載器が収められている。
硬質なクッション&サスペンションがほとんど沈みこまないこともあってか、両足での足着きではカカトの浮きが3車で最も多い印象。ただし、片足停車では足の裏全面が接地。
ライディングポジションに関しては、ハンドルはややワイドめで、軽く前傾したほうが収まりが良さそうな印象。
スクリーンは小振りなので、ハイポジションにしても視界には入ってこない。



NT1100、トレーサー9GT、F900XRの燃費
平均燃費はNT1100が19.8km/L。燃料タンクは20Lなので、航続距離は300km台後半は余裕、走り方、走行モードの選択、道路状況次第では400kmにも達する可能性も。
トレーサー9GTは20.3km/L。燃料タンクは18Lで、航続距離300km以上は余裕だ。
F900XRは20.8km/L。燃料タンクは15.5Lで、航続距離は300kmちょっといったところに収まるだろう。

ホンダ NT1100主要諸元
[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクル並列2気筒OHC4バルブ ボア・ストローク:92.0mm×81.4mm 総排気量:1082cc 最高出力:75kW(102ps)/7500rpm 最大トルク:104Nm<10.6kgm>/6250rpm 変速機:電子式6段
[寸法・重量]
全長:2240 全幅:865 全高:1360(スクリーン最上位置1525) ホイールベース:1535 シート高:820(各mm) タイヤサイズ:F120/70ZR17 R180/55ZR17 車両重量:248kg 燃料タンク容量:20L
[車体色]
マットイリジウムグレーメタリック、パールグレアホワイト
[価格]
168万3000円
ヤマハ トレーサー9GT主要諸元
[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクル並列3気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:78.0mm×62.0mm 総排気量:888cc 最高出力:88kW<120ps>/1万rpm 最大トルク:93.0Nm<9.5kgm>/7000rpm 変速機:6段リターン
[寸法・重量]
全長:2170 全幅:885 全高:1430 ホイールベース:1500 シート高:ローポジション810/ハイポジション825(各mm) タイヤサイズ:F120/70ZR17 R180/55ZR17 車両重量:220kg 燃料タンク容量:18L
[車体色]
ブルーイッシュホワイトメタリック2(シルバー)、ビビッドレッドソリッドK(レッド)、マットダークグレーメタリックA(マットグリーニッシュグレー)
[価格]
145万2000円
BMW F900XR主要諸元
[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクル並列2気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク:86mm×77mm 総排気量:894cc 最高出力:77kW<105ps>/8500rpm 最大トルク:92Nm<9.4kgm>/6500rpm 変速機:6段リターン
[寸法・重量]
全長:2150 全幅:860 全高:1320(スクリーンアップ時1420) ホイールベース:1530 シート高(スタンダード):825(各mm) タイヤサイズ:F120/70ZR17 R180/55ZR17 車両重量:223kg 燃料タンク容量:15.5L
[車体色]
ライトホワイト、レーシングレッド(別途2万6000円)、ブラックストームメタリック2(別途2万6000円)
[価格]
118万1000円(ベース)
141万2000円(スタンダード)
144万6000円(プレミアムライン)
まとめ●モーサイ編集部・上野 写真●柴田直行