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【試乗速報!】BMW史上最大の排気量、1802ccのクルーザー「R18」は巨体に見合わぬ走りが楽しめる

345kgの巨体を受け止める強力なブレーキ

BMWがR18にフロントブレーキに300mmのツインディスク&4ピストンキャリパーをしているのは伊達や酔狂ではない。345kgの車重があるバイクを止めるのは、3人乗りしたBMWの200馬力級スーパースポーツ S1000RRを止めるのに匹敵するくらい難しいことだからだ。

フロントブレーキは300mmダブルディスクに4ピストンキャリパーの組み合わせ(リヤブレーキディスクも300mm)。フロントブレーキレバーの操作でリヤブレーキが連動する「インテグラルABS」を搭載。

フロントブレーキレバーの操作でリヤブレーキも連動する機構を備えるが、その際のリヤブレーキの作動感は強めだ。
ブレーキの信頼性は高く、かなりハードな使い方をしてもタレる気配はなかった。無論、ABSは標準装備されている。ABSの作動感に関しては、フロントはそれほど違和感はないが、リヤはかなり介入が早い。

最新のBMW製バイクにしては珍しく、ABSはバンク角連動の「コーナリングABS」ではない。
低回転域を多用しのんびり走るようなクルーザーモデルには不要という意見もあるかもしれないが、R18のような超重量級バイクの場合は「コーナリングABS」の方がいいようにも思う。

1802ccもの巨大なエンジンだけに、エンジンブレーキ・マネージメントシステムも搭載されている。
素早いダウンチェンジの際にリヤがロックするのを防いでくれるものだが、乗っていてもその効果を感じることができる。エンジンブレーキの効力を減少させてくれるので、2ストロークマシンのようなフィーリングで面白いようにコーナーを駆け抜けることができる。

トラクションコントロール(走行中にもオン/オフ操作も可能)は、それ自体でも十分スライドやホイールスピンを防いでくれるが、ABSのようにバンク角連動ではなく、今となってはシンプルな制御だ。
だがやはり、プレミアムな価格帯のBMWである以上、バンク角連動のトラクションコントロールを備えていてほしかった。

ここが気になるR18

試乗前に気になっていたのは、燃費と航続距離だ(燃料タンクは16L)。左右に張り出した各シリンダーは巨大で、ロンドンのバスのような空気抵抗があるはず。加えて、重量も忘れてはいけない。きっと恐ろしい燃費を叩き出すだろう、と思っていたのだ。

しかし、運河をゆくボートのようにゆっくりと回転するエンジンの燃費は、実際にはそれほど悪くなくなかった。BMWは50マイル・パー・ガロン(約21km/L)を超えるといっていたが、ミュンヘンの南からオーストリアに向かって高速道路と山岳路を混ぜた180マイル(約290km)の走行では、54マイル・パー・ガロン(約23km/L)を記録した。
計算上は、航続距離は200マイル(約320km)を超えることになる。

個人的には、クルーザーモデルのバイクには燃料計や航続距離表示があった方がいいと思う。旅路の計画を立てやすいからだ。
しかし、残念ながらR18は燃料警告灯がついているだけだ。
警告灯が点いて慌てて給油場所を探したり、走行開始して10マイルくらい走った後に点灯したりするのは、本当、憂鬱なことなのに……。

R18の「バリュー・フォー・マネー」

このような内容を踏まえ、価格に対する価値を考えてみたい。
ふたつの見方がある。

ひとつは、1万9000ポンド(約260万円) するにもかかわらず、クルーズコントロールすらついていない、一人乗りのクルーザーであるというネガティブなもの(その上、豊富なオプションや純正アクセサリーがとても心をくすぐってくるので、オーナーとなったらそれ以上にお金を使ってしまいそうだ)。

もうひとつは、ハイエンドのBMWブランドのバイクを購入したという所有感だけでなく、今までにない全く新しいジャンルのバイクを手にしたという満足感を得られるというポジティブなものだ。

しかし、「クルーザー」というカテゴリー上の共通点のみとなるが、他メーカーのモデルと比較してみると、価格はいい落とし所とも言える。
BMW自身のK1600B(1600cc直6エンジンのクルーザー)よりは安いし、ハーレーダビッドソンでいえばソフテイルのデラックス、インディアンではビンテージダークホース、トライアンフではロケットIIIあたりと競合するが……それ以前に、R18はライバル不在のモデルと言えるだろう。

また、BMW製に限らず1000ccのスーパースポーツモデルが2万ポンド(約275万円)を超えるのが割と当たり前になっている昨今、極端に高いというわけではなく、妥当なところではないか。

しかし、悩みの種は膨大なアクセサリーパーツである。

BMWが提案するR18のカスタマイズ例。
魅力的な純正カスタマイズパーツのひとつ、アメリカのバンス&ハインズと共同開発されたエキゾーストシステム。
BMWが提案するR18のカスタマイズ例。
シートは6タイプ、シリンダーヘッドカバーでも4タイプあるなど、カスタムすることを前提に豊富な純正カスタマイズパーツがラインアップされるR18。

ローランドサンズやバンス&ハインズとのパートナーシップでデザインされたパーツ群に、BMWらしい機能オプション──R18はあなたの想像力を自由に働かせるための真っ白なキャンバスとなる。「吊るしでいい」というオーナーは極めて少数だろう。
そうした展開を「マーケティングによるイメージ戦略だ」とあざ笑う人もいるかもしれないが、簡単にカスタムでき、パーソナライズが可能というR18の車両構成は「巧妙」としか言いようがない。

BMW R18総評

現在、市場に出回っている他のどのモデルとも異なる、このようなドラマチックなクルーザーを生み出したBMWには賞賛の拍手しかない。

クルーザー市場は何十年もの間、似たようなVツインモデルでガチガチになっていたが、BMWは巨大なボクサーエンジンという新たな世界観を見せてくれた。1920年代~1930年代をイメージした古典的デザインと(露出したシャフト・ドライブなどの仕上げは特に素晴らしい)、2020年生まれの現代的なパフォーマンスを発揮するボクサー・エンジンの融合だ。
しかも、一日中コーナーを走り回って楽しむこともできる。確かに重く、左右に揺れ、高回転で振動はあるが、コレは「欲しくなる」。

ニッケルメッキ仕上げの露出型ドライブシャフト。

もう、燃料計&航続距離表示がないこと、クルーズ・コントロールが標準装備されていないことなどの不満は許すことにしよう(笑)。
BMWが2008年にS1000RRでスポーツバイク市場に飛び込んで定位置を築いたように、R18もまたクルーザー市場において同様の結果をもたらす可能性を秘めている。伝統的なクルーザーメーカーにとっては、脅威となる存在だろう。

BMW R18主要諸元

[エンジン・性能]
種類:空油冷4ストローク水平対向2気筒OHV4バルブ ボア・ストローク:107.1mm×100.0mm 総排気量:1802cc 最高出力:67kW<91ps>/4750rpm 最大トルク:158Nm<16.1kgm>/3000rpm 変速機:6段リターン
[寸法・重量]
全長:2440 全幅:964(ミラー含む) 全高:1232(ミラー含む) ホイールベース:1731 シート高690(各mm) タイヤサイズ:F120/70R19 R180/65B16 車両重量:345kg 燃料タンク容量:16L
[日本仕様価格]254万7000円~

試乗レポート●アダム・チャイルド 写真●BMW まとめ●上野茂岐

2020年10月24日追記:誤字脱字、文章が欠けていた点を修正しました。

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