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中国から来たネイキッドの刺客!【QJモーター SRK900】海外試乗記

あなたはQJモーターというバイクメーカーを知っているだろうか? また、2025年の日本バイクオブザイヤーにおいてQJモーターのSRV250が外国車部門で最優秀金賞を受賞したことはご存知だろうか? イギリス人モーターサイクルジャーナリストで、マン島TT参戦などレース経験も豊富なアダム・チャイルド氏が、日本未発売のQJモーター最新ネイキッドモデルを紹介する。

ハイパワーながら低価格

家やホテル、馬の価格が相場よりも安すぎる場合、それが何を意味するかは言うまでもないことだ。バイクも同じである。

しかし現在、バイクのマーケットにおいてそういった原則をあいまいにする、例外的なグレーゾーンが急速に拡大中だ。思わず二度見するほど安価ながら、「所詮は安物」と見下げられるようなレベルを超えてくるモデルが登場している。それを作っているのは、ご存知のとおり、中国である。

例えば今回紹介する、中国・浙江省に本社を置くQJモーターがイギリスで新発売したネイキッドロードスターのSRK900は、登録料等込みの価格が6899ポンド(約141万円)と、まさにバーゲンプライスだが、そのスペックは中国製バイクの見方を見直すことを余儀なくさせるほどだ。排気量904ccの並列2気筒エンジンは95馬力、9.2kgf・mのトルクを発生する。ブレンボ製ブレーキキャリパーや、マルゾッキ製のフルアジャスタブルフロントフォーク&ステアリングダンパーを採用し、電子制御面では、アップダウン双方向対応のクイックシフターやクルーズコントロール、トラクションコントロール、3種類のライディングモード、ボッシュ製ABSを装備。タイヤはおなじみの台湾ブランド、マキシス製だ。

SRK900のスタイリングを、QJモーターは「ハードコアメカスタイル」と表現している。

では、ライバルとの勝負に移ろう。SRK900は非常に低価格で、ホンダのCB7​​50ホーネット(登録料等込みで7499ポンド。約158万円)やスズキのGSX-8S(登録料等込みで8299ポンド。約175万円)といった、より排気量の少ないネイキッドモデルに対抗する存在だ。最高出力と最大トルクの値は、CB750ホーネットもGSX-8SもSRK900には及ばない。実際、1ポンドあたりの馬力値だけの比較でも、一部の人にとっては十分に魅力的に映るだろう。

QJモーターは、ヨーロッパや日本の主流メーカーへの挑戦に真剣に取り組んでいるように見える。今こそSRK900に試乗してみるべきだと感じ、私は取材に向かった。

中回転域がオイシイ!

スタータースイッチを押すと、思わず振り返ってしまうような唸り声が響く。右側1本出しのマフラーエンドの位置はアップ気味で、タンデムステップの内側にレイアウトされている。エンジンサウンドは、ユーロ5+適合のパラレルツインというよりもむしろ、昔ながらのVツインに近い。これは、270度クランク特有のキャラクターのおかげかもしれない。中国からヨーロッパや日本のエンジンをまるっきりコピーしたものが出てくるのはよくあることだが、SRK900のエンジンはどうやら自社設計のようだ。ボア×ストロークは92×68mmで、主要なライバル車の中では生産終了となったKTM 890デュークの90.7×68.8mmが最も近い。

SRK900の並列2気筒エンジンはユーロ5+の排ガス規制に適合したもの。
サイレンサーには「QJMOTOR MOTO EXHAUST TECHNOLOGY」と刻印。

最高出力である95馬力は9000回転で発生、最大トルク発生回転数は6500回転と比較的低めで扱いやすい。前述のとおり6速ギヤボックスにはクイックシフターが備わる。ライディングモードはスポーツ、ノーマル、レインの3種類から選択可能で、デフォルト設定はノーマルである。

スロットルを軽く煽ると、エンジンはクイックに吹き上がる。発進するとすぐに、低速域でのトルクの厚さが感じられる。そのため、低いギヤで渋滞の中を走行する場合などは特に、スロットルレスポンスがやや過敏に感じられることがある。実際、私がこれまで中国製のミドルクラスバイクに乗っていて経験したことがないほどの緊迫感があった。

SRK900を乗り回すアダム・チャイルド。

SRK900の最高出力は95馬力で、ホンダCB750ホーネットの91馬力という最高出力値と近似しているが、トルクの立ち上がりはSRK900のほうが早い。街なかでは、スムーズな走りを維持するために早めのシフトアップを繰り返した。ときどき高めのギヤに入れてしまうこともあったけれど、それでもSRK900のエンジンは楽々と回転数を上げていく。

市街地から離れた道でも、中回転域のフィーリングは相変わらずすばらしい。スロットルを開け閉めしながら低速車両を追い越したり、連なっている道路清掃車の間を抜けたりするのが楽しく、満足感も得られる。やや神経質な低回転域を越えればスロットルレスポンスはスムーズで、270°の点火間隔が走りに心地良さとトラクションを与えてくれる。日常的な乗り方では、気晴らしになるキャラクターで魅力的だ。SRK900の試乗はここまで順調である。

都市部から郊外までさまざまなシチュエーションでSRK900をテスト。

前述のとおり、前後サスペンションはマルゾッキ製。倒立式フロントフォークはセッティング変更が容易で、左側のトップキャップに圧側減衰力、右側のトップキャップに伸側減衰力のアジャスターが配置されている。ステアリングダンパーも標準装備だ。

SRK900のトップブリッジ周り。ステアリングダンパーは減衰調整可能。
リヤサスペンションはモノショックタイプ。スプリングは赤くカラーリングされている。

ブレーキは、フロント側にラジアルマウントのブレンボ製キャリパーと320mm径ディスクをダブルで採用。そして、ボッシュ製ABSが急制動をサポートする。フロントブレーキマスターシリンダーのタッチは良好で、ABSは介入を煩わしく感じることがなかった。17インチの鋳造アルミホイールにはマキシス スーパーマックスという銘柄が装着されているが、これはスポーツネイキッドとしては控えめな選択と言えるだろう。しかし、全体的に見て、QJモーターがコスト削減のために犠牲にした箇所を見つけるのは難しい。

ブレンボ製の対向4ポットラジアルマウントフロントブレーキキャリパーを採用。
フロントブレーキマスターシリンダーもブレンボ製。
リヤブレーキはブレンボ製1ポットキャリパーと260mm径ディスクの組み合わせ。

とはいえ、問題もある。それは車両重量だ。ワインディングロードでペースを上げると、望ましくない重量感とパワー不足を感じる。17.8Lの燃料タンクを満タンにした場合のSRK900の公称重量は221kg。CB750ホーネットの192kgと比べると、明らかに不利だ。また、「重い」と判断するライダーもいるGSX-8Sは202kgだが、SRK900よりも19kg軽量である。

SRK900は221kgの車重によって、このクラス特有の元気いっぱいなトップエンド性能とハンドリングの俊敏性の両方を薄めてしまっている。CB750ホーネットはSRK900よりエンジンがスムーズに回るし、レブリミットがわずかに高く、高回転域でよりエキサイティングで、スロットルを急開すれば前輪が力強く跳ね上がる。SRK900ではそうはいかない……。

また、燃料タンクは必要以上に長い気がする。私のような身長約170cmのライダーにとってはハンドルバーが遠すぎるように感じる。マルゾッキ製サスペンションはバイクの重量に十分対応しているが、速い向き変えをするときに明らかにトップヘビーな感覚がある。

バイクの重さがコーナリング性能にも影響……。

このマシンパッケージの良い点としては、同じ価格帯でより排気量が少ないバイクにはない堅牢性と屈強さが備わっていることが挙げられる。また、大きな車体は大柄なライダーには合っているかもしれない。乗り心地はまずまず良好で、燃費は50〜60mpg(約21〜26km/L)ほどに収まると思われる。理論上の満タン走行距離は197〜235マイル(約317〜378km)だが、現実的にはだいたい150マイル(約241km)ごとに給油するのが無難だろう。

スマートフォン連携機能付きのフルカラーディスプレイは表示がクリアで情報量も多く、タイヤの空気圧や温度も確認できる。スマホ用のUSB充電ポートも備わっており、さらに、クルーズコントロール機能を搭載したり全灯火類にLEDライトを採用したりして、利便性を底上げしているのも特徴だ。

7インチフルカラーTFTディスプレイは中心に速度を、上方にギヤポジションや各種インジケーターを、左方には回転数を、右方には燃料計や水温計、ライディングモードを、下方には時刻や走行距離計、タイヤ内温度・空気圧などを表示。
USBポートは右サイドシュラウド下方に配置されている。
ヘッドライトは縦2灯デザイン。ウインカーはサイドシュラウドに埋め込まれている。ラジエーターの左右にはウイングレット風のパーツを装備。
ブレーキランプは左右分割の個性的なデザイン。

スポーツ性はもうひと息!

このバイクには称賛すべき点が数多くある。そのスペックは、ミドルクラスの主流となっている競合車に匹敵、あるいは凌駕するものだ。95馬力のパラレルツインエンジンは個性的で、中回転域はトルクに満ちている。実用的で使い勝手も良く、首の筋肉が許す限り、一日中バイクにまたがって走り続けることも、街のラッシュアワーを駆け抜けることも容易である。そしてもちろん、6899ポンド(約141万円)という価格は、競合車を大幅に下回っている。

うまい話には裏がある、という言い回しが頭に浮かぶだろうか? だが事実として、中国製バイクは年々進化を続け、高品質なコンポーネントを採用し、そのうえで魅力的な価格を提示して既存の競合車にとって大きな脅威となっている。そして、QJモーターのSRK900はこの潮流を体現したバイクだ。しかしながら、軽快で引き締まったハンドリングを備え、かつ高回転域での喜びに満ちた、俊敏なスポーツモデルをお探しなら、確かにSRK900は十分満足できるバイクではない。SRK900のハンドリングは悪くないが、日本やヨーロッパのライバル車に匹敵するシャープで洗練されたエキサイティングなネイキッドモデルとして話題になるためには、もう少し改良を加え、ライダーの着座位置をもう少し前に変更する必要があるだろう。

スポーツネイキッドとしてはまだ改良の余地あり!

QJモーター SRK900 諸元

エンジン種類:水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ
ボア×ストローク:92.0×68.0mm
総排気量:904cm3
最高出力:70kW<95.2ps>/9,000rpm
最大トルク:90Nm<9.2kgf・m>/6,500rpm
燃料タンク容量:17.8L
WMTCモード燃費:――
変速機:6段リターン
全長×全幅×全高:2,100×840×1,170mm
ホイールベース:1,460mm
シート高:810mm
車両重量:221kg
タイヤサイズ:(F)120/70ZR17 (R)180/55ZR17
カラー:レッド
日本未発売

report:Adam Child  photo:Sim Mainey

LINK

QJモータージャパン https://qjmotor.co.jp/

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