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■イラストはイメージ。実際の白バイ隊員の休日とは異なる場合があります
普段、一日中白バイに乗って街を走る白バイ隊員。暑い日も寒い日も仕事として乗務している彼らは、仕事を離れたプライベートの時間でも、バイクに乗っているのでしょうか。今回は、元白バイ隊員として現場に立っていた経験をもとに、白バイ隊員たちのプライベートなバイク事情について紹介します。
白バイ隊員はプライベートな時間もバイクに乗る?
結論から言うと、白バイ隊員がプライベートでバイクに乗ることは珍しくありません。当然ながら、白バイ隊員を志すきっかけの多くは「もともとバイクが好きだから」です。私自身も、バイク好きが高じて白バイ隊員になりました。
ただし、これは多数派の話であり、実はバイクそのものにはさほど思い入れがないという隊員も、少数ながら存在します。交通取締りという仕事に魅力を感じたり、パトカーに比べて機動力があり仕事が楽しそうだから、といった理由で白バイ隊員を志望する人もいるのです。
バイク好きが高じてなる人もいれば、仕事としての魅力からバイクに乗り始める人もいる。この点は、意外と知られていないのではないでしょうか。
【プライベートのバイク事情は人それぞれ】
「白バイ隊員はプライベートでどんなバイクに乗っているのか」という問いに対する答えは、一言でまとめることができません。ネイキッド、アメリカン、SS(スーパースポーツ)、オフロードバイクなど、乗っているバイクのジャンルは完全に個人の好み次第です。
もちろん、白バイ隊員だからといってプライベートでバイクを所有してはいけないというルールがあるわけではありません。一方で、プライベートでは通勤用のスクーターしか持っていないという隊員もいます。
バイクを手放してしまう、あるいは「封印」してしまう隊員がいるのも事実です。理由として多いのは、家庭の事情。これは「ライダーあるある」かもしれませんが、子供がある程度大きくなるまでは配偶者からバイクに乗る許可が下りない、というケースは少なくありません。また、仕事が忙しくプライベートでバイクに乗る時間そのものが取れない、という理由もあります。
そしてもう一つ、一般のライダーとは少し違う理由もあります。それは毎日仕事で白バイに乗っているため、「プライベートでまでバイクに乗りたいと思わなくなる」というものです。仕事でバイクに乗りすぎた結果、いわゆる「お腹いっぱい」の状態になり、バイクそのものへの熱が冷めてしまう隊員も実際にいます。

もともとバイクが好きで白バイ隊員になったはずなのに、仕事がきっかけでプライベートのバイク熱が落ち着いてしまうというのは、白バイ隊員ならではの事情と言えるかもしれません。
「上司と同じバイクに乗る隊員たち」という面白いトレンド
白バイ隊員のプライベートバイク事情には、少し面白い傾向もあります。警察官は、バイクや車を購入する際に上司の許可を得る必要があるのですが、不思議なことに、上司が乗っている車種やメーカーと同じ、あるいは似たものを選ぶ隊員が多いのです。
私が過去に所属していたある部署では、上職の方がハーレーダビッドソンに乗っており、その部下にあたる隊員のほとんどが、プライベートでもハーレーを所有していました。私自身もその部署に異動になったタイミングでハーレーを購入し、休日には皆でツーリングに出かけていたものです。
現役の白バイ隊員たちが、休日にハーレーで隊列を組んでツーリングする。仕事とは違う形でバイクと向き合いながら、同じ職場の仲間たちと走る時間は、今振り返ってもとても楽しい思い出です。

この傾向は自分の部署だけの話ではありませんでした。出張先で他県警の白バイ隊員と話をした際にも、まったく同じような話になったのです。そのときも「自分の上司がホンダ乗りだったからホンダに」「上司がカワサキだったから自分もカワサキに」といった具合で、お互いに「あるある」と共感し合ったのを覚えています。上司の愛車に影響されるというのは、どうやら特定の部署に限った話ではなく、白バイ隊員という組織全体に見られる傾向のようです。
白バイ隊員同士のツーリングは安心かつ楽しい

元白バイ隊員だからこそ言えることですが、ある程度の実務経験を積んだ白バイ隊員同士でツーリングに行くのは、とても楽しいものです。
理由はいくつかあります。まず、普段から走ることに慣れているため、走り方そのものが安定していること。取り締まる立場から見て、取り締まられるような走りがどんなものかをわきまえていること。そして、一定以上の運転技量が身についていること。さらに、隊列を組む際に「このタイミングでここの位置にいてほしい」といった意思疎通が自然にできることも大きな理由です。
隣りを走る仲間の運転操作を見ていても安定感があり、安心感がまったく違います。結果として、気を遣うことなく、安心して楽しく走れる。これは、白バイ隊員同士のツーリングならではの魅力だと感じています。
上司次第でバイクの所有を認めてもらえないことも
一方で、「警察官あるある」とも言えるのが、上司が車やバイクを好まないタイプだと、購入の「OKサイン」がなかなか出ないというケースです。
理由としては、事故や違反を防ぐため、あるいは金銭的なトラブル(多額の債務を抱えてしまうなど)を避けるためといった、いわば管理上の観点によるものです。いわゆる「上司ガチャ」という言葉がありますが、実際に、購入直前まで許可が出ていたバイクが、人事異動で上司が変わった途端に購入を却下されてしまう、という事態を目の当たりにしたこともあります。
プライベートの買い物であっても、組織に属する以上は上司の判断が大きく影響する。これもまた、白バイ隊員ならではの事情と言えるでしょう。
ただし、上司の判断に抵抗した経験はあります。これは個人の4輪車の話ですが、上司は手頃なコンパクトカーなら購入は許すという一方で、私は反抗してランクルを買ったことがあります。そのときは、先に買ってしまい事後に報告しましたが、叱責はされます。このせいで露骨に不利な人事をされるとか、昇進が遅れるということはないですが、目を付けられる、厳しく当たられるというのはあったかもしれません。

最後に
白バイ隊員にはバイク好きが多いというのは事実です。しかし、バイクとの向き合い方や楽しみ方は人それぞれで、すべての白バイ隊員が根っからのバイク好きというわけではありません。とはいえ、とことんバイクが好きな人も一定数存在し、そうした人ほどこだわりが極端に強かったりするものです。
仕事では白バイに乗り、休日にはただのバイク好きなライダーとして過ごす。白バイ隊員という肩書きの裏側には、そんな一面を持つ人が数多くいるのです。
文●睦良田 俊彦
睦良田 俊彦(むらた・としひこ)
1986年北海道生まれ 趣味:クルマ、バイク
歯科技工士を経て警察官となり、約15年間勤務(白バイ隊員歴約10年)。警察学校卒業後は約3年半の交番勤務を経て交通部門へ。白バイ警察官として第一線で交通取締りをメインに活動し、ライダーのための安全講習、交通安全啓発イベント、マラソン大会先導、大統領車列先導など、様々な経験を重ねてきた。県警主催白バイ大会での優勝経験もあり、白バイ新隊員の育成などにも携わった後、巡査部長の階級で依願退職。現在は退職後の夢でもあったライディングレッスンなど、ライダーのためになる活動が出来る場を作るべくYouTuberとして、バイクの面白ネタ等を発信する「臨時駐車場チャンネル」ほか、新たにバイクライディング技術等に特化した「元白バイおやじチャンネル」も開設して活動中。バイクイベント等に積極的に参加し、出身の北海道で開催のライディングレッスンで講師も務めている。



























