バイクライフ

【元白バイ隊員が教える】違反で捕まらない、一時停止の仕方ってあるの?

一時停止違反は違反点2点、二輪車は6000円の反則金

見通しの悪い場所に設けられることが多い止まれの標識

「止まれ」の標識は、車やバイクを運転している方なら、けっこう頻繁に目にするものだと思います。そんな一時停止は、検挙されやすい違反としても有名ですが、元白バイ隊員が警察官目線で、捕まらないための一時停止について解説したいと思います。

1.多くの場所で行っている一時停止の取締り
日本中のどこにでもある、止まれの標識。この標識がある交差点で、ほとんどの方は実際に取締りを行っているパトカーや交番のお巡りさんのバイク、白バイを見たことがあると思います(実際に捕まった方もおられるかも)。よく「取締りがしやすいから」「件数稼ぎのためにやっている」など様々な噂がありますが、実際のところはどうなのかというと……。

2.実際に事故が多い
一時停止の標識のある場所は、見通しが悪い交差点だったり、安全確認が必要な場所なので一時停止の標識が設置されているのですが、当然交通事故の危険が高い場所であったりもします。
事故原因として多いのは、一時停止時の周囲の安全確認が不十分であることがほとんどです。一時停止が甘かったり、そもそも標識を見逃して交差点を通過するなど、理由は様々です。
ならば、一時停止標識ではなく、交通事故を抑止するには信号機を設置することが一番良いと思われるでしょうが、一時停止の標識や標示を設置するよりも条件が厳しく、すべての交差点に信号機を設置するのが現実的ではないことは、明らかだと思います。
そのため、交通事故が多い場所や過去に大きな事故が起きているところには、取締りのために警察官がよく配置されていることが多いのです。

3.指定場所での一時停止
「道路交通法第43条」には、「車両等は、一時停止の道路標識がある交差点では、その交差点の(停止線の)直前で一時停止しなければならない。この場合交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない」とあります。
●罰則 3月以下の懲役または5万円以下の罰金 過失10万円以下の罰金
●違反点 2点(指定場所一時不停止)
●反則金 大型車9千円 普通車7千円 二輪車6千円 原付5千円
となっています。

一時停止の地点では、交差する道のみならずその手前にある歩道の往来にも注意が必要

一時停止で必須なのは、停止線の直前で車輪が完全に停止すること

停止する場合は停止線の直前で、車輪の動きが一度きちんと止まることが重要

4.一時停止とは
一時停止はその言葉の通り、一時的に停止することを言います。「停止」というとおり、止まり方が甘いと違反となってしまいます。
よくあるのが、停止線や一時停止標識の手前でブレーキを踏み減速してそのまま惰性で走行して交差点を抜けてしまう場合です。または、減速、徐行して安全確認をしながら停止せずに交差点を通過してしまう車両も多いです。
しかし、あくまでも一時停止なので、完全に車輪が停止することが必要なのです。この、完全に車輪が停止することが疎かになってしまうと、一時不停止の違反として検挙されてしまう可能性があるのです。これは、四輪車やバイクなどすべて共通となります。

5.「一時停止をしている? していない?」の基準とは?
では、交通取締りをしている警察官目線では、どこを重要視しているかと言うと、「完全に車輪が停止しているかどうか」です。どんなに安全確認をしていても、どんなに速度を落としていても、車輪が動いていれば一時不停止の違反となってしまうのです。よく、「3秒止まればオッケー」とか、「左右を確認すれば大丈夫」と言う方もいますが、実は根拠がありません。
交差道路から車両等、人が来ていないことを確認するのは当然ですが、車両の運転手が首を左右に振って安全確認していようが、眼の動きのみで確認していようが、交通取締りを行っている警察官の位置からは、確認出来ない場合もあります。
そうなってくると、車両の動き、特に車輪の動きの有無についてが最も重要となってきます。また、しっかりと一時停止をしていても、指定された場所で一時停止をしなければ違反となってしまいます。

6.停止位置
停止線のある場合は停止線の直前、停止線がなかったり、摩耗により消えてしまっている場合は交差点の直前となります。また、一時停止する位置は、決して他の交通の安全を確認し得る地点ではないということです。
仮に正規の停止位置において左右が見とおせない場合は、見通し可能な地点まで徐行し、必要があれば再び停止して安全確認すべきであるとされています。

捕まりやすい車両の傾向が、実はあったりする

派手な動き、音の大きな車やバイクが通過すると、白バイ隊員はより注意深くチェックする

7.捕まりやすい車両?
白バイ隊員として交通取締りを行っていた際によく言われてきたことが、「車を見て止めたでしょ」「人相が悪いから止めたんじゃない?」みたいなことをよく言われましたが、決してそんなことはなく、車両の動きでしか判断していませんでした。
違反として止められた車両の運転手さんからすれば、狙われたと思われても仕方ないと思いますが、実際には車両で判断したり、ましてや人相で交通違反をした車両を追いかけるなど難しいのです。

8.とは言え、捕まりやすい車やバイクはある
違反をしていなければ当然捕まりませんが、外装が派手派手、マフラーの音が大きかったり、交差点が近づいているのに減速する様子が全く見られない車両については、注目してその動きを見てしまいます。
特に排気音が大きい車両は遠くからでも認識しやすいので、その点を挙げればよく動きを見てしまいます。また、派手な車両や排気音が大きい車両は一時不停止の他に整備不良などの違反がないか気にしてしまいます。

今回、一時停止の違反について紹介しましたが、実は初心者ドライバー(ライダー)よりも運転が慣れているベテランドライバーほど、安全確認や徐行のみで済ましてしまい、確実に一時停止をしていない車両が多いのも事実です。

運転に自信がある運転手さんほど一度、自分の一時停止を見直してみることをお勧めします。

文●睦良田 俊彦

著者プロフィール

睦良田 俊彦(むらた・としひこ)1986年北海道生まれ
趣味:クルマ、バイク

歯科技工士を経て警察官となり、約15年間勤務(白バイ隊員歴約10年)。
警察学校卒業後は約3年半の交番勤務を経て交通部門へ。白バイ警察官として第一線で交通取締りをメインに活動し、ライダーのための安全講習、交通安全啓発イベント、マラソン大会先導、大統領車列先導など、様々な経験を重ねてきた。
県警主催白バイ大会での優勝経験もあり、白バイ新隊員の育成などにも携わった後、巡査部長の階級で依願退職。現在は退職後の夢でもあったライディングレッスンなど、ライダーのためになる活動が出来る場を作るべくYouTuber「臨時駐車場チャンネル」として活動。バイクイベント等に積極的に参加し、出身の北海道で開催のライディングレッスンで講師も務めている。

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