6月3日(土):ウォームアップ走行&スーパースポーツTT(600ccクラス)決勝
マン島TTは6日目を迎え、いよいよ決勝レースがはじまった。本日のスケジュールは、午前10時に道路封鎖の予定だったが、マウンテン区間で一般車の事故があったため処理に時間がかかり、レーススケジュールも3時間ほど遅れてのスタートとなった。
まずはウォームアップラップとして13時30分よりソロの走行が1周行われた。トップライダーの多くは明日に決勝を控えたスーパーバイクを走らせたが、このあとのスーパースポーツ、スーパーストックを走らせるライダーも見られた。
■決勝レーススタート前。コースマーシャルが道路を清掃し、落ち葉や土埃などを取り除く。
そして14時45分、日本人ライダー・山中正之選手も参戦しているスーパースポーツTTレース1がスタートした。マン島TT決勝レースは、予選タイム順におよそ10秒ごとに1台ずつ出走する。そのため1周目の序盤からテールトゥノーズやサイドバイサイドになることはあまりない。
出走順こそ6番手だったマイケル・ダンロップ選手(ヤマハ YZF-R6)は、1周目の中盤、バラフ付近でトップタイムを記録。2周目を終えてピットに入り、給油などを済ませて3周目へ突入したときには2位のディーン・ハリソン選手(ヤマハ YZF-R6)に10秒以上の差をつけてトップを独走。4周目のファイナルラップも勢いはとまらず、昨日の予選3クラス制覇の勢いをそのままにチェッカーフラッグまで首位をキープして優勝を決めた。
マイケル・ダンロップ選手はこれでスーパースポーツTTで10勝目、TT通算22勝目となり、現役ライダー最多勝利数を持つジョン・マクギネス選手(ホンダ CBR1000RR-RファイアブレードSP)の23勝まであと1勝に迫った。
2位はピーター・ヒックマン選手(トライアンフ デイトナST765RS)、3位にはディーン・ハリソン選手がつけ、スーパースポーツTTの表彰台を飾った。
■スーパースポーツTTレース1、2ラップ目でトップを快走するマイケル・ダンロップ選手。
■ラジオ中継でマイケル・ダンロップ選手の勝利を聞き、歓声を上げる観戦客たち。
山中正之選手(ホンダ CBR600RR)は4ラップすべて完走を果たす
山中正之選手(ホンダ CBR600RR)は、1周目を44位でラップすると、リタイアしていく選手たちを横目に順調にラップを重ねた。
「3周目あたりから全身に疲労が出てきて、とくに太ももに痛みが出てきましたが、そのままのペースで走り続けました」(山中選手)
1周約60kmの長丁場に加えて、路面ギャップが多く「250km/hのモトクロス」ともたとえられるマン島TTがライダーに与えるダメージは大きい。レース中はシートに腰を落とすことなく、ほぼずっと浮かせた状態で走り続けるため、3周目となると疲労が蓄積する。
「気を抜ける場面がほとんどなく、真っ直ぐ、がっつりとブレーキングするジンジャーホールやパーラメントスクエアの手前くらいしか休めるところがなかったですね」(山中選手)
4周目のラップタイムは19分47秒231をマークし、1時間20分22秒400、平均速度112.664mhp(181.32km/h)で完走を果たした。
「チェッカーを受けてピットロードに戻ってくるときは、ほっとひと安心する気持ちと、応援してくださっている皆さんへの感謝の気持ちがわいてきました。まだまだ詰められるところはありますけど、自分としては好タイムで完走できたので結果には満足しています」(山中選手)
明日と明後日は山中選手が参戦するクラスのレースはなく、2日間の休養となる。しっかりと身体と精神を休めて次の決勝レースに備えてほしい。次回は6月6日、スーパーツインTTレース1が山中選手の出番だ。
■山中選手(ホンダ CBR600RR)も4ラップを無事走りきり、見事に完走を果たした。
■決勝レース後、ピットに戻った山中選手はチームスタッフと記念スナップに応じた。
■決勝レース走行後のヘルメットには無数の羽虫の死骸がはりつく。これもマン島TTの特徴だ。写真は山中選手のヘルメットで、シールドは2周目走行後のピットインで交換している。
■おまけのオフショット。コースの危険な箇所にはレクティセル社の高性能スポンジバリアが設置されているが、レクティセルの内側や危険度が低い場所には、昔ながらのストローバリア(中身が藁の束)が設置される。道路封鎖後、映像カメラマンも手伝いながらマーシャルといっしょにストローバリアを転がして所定の位置にセットしている場面。
レポート&写真●山下 剛
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