1993年から十年余りにわたり八重洲出版『別冊モーターサイクリスト』(休刊中)で毎月一人、愛車と共に10万kmを走破したライダーを取り上げる人間物語「我ら、10万kmクラブ」を執筆・連載していたのが松島健二さんだ。
この人、タダ者じゃない。1970年代にヤマハ・スポーツバイクの初期型SR400/500やRD、TYシリーズ、XT500などのカタログ広告デザインを手がけたかと思えば、1978年には今に続く『月刊ライダースクラブ』誌を創刊。
老舗クシタニやヨシムラの広告デザイン、二輪レース史の名著『ヨシムラ・レーシング・ヒストリー』編集発刊など、時代の最先端を走り続けてきた御仁だ。
現役引退後は一転、長野県の大自然に囲まれた地で農耕雨読の生活を送っていた。が、齢八十を迎えるのを機に、自宅の古民家に手を入れ、長年の夢だったツーリングライダーたちのオアシス、「山里珈琲」なる小さな珈琲店を開いた。
むろん供されるコーヒーは香り、苦味、甘味、コクにこだわる自家焙煎の深煎りのみ。北アルプスの湧き水で、丁寧にネルドリップ抽出した逸品だ。
加えて『別冊モーターサイクリスト』をはじめ好みのバイク専門誌を多数揃え、コーヒーを飲みながら自由に読めるという趣向である。
心静かに寛げる、落ち着いた色調で統一された小さな店内には5〜6人、外のウッドデッキには3〜4人の来客が休める席もある。周囲は聖高原やアルプスの連山を眺望でき心静かに過ごせる癒しの地だ。営業は土日のみだが、ツーリングには絶好の季節、ちょいと一走りして山里の止まり木で一服してみてはいかが……。
■山里珈琲
〒399-7702長野県東筑摩郡麻績村日4638
電話:090-9667-1038
営業日:毎週土曜・日曜日
営業時間:10時〜17時
まとめ●モーサイ編集部