ヒストリー

流転の車名ホンダ「インテグラ」ヒストリー 二輪→四輪→二輪→四輪で2022年に三度目の復活!

二輪・四輪で車名を使い回す背景

このように名前が消えたり復活したりするのは商標登録の関係がある。

過去に使用した名前についてはモビリティ製品における商標をホンダが持っているのはもちろんのこと、各国での使用についての問題もクリアになっていることが明らかで、またイメージが極端に離れていなければ、二輪・四輪で使い回すのは理にかなっている。

そもそも、ホンダは二輪と四輪のいずれでも使えることを前提に商標登録しているという話もある。

国内向けの話でいえば、軽自動車で使っていた「トゥデイ」という名前を、後に原付スクーターで復活したというケースもあるが、名前の持つイメージと商品企画が合致していたこともあって、いずれもすんなりとなじんでいた印象がある。

「トゥディ」は軽自動車から原付スクーターに

1985年に初登場した軽自動車のトゥデイ。限られたサイズの中で「メカニズムを最小に、居住スペースを最大に」という思想を追求し開発された。
2002年に登場した50ccスクーター・トゥデイ。エンジンは燃費や環境性能を追求し新開発された空冷4サイクル単気筒で、10万円を切った9万4800円という価格も話題となった。

同じく原付スクーターでいえば、水冷エンジンに可変トルク増幅排気システムを組み合わせたスポーツモデルの「ビート」という名前が、すぐ後に世界初のミッドシップ2シーターオープンモノコックボディの軽自動車に与えられたことも有名だ。

ちなみに、軽自動車のほうの「ビート」はギリギリまで違う名前と迷っていたというが、もう一つの候補は「デュオ」というものであって、こちらも響き的には原付スクーター「ディオ」を似ているのはおもしろい。

ほかにも、後輪を二輪とした三輪スクーター「ストリーム」の名前が後に5ナンバーサイズのコンパクトミニバンに与えられたり、250ccのネイキッドモデルに付けられた「ジェイド」という名前が全高の低い3列シートミニバンに使われている。

このように二輪と四輪の両方で兼用された名前というのは意外にたくさんあるわけだが、中でも二輪→四輪→二輪→四輪と交互に使われた例は「インテグラ」だけである。
それだけホンダというブランドと親和性に優れた名前ということだろう。

ただし「インテグラ」の4回を超えるのが、四輪→二輪→四輪→四輪→二輪として何度も転生を繰り返した「ジャズ」という名前だ。

「ビート」はスポーティな原付スクーターから軽スポーツカーに

1983年に登場した50ccスクーターのビート。スポーツカーのようなデザインの車体には、水冷の2サイクルエンジンが搭載され、当時の原付スクーターとしてはハイパワーな7.2馬力という性能を発揮した。
1991年に登場した軽オープンスポーツカーのビート。軽自動車で初となるミッドシップエンジンで、「バイクのように高回転まで回る」と言われた660cc3気筒エンジンは、最高出力64PS/8000rpm、最大トルク6.1kgm/7000rpmという性能だった。

「ストリーム」は3輪スクーターからミニバンに

1981年に登場した50ccの3輪スクーター・ストリーム。「まったく新しい3輪の乗り物」として、ホンダは「スリーター」というジャンルを提案。車体のシートから前方がバンクする機構を採用していた。
2000年に初登場したミニバンのストリーム。当時のシビックのプラットフォームを活用し、低重心・低床パッケージで5ナンバーサイズながら快適に7人が乗れる居住性が追求された。

「ジェイド」は250cc4気筒バイクからミニバンに

1991年に登場した250ccネイキッドのジェイド。レーサーレプリカ・CBR250R/CBR250RR系のカムギアトレーン採用DOHC4バルブ並列4気筒を低中速重視にしたエンジンが搭載された。
2015年に登場したミニバンのジェイド。グローバル展開の車種で、3列シートの6人乗りで、ミニバンクラスの居住性・実用性と、セダンのように低く流麗なスタイルの両立が追求された。

最初は日本でいう初代シティの海外版、その次がアメリカンタイプの原付モデル、そしていすゞからのOEMモデルに付けられ、その後フィットの欧州版などの名前として使われつつ、カナダでは50ccスクーター(日本名:クレアスクーピー)の名前として使用されるなど、同時に二輪・四輪で存在していたことのある、じつは希少な名前なのである。

1986年登場の50ccアメリカン・ジャズ。前方へ長く伸びたフロントフォークやプルバックハンドル、リヤのディッシュホイールなど、本格派のデザインが特徴だった。

レポート●山本晋也 写真●ホンダ/八重洲出版 編集●上野茂岐

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